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2022年9月13日 10:45

大竹しのぶ&段田安則、杉村春子から受け継ぐ「芝居を届けたい」という想い 『女の一生』取材会

取材・撮影/RanRanEntertainment

10月 新橋演舞場『女の一生』取材会が、9月12日(月)に東京都内で行われ、大竹しのぶと段田安則が登壇した。

 

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本作は、終戦直前に森本薫が文学座に書き下ろし、杉村春子が初演、生涯に947回にわたって演じ続けた不朽の名作。明治・大正・昭和という激動の三時代を気丈に生きた布引けいの人生を綴る。

2020年、大竹しのぶが、杉村が演じてきた主人公・布引けいを熱演し、好評を博した本作。今回も引き続き、大竹が主演を務め、“女性の生き方”という普遍的なテーマを訴えかける。段田は、初演に続き演出を担当するほか、堤伸太郎役で出演もする。

 

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取材会で段田は、本作について「不朽の名作です。改めて実際にやってみて、本当に素晴らしい作品だということが分かりました。それを、稀代の名優、大竹しのぶがやる。日本でこの人しかいないんじゃないかという方が配役されまして、そして上演することができました」とコメント。

そして、「初演は、コロナ禍で南座でやる予定ができなかったのですが、今回、南座、そして博多座と、関西、九州の方々にも観ていただける機会を作っていただけきました。演出の方は大したことないんです。そこはあまり観ないようにしていただいて、俳優中心で観ていただければ素晴らしい作品だということがお分かりになると思います」とアピールした。

 

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一方、大竹は、「杉村春子さんがやり続けたいと思ったということがどういうことなのか、この戯曲と向き合ってよく分かりました。演出家であられます段田さんも、いつも稽古場で『本当にいい本だ、やればやるほど深い。俺たち役者は本に書かれたことをそのままやればいいんだな』と言ってらっしゃいました」と笑顔を見せた。

さらに、大竹は、本作の初演が、終戦直前の昭和20年4月に上演されたことに触れ、「(杉村春子と森本薫は)戦時中にこの芝居の幕を開けようと思っていました。空襲警報がなったらいつ幕が降りるか分からないけど、それでも芝居を届けたいという思いが、ちょうど私たちの初演がコロナ禍で、それでも芝居を観に来てくださるお客さまがいて、だったらお客さまがいる限り私たちは芝居を届けますっていう思いが重なって、感慨深い初演になりました。まだまだ劇場は寒いところがありますが、それでも来てくださるお客さまのためにいい芝居を届けたいと思っております」と意気込んだ。

また、本作の戯曲の魅力を聞かれた段田は、「これは森本薫さんが34歳でお亡くなりになる前にお書きになったのですが、その年齢で晩年の夫婦の会話まで、よく人間の心情を描いていると思いました。森本さんは大阪生まれだったそうで、そういう環境もあるのか、今の僕らにも響くセリフでありながら、ちょっと笑えるようなニュアンスもあって、そこも気に入っているところです。それから、ヒロインの嫌な面、影の面もきちんとお書きになっているので、主人公が多層に描かれている。その主人公の書き方も素晴らしい。そのほかの人物も、どの役でも演じてみたいというくらい素晴らしいセリフばかりで、そこも気に入っています」と熱弁。

大竹が演じるけいについては、「一人の人物を若い時から老年に差し掛かるまで演じるのは、役者として魅力的なことかと思いますが、それを大竹さんは、小手先で演じない。もちろん、扮装や見た目は変わりますが、内面が変わる。内面が違うから、出てきただけでその年代になっている。それを側で観られるのが楽しかったし、一緒に出演していても見入ってしまう。そこが大竹さんの一番の魅力だと思います」と絶賛した。

 

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大竹は、今回も布引けいの16歳から56歳までの40年間を演じる。物語の冒頭では、16歳の少女として登場するが、自分と年齢が離れた役を演じることについて質問が挙がると、2017年に出演したミュージカル『にんじん』を例に挙げ、「あの時は、私が22歳の時にも演じた(14歳の)男の子の役をやりましたが、22歳でやった時よりも60歳でやった時の方が、開き直ってできて、お芝居しないですんだ気がします。気持ちを理解することはできるので、そこがすごく楽しいです」と語った。

10月 新橋演舞場『女の一生』は、以下の日程で上演。

東京公演:10月18日(火)〜10月23日(日) 新橋演舞場
京都公演:10月27日(木)〜11月8日(火) 南座
福岡公演:11月18日(金)〜11月30日(水) 博多座

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