取材・撮影/RanRanEntertainment
映画『銀河鉄道の父』の完成披露舞台挨拶が4月5日(水)、都内で行われ、主演の役所広司、共演の菅田将暉、森七菜、豊田裕大、坂井真紀、田中泯、そして成島出監督が登壇した。
原作は、門井慶喜による第158回直己賞受賞作品。宮沢賢治の生涯、そして父親の視線でその親子愛が描かれる。
原作と出会って、絶対に映画化したいと思ったという成島監督は「宮沢賢治にはすごい興味があって、本屋で（原作の）背表紙を見てすぐ購入、一気に読みまくった。賢治のお父さんは厳しい人っていうのが定説だったけれど、（本書では）親バカでイクメンのハシリみたいな人。これは読み終わった瞬間に映画化したいと思いました」と映画化した経緯を明かした。
成島監督からオファーがあったという役所（宮沢賢治の父・政次郎役）と菅田（宮沢賢治役）は本作が初共演。共演してみて、役所と菅田は「最高です！」と口を揃えた。役所は「元々、菅田将暉ファンですし、いつか一緒に現場に立ちたいと思っていましたし、宮沢賢治の役が菅田君以外に思いつかないぐらい、菅田君に似合っている役だと思っていました」と称賛。菅田は「畏れ多いです」と照れながらも、「（自分自身は）役所広司教なので、こんな幸せな時間はないと思ってやっていました」と役所との撮影を振り返った。
本作に出会ってからの宮沢賢治の印象について？の問いに、役所は「この作品に関わって、門井先生の原作を読んで、演じてみて、宮沢賢治の作品や詩には、賢治という男の人生全てが詰め込まれて、作品にはその深さを感じました」とコメント。
菅田は「童話作家、物語作家のイメージでしたが、『春と修羅』しかり家族の話や身近に起きたことの心情を描いていて、それを読むと全く違う印象。（賢治を演じることで）人間味に触れられたのがよかったです」と話す。
賢治の妹・トシを演じた森は、「これまで、“教科書の中の偉人、文豪”というイメージを抱いていたけれど、原作や脚本を読んで、こんなに面白かったんだ！と思いました。こんなにユーモアのある人たちに囲まれて生きている人だったと感じて、改めて作品を読むと何倍も面白く思えて、これが高校生の頃だったら何倍も楽しく教科書を開けていたのにと思いました」と賢治とその作品の魅力を語った。また、菅田との共演について問われ「本当にお兄ちゃんのよう。細かなところでの気遣いをしてくださったり、私達より年下の子たちとも楽しく話をしているのを見ていると、菅田さんって何人いるの？って。今回は宮沢賢治としての姿をたくさん見せてもらったので勉強になりましたし、兄弟役を演じられてすごく幸せに感じています」と菅田に感謝していた。
賢治の弟・清六役の豊田は賢治について「マルチに活躍して人。詩を書いたり、チェロを弾いたり、農業をやったり。菅田さんと通じる部分があるんじゃないかと思っていました」と語った。
次に、役作りについて問われ、役所は「方言ですね。できるだけ花巻の人たちに笑われないぐらいのレベルまでいきたいなと思いました」と苦心の程を語った。菅田は「言葉もそうですし、チェロもそうですし、お経（日蓮宗）の唱え方だったり」と一人でいろいろな役柄をこなしたことを明かした。特にチェロの演奏については「最初は指さえ動いていればいいぐらいのオファーだったんですけど、段々音が鳴るんだったら、その音を使いたい。そしたら、音も出るなら歌ってほしい」とチェロの弾き語りまでこなせるようになったことを明かした。本作でのサウンドトラックには菅田自身の演奏が入っているとのこと。
イベントの最後には、役所が「成島監督の下に集まったスタッフ、キャストで一生懸命に作りました。この映画が皆さんの心に届くといいなと心から思っています」、菅田は「笑うところもたくさんありますし、悲しいところもあります。宮沢家の愉快な家族の話で、僕も試写で観て素直に感動しました」とアピール。成島監督は「この日を迎えられて感無量です。この素敵なメンバーとこの映画を作れたことを映画の神様に感謝します」と心情を語って、イベントを締めくくった。
映画『銀河鉄道の父』は５月５日（金・祝）より全国公開。
