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2026年7月8日 05:00

瀬戸康史、有村架純 9年ぶり共演! 白井晃は上田岳弘の長編小説をどう料理するのか? 舞台『キュー』製作発表会見&トークセッション

2019年に『ニムロッド』で芥川賞を受賞した作家・上田岳弘による長編小説『キュー』が、演出を務める白井晃の長年の構想を経て、遂に舞台化する。7月7日(火)には都内で舞台『キュー』のトークセッション及び製作発表会見が行われ、上田岳弘、白井晃、そして主演を務める瀬戸康史、共演の有村架純が登壇した。

瀬戸康史演じる心療内科医・立花徹と有村架純演じる高校時代の同級生・渡辺恭子。それぞれの人生が交差することで、物語は過去・現代・未来を行き来しながら「私とは何者なのか」「人間とは何か」という普遍的なテーマへ広がっていく。AIやテクノロジーが急速に進化し、社会が大きく変化する今だからこそ、私たち自身の在り方を見つめ直すきっかけを与えてくれる作品になっている。有村は渡辺恭子に加え、戦時中を生きる椚節子、未来を生きる女型のRejected Peopleの三役を演じる。

本イベントでは上田岳弘、白井晃の二人による第1部:トークセッション、そして瀬戸康史、有村架純が加わった第2部:製作発表会見の2部構成で行われ、第2部につき、くわしくお伝えする。(第1部の概要は本稿の最後に記載)

製作発表冒頭では、当日が七夕であることから壇上上手に飾られた七夕の笹に、瀬戸と有村があらかじめ用意した願いごとを記した短冊を読み上げることから始まった。瀬戸は『自分らしく穏やかに過ごす』と記した短冊を示しつつ、「これは僕の人生のテーマでもあり、『キュー』という作品のテーマのひとつでもあるのかなと思って書きました」とその思いを明かした。「自分らしさとは何ぞや?」の問いかけに対しても「本当はもっと面白いことを書いた方がいいんでしょうけど、そういうのがいけないんだろうな。そういうのは飾っている自分なんだと思って、本当の気持ちを書きました」と謙虚に語った。

そして有村は『無事に終わりますように』と舞台の成功を短冊に記し、「健康に、そして何事もなく舞台が無事に開幕し、終幕まで無事を皆さんとずっといられるよう祈りました」とこちらも素直な気持ちを短冊に表現。早速、二人は七夕の笹に括り付けた。

改めて、4人揃っての舞台挨拶となった。瀬戸は「先ほどの上田さん、白井さんのお話を聞いて、めちゃくちゃ楽しみになりましたし、この見えないものに対するワクワクみたいなものが湧き上がっています」と笑顔で話し、有村は「舞台というジャンル自体が私にとって挑戦です。三役というあらゆる引き出しが必要そうな難しい役どころに、白井さん、そして瀬戸さんやカンパニーの皆さんと一緒に挑戦します。このお話をお受けする前に、白井さんが近年の時代の流れや世界情勢に目を向けたとき、今がその節目なんじゃないかと熱く語ってくださった。だからといって社会に対して分かりやすいメッセージを置いていくような舞台ではないですけど、自分たちが流れていくこの時間と時代にどうあるべきかを再確認できるような舞台になるのではと思い、参加を決めました。瀬戸さんたちと紡いでいく時間を楽しみにしています」と参加の経緯を熱く語った。

瀬戸は「ワクワク感が今は100%。僕は、作品を選ぶときに、自分の演じることが想像できなかったり、見えないことにワクワクするタイプ。『キュー』という作品はまさにそう。分からないことも稽古を終えたときに、そこが分かっているようになったり、分かっていた部分が違う見え方になったり、そういうところが面白いのかなと思いました」と自身納得していた。

有村は「分からないことは分からないと、正直に言ってもいいのかなって思いました。頭脳派なお二人が作られている作品ということで、ついていけるか不安ですけど、(分からないことには)素直に声を挙げていきたいなと思います」と決意を表明した。

白井とは『ジャンヌ・ダルク』で一緒だった有村は、白井について「とにかく稽古が大好きな人。とてもロマンチストで、アーティスティックな部分もあり、白井さんならでは世界観を体現されているという印象。音楽も含めて、白井ワールドに染まっていきたいなと思います」と白井に着いていく覚悟を表明した。

対して、白井は「稽古は好きですね。創作していく過程がとても好きですし、日常の中でぐったりしていても、稽古場に行くと元気になるようなタイプで、フィクションを作っていくのがとても楽しい。『あまちゃん』に出演していた有村さんを観て、『彼女が舞台をやりたいんじゃないか』と勝手に想像して、『ジャンヌ・ダルク』にお誘いして、初めにお話したときの有村さんの純粋な目が忘れられなくて、表現者としてこれから自分がどういう風になりたいかという静かな意志を感じさせてくださった。『ジャンヌ・ダルク』はつらい稽古だったと思うんですけど、黙々と歯を食いしばりながら頑張っているのが感動的でした。その印象がすごく強くて、10年以上経っていますけど、いろんなことを経験されてきた中で、また再びこうやって出会えた。僕にとってはものすごく思い入れのある作品になるところで、ご一緒していただけるのはすごく嬉しいです」と憧れの人に再開できたことを喜んだ。

上田が取り組んでいる台本は第3校まで出来上がっているが、原稿を読んで、瀬戸は「とてもシンプルというのが率直な感想です。全てを理解できているわけではないんですけど、自分の中ではこういうことなんだな思えて・・・。まず想像することが大事だなと思っています。僕は絵を描いたりするんですけど、まっさらなところに何を描こうから始まって、丸を描いてみようとか、いろんな想像を膨らましながら描いているとすごく生きていると感じるんです。演劇もすごく似たようなものだなと思っていて、いろんなテープで貼られたタンスがありますよとか、ドアがありますよと、みんなで想像しながらだんだん形になっていく。ああ、生きているなとか、考えることで自分がくっきりしてくるというのが、読んで感じたことです」と話した。

そして、有村は「一貫したテーマの中で紡がれていく台本でしたが、場面転換の部分は紙で読んでいると難しかったです。衣装、音楽、舞台上の美術が変わっていくと、こういうふうにグラデーションになって変わっていくのかなとか想像しながら読んでいました。渡辺恭子という役を中心に、過去と現在と未来を行き来する人物を演じるんですけれども、今この現状は、過去に残してくれた方たちが作ってくれていた道しるべで、それに沿って我々が生活して発展して、いろんなことを動かして生きている。人間は、脳みそがあって、感情があって、欲望だったり、プライドだったり、そういったいろんな感情が戦争を呼び起こしてしまったり、そうやって時代は繰り返していく。時間は進んでいるから、AIというものが新しく発展して、今度はロボット戦争が起きるんじゃないかとか、時間が止まっているような、すごいスピードで進んでいるような、この矛盾した世界が『キュー』に込められているような感じがして、言葉にするのは難しいんですけど、そういったニュアンスを感じました」とコメントした。

瀬戸と有村は9年ぶりの共演とのこと。お互いをどう感じているか? 瀬戸は「(有村の)純粋な目と秘めた情熱。そこは初めてお会いしたときから感じている部分です」と有村を称賛。一方、有村は「二十歳ぐらいの頃から瀬戸さんの主演作でお世話になって、過酷な撮影ではあったんですけど、一切集中力も切らさず、プロ意識高い役者さんという印象でした。お堅い感じでもなく、すごい柔らかい空気感をまとって穏やかに現場にいてくださったので、過酷な現場でも楽しい会話をたくさんしました。今回もそういった心強さもありますので、お稽古中もたくさんお話しながら一緒に作っていけたらと思います」と心底信頼していた。

会見の最後には、上田「今回のこの場にお招きしていただいたことで、いろんな縁が結ばれてこの舞台ができているなと感じましたし、その縁をきちんと結んで、いい舞台になるよう全力で取り組んでいきたいと思いますので、ぜひ楽しみにしていただけら」、白井「作品を通して、私たちが今どんな時間帯でどんな場所に住んでいるのかを感じてもらえたらと思います。舞台ならではの表現方法を考えていきたいので、楽しみにしてください」とともに期待感をあおっていた。

そして有村は「この小説を、私たち劇団として体現する任務を全うするというような気持ちです。白井さんとのお稽古も楽しみですし、またどういう会話が生まれて、どういうエピソードが生まれて、どのようにこの作品が完成していくのか、それも楽しみつつ、観てくださる方に何かを持って帰っていただけるような舞台にしていきたいと思います」と続いた。

瀬戸は「僕自身気づかないうちに自分のことが二の次になっていたり、自分が曇って見える瞬間があって、それは仕事に追われていたり、家庭のことに追われていたり、友達と遊ぶことに捕らわれたり、自分と向き合うことが少ないなと思っています。そんな中で、『キュー』という作品は、自分の輪郭をくっきりさせてくれる感覚があって、理解するより感じること。演劇の良さも、やっぱりその目の前で演じている俳優の汗や声の震えとか、そういうものを感じるのが演劇体験。『キュー』と演劇が交わったときにどういうものが出来上がるのか、本当にワクワクしますし、それを皆さんには感じてきてほしいと思っています」とこれから出来上がる本作品に自信を覗かせていた。

第1部:上田岳弘&白井晃 トークセッション 概要

上田、白井が初めてタッグを組んだ舞台は高橋一生の一人芝居『2020』(2022年)で、それ以来のタッグとなる舞台『キュー』。白井は、もともと『キュー』の世界観を舞台作品として構築したいという夢があったが、コロナ時期と重なり一旦計画を棚上げ。『2020』は『キュー』の登場人物に焦点を当てたスピンアウト作品であったことを振り返った。
上田は、当時から主演の立花役に瀬戸康史の名前が挙がっていたことを明かし、白井も、高橋一生と瀬戸が以前に舞台『マーキュリー・ファー』で兄弟役を演じた際の印象から、再び一緒に舞台をやりたいと思っていたこと、そして渡辺恭子役には有村架純をイメージしていたことを語った。白井は「瀬戸、有村が参画してくれた勇気と、表現者としての前向きさに感動している」ことを明かした。
白井は『キュー』において「主語が誰なのか分からない。いろんな主語が出てきて、それがバラバラに進んでいくので、自分の中で想像していくのがたまらない。快感になっていく。それは舞台でもできる」とその魅力にとりつかれたことを明かし、『キュー』の世界観に、強烈なインパクトを受け、演劇として表現したいという夢を抱いたと説明。
上田は『キュー』の台本は現在3稿目まで上がっており、抽象に陥りがちな自分の作品を白井の舞台具現化によってかなり形が見えてきたとコメント。さらに上田は、2020年オリンピックが延期になったことで、実際に行われた世界と行われなかった世界があるのではないか、今いるのは間違った方のパラレルワールドではないかという感覚を多くの人が持っているのではないかと分析。この感覚も含めて作品に具現化したいと意欲を示した。
演劇の魅力について、上田は生身の人間が演じることへの感動と、最終的にお客様に何かを持って帰ってもらいたいという思いを語った。白井は、舞台は制約だらけだが、その中でお客様に想像を膨らませてもらう「のりしろ」を作ることの魅力を説明。
小説の印象的な要素として、白井は渡辺恭子の「私の体の中には第二次世界大戦が入っている」という言葉に強烈なインパクトを受けたことを語り、立花徹が彼女の思念に引っ張られていく物語展開に、今までにない小説の展開を感じたと分析。
台本製作過程では、白井が演出プランを説明すると上田が腹落ちする瞬間があり、「互いの往復運動が楽しい」と両者が語った。上演台本の変更を厭わないことについても言及された。
上田の新作について、現在の『キュー』の1.7倍の分厚さの作品が準備中であることが明かされ、デビュー10周年を迎え、最初は自分が書きたいものをいかに書くかにこだわっていたが、最近はわかってほしいという気持ちが芽生え、読みやすくなっていると自己分析した。

舞台『キュー』
東京公演:2026年11月15日(日)~29日(日) 東京芸術劇場プレイハウス
大阪公演:2026年12月4日(金)~6日(日) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
東京公演・大阪公演ともにチケット発売日は2026年8月1日(土) 10:00
公式サイト:https://the-9.westage.jp

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