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2023年12月23日 14:58

中村隼人・市川團子Wキャスト スーパー歌舞伎 三代猿之助四十八撰の内『ヤマトタケル』取材会  

スーパー歌舞伎 三代猿之助四十八撰の内『ヤマトタケル』の取材会が12月18日(月)に都内で行われ、中村隼人、市川團子、中村米吉が登壇した。

左から)市川團子 中村隼人 中村米吉

日本武尊の伝説をもとに、哲学者・梅原猛が書き下ろし、二世市川猿翁(三代目市川猿之助)が主演・脚本・演出を手掛けたスーパー歌舞伎『ヤマトタケル』は1986年2月に初演された。“スーパー歌舞伎”という新たなジャンルを打ち立てた歴史的な作品である。

昨年逝去した二世市川猿翁の思いを受け継ぎ、ヤマトタケルと大碓命の二役を中村隼人と猿翁の孫、市川團子が交互出演で務め、中村米吉が兄橘姫と弟橘姫の二役を早変わりにて演じる。

中村隼人は「この作品は、歌舞伎が大変だった時代、1986年に生まれたスーパー歌舞伎です。来年、38年の時を経て、新たなキャストで上演させていただきます。また、父(中村錦之助)が務めた作品でもあり、親子で新作歌舞伎を再演できることを本当に嬉しく思っています」と笑みを浮かべた。

中村米吉は「一人で二人の役をやらせていただきます。初演、再演とされた中村児太郎、現・福助のお兄さんがなさった初演に近い形での上演です。」と説明。

本作の魅力について、「当時の古典歌舞伎になかった3S、スペクタクル、ストーリー、スピードを大事にしていて、38年前の作品とは思えないような内容の濃さです。今でも通じるような派手なシーンもあり、最後はお客様の心を打つ。それを我々世代がどう演じられるのか、どうお客様に伝わるのか、挑戦でもあり、ワクワクして楽しみにしています。」と、中村隼人。

市川團子は「初舞台を踏ませていただいたのが『ヤマトタケル』のワカタケル役で、当時から祖父(二代目猿翁)のビデオをたくさん見ていました。まさか自分がヤマトタケル(小碓命)、大碓命役をさせていただけると思っていなかったので、実感が湧いていない状況です。頑張って自分なりに研究して、稽古をして、務めさせていただきたいです。」と意気込みを語った。

『ヤマトタケル』の魅力は、祖父も歌舞伎はスター芝居だと著書の中でも言っていますが、ヤマトタケルのスター性だと思っています。自分がタケルになったような気持ちで見て、その人生を体感すること、カッコ良さがダイレクトに伝わるところだと思っています。

米吉は「父、中村歌六が『ヤマトタケル』の初演でタケヒコの役で出演していまして、初演がどれだけ大変なもので、どれだけすごいことを猿之助のおじさんがなさったかということを耳にタコができるほど聞いております。その作品に二役で出演できることにご縁を感じています。」

演じる役について、隼人は「ヤマトタケルは、父である帝から怒りを買って熊襲征伐に出ていくわけですが、印象に残っているのは最後の、「人間は傲慢の病にかかる」というところです。成功体験をすることで自信がつくが、傲慢になってしまう。戒めが神話として残っているわけですが、これを、僕は30歳、團子君は10代、若いからこそ伝わりやすいのではないかと思う」と自信を覗かせた。

團子は「ヤマトタケルという役は、祖父の人生であると考えています。どこのセリフを切り取っても祖父が浮かぶようなセリフが多い。祖父も、この作品は骨太だからどんなにカットしても美学や伝えたい哲学が出ると言っています。何か途方もないものを求めている、それが何かよくわからない、このセリフにこの作品の魅力を感じます。」と亡き祖父に思いを馳せていた。

米吉は兄橘姫と弟橘姫について、「ヤマトタケルを愛し、愛した男性のために命を落とす妹、その愛する人の子どもを守るために自分の国で育てる姉。もともとの原本を拝読すると、女の人の怖いところ、すごいところが描かれています。ただただ美しいだけでなく、人の業が描かれているので、そういった部分も意識して務めていきたいです。」と深く洞察していた。

『ヤマトタケル』を手掛けた猿翁が昨年逝去し、この作品を上演することについて、隼人は「お会いする機会はなかなかなかったですが、幸い父もそばにいたので、その精神性をスーパー歌舞伎を通して継いでいけたらと思っています。」と述べた。

團子は、「学ぶは真似ると祖父はよく言っていましたが、本当に真似をしてひとつひとつ忠実にどう演じていたのかしっかり研究して、そういう意味でじいじに、あっ祖父に(笑)似せて、この作品に挑んでいきたいと思います」

「この3人の中で一緒にお芝居をしたのは私だけになると思うのですが、初舞台も猿翁のおじさまの舞台でした。僕を歌舞伎役者にしてくださった。お亡くなりなったことがショックで悲しくて、でも亡くなる前にこのお話をいただいたのでご縁を感じています。天翔けられたおじさまに届くようにと思っています。」

スーパー歌舞伎 三代猿之助四十八撰の内『ヤマトタケル』
2024年2月4日(日)~3月20日(水・祝) 新橋演舞場
作:梅原猛
監修:石川耕士
脚本・演出:二世市川猿翁
出演:中村隼人 市川團子 中村米吉
製作:松竹株式会社

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