映画『レンタル・ファミリー』や『ミッドナイトスワン』、ドラマ『身代金は誘拐です』『DOPE 麻薬取締部特捜課』など、舞台作品の他にも数々の映像作品で活躍する真飛聖が一人芝居に挑む。

2026年4月9日(木)から新国立劇場 小劇場で上演される、『ガールズ&ボーイズ』は、ミュージカル『マチルダ』の脚本でも知られるデニス・ケリーが、2018年に書いた一人芝居で、ある一人の女性の人生を追いながら、愛、結婚、仕事、そして出会いと喪失を描いた作品。順調に見えていた人生が予期せぬかたちで崩れていく過程を通して、現代社会に潜むさまざまな歪みを浮き彫りにしていく。今回の上演では、ただ一人の登場人物である主人公の女性役を真飛と増岡裕子がダブルキャストで演じる。演出を務めるのは、稲葉賀恵。真飛に一人芝居への思い、公演への意気込みなどを聞いた。

――本作への出演が決まり、最初に脚本を読まれたときはどうお感じになりましたか?

「面白かった」「楽しかった」という感想では語れない物語でした。「すごい」って低音でつぶやいてしまうような感覚です。最初に台本を読むときはいつも、まず客観的に物語を追いながら読みますが、この作品ははじめから自分が物語の中に存在していて、彼女の人生を生きているように感じたんです。それは、もしかしたら全て一人の女性が話している構成だからかもしれません。なので、「面白かった」「楽しかった」ではなく「これはやる」「挑戦するもの」という思いでした。語弊がある言い方かもしれませんが、「やりたい」ではなく「これはやる」だったんですよ。出会うべくして出会った物語だ、この中を私は生きていくんだ、と感じたのが第一印象でした。周りの人から、「この作品はコメディなのか。悲劇なのか」と聞かれるのですが、私自身もはっきりと答えられない作品です。観た方がどうとらえるのか、初日が開けてから客席の皆さまに問いかけたいです(笑)。

――一人芝居ということで、プレッシャーや抱えるものも大きいのではないかと思いますが、そこはあまり悩まずに出演を決められたんですね。

そうなんです。先に「これはやる」と思ってしまったので、後から大きな“波”が押し寄せてきました(笑)。自分の仲間には役者が多いので、みんなから「よく決めたね」と言われます(笑)。でも、挑戦できるってすごいことですよね。一人芝居は、なかなかできないことですし、作品は巡り合わせやタイミングです。やりたいからといってやれるものではない。役者人生の中で出会えない作品なんて山ほどあります。そうした中で、私はご縁があってこの作品と巡り会えました。周りからの言葉に体が固まってしまうこともありましたし、なんてことを決断してしまったんだろうと思うこともありますが、制作の方が「心が折れそうになるときもあるかもしれませんが、一緒に作っていきましょう」と言ってくださったので、その言葉に力をもらって挑んでいます。本番では、私は一人で舞台に立ちますが、そこにはスタッフの皆さんがいてくださる。そしてお客さまも観に来てくださっている。全員が味方なんだという気持ちで臨めば良いのだと思っています。

演出の稲葉さんが「一人芝居というよりは、この劇場の空間はカウンセリングルームで、みんな話したいことがあって集まっている。みんなで話している場で、今は“私”が話しているときなんだ」というイメージを話をしてくださって。なので、「今から芝居をします」と身構えるのではなく、もっとフラットな空間を目指しています。劇場に来てくださる皆さんが、私の言葉でそこに登場人物を思い浮かべて、みんなで一緒に作っていくととらえていただけるとうれしいです。

――確かに、脚本を読んでいて、喫茶店で友達と話をしているような感覚になりました。

それが正解です。カウンセリングルームでも喫茶店でもいいんですよ。「ちょっと聞いてよ」と物語が始まって、「たまたま今、私が話をしている番ですが、皆さんも順番が回ってきたら話すんですよ?」という空気で物語が進んでいきます。(一人芝居のため)プレッシャーや逃げたい気持ちも山ほど生まれるかもしれませんが、そうではないんだと脳に勘違いさせながら今、稽古をしています(笑)。

――そうすると、お稽古では、苦しさや苦労よりも面白さの方が勝っているのですか?

作っていく過程は面白いなと思います。舞台でも映像でも、1つの作品を作っていく段階で、客観的にその作品を見る時間がありますが、今回はお稽古が始まったら、最後までずっとお芝居をしているんですよ。走り回るわけでもないし、ミュージカルのように歌って踊ることもないので、一見体力的に大変な作品ではないですが、相手を想像しながら話すので、脳が何倍も疲れるんですよ。ただ、これを面白がれたら楽しいだろうなという希望も見えています。観に来てくださるお客さまも、もしかしたら最初は戸惑うかもしれません。私が一人で話すシーンもあれば、誰かと話しているシーンもあって、それを繰り返していくという構成なんです。物語が進んでいくにつれ、「今は誰かと話している」「次はまた一人で話し出した」といったリズムが見えてくると思います。そうして進んでいく中で、真っ直ぐ生きていくことの強さや彼女の脆さが見えてきて、きっと彼女に共感したり、歩み寄りたくなると思います。物語は幕を下ろしても、彼女の人生はまだまだ続きます。これからも人生が続くという余白も感じていただけるのではないかと思います。

――主人公の女性については、どのようにとらえていらっしゃいますか?

生きていると、傍から見たらただのニュースの一つでも、その人にとっては大事件なことってありますよね。彼女はまさにそうした出来事に遭遇しますが、それに対してただネガティブにとらえるのではなく、その事実をどう乗り越えていけば良いのだろうと前向きに向き合おうとしている。前向きという言い方は少し軽いかもしれませんが、彼女の生きることを諦めないという選択は、筋が通っていてとても魅力的だと感じました。とても強い人です。同情を求めているのではなく、「この自分の体験が誰かのヒントになるかもしれないし、私だけじゃないんだなと思えるかもしれない」と思って話をしているだけなんです。男女の話ではありますが、男性を批判したり、非難したい訳でもない。もっと深いところをこの女性を通して伝えられればと思います。

――真飛さんも共感できるところはありますか?

私は、自己肯定感が低いんです。見た目が強く見えるので、そう見えないとよく言われますが。なので、彼女が「どうせ私なんか」と卑下しているシーンは共感できますし、同時に「やってやるぜ」という気持ちになることも分かります。彼女が仕事で悩んでいるときに、誰かに「できるよ」と言われたことで、一歩踏み出せるというシーンもとてもよく分かります。

――今回、増岡さんとダブルキャストですが、増岡さんの印象は?

年齢が10歳くらい違いますし、彼女は結婚されていて、お子さんもいらっしゃるので、母親像がとてもリアルだなと思いました。(子どもと話すシーンでは)私は想像で子どもと話すので、なんとか分かってもらおうと思って、丁寧に説明してしまうんですよ。でも、それが日常だったらそれほど丁寧な言い方はできないですよね。そうした加減が、やはり実際にお子さんがいらっしゃるからこそリアルで、勉強になりますし、面白いなと思います。これがダブルキャストの醍醐味だなと改めて感じました。これまでもダブルキャストの経験はありますが、もちろん演じる役者が変わる以上まったく同じ舞台にはならないけれど、ナンバーの動きや振り、衣裳は同じだったりしました。今回は相手役もいないので、ダブルキャストの違いを感じていただきやすいのではないかと思います。それに、増岡さんは最強の味方です。この152ページの台本を覚える大変さや、どうやってこの空間を埋めていくのかという作業を本当に分かち合えるのは彼女しかいません。なので、最高で最強です。

――お芝居について話し合うことも多いのですか?

今は立ち稽古で稽古時間がバラバラなので、言葉を交わす機会が少ないですが、本読みのときには、稲葉さんも含めて、「ここはどう解釈する?」「こっちの方が良いよね」と話し合いを重ねてきました。増岡さんが読んでいるのを聞いていると、得られることが多かったです。やっぱり年齢も違うので、全く違うんですよ。そういう意味でも、2倍楽しめる今回のキャスティングはすごく面白いと思いますし、新国立劇場さんはチャレンジングなことをしてくださっているのだと感じます。

――稲葉さんの演出はいかがですか?

ご自分の経験をお話ししてくださいますし、例え話もたくさんしてくださいます。そのお話を聞いていると、稲葉さんにも演じていただいて、トリプルキャストにしたらいいのにと本当に思います(笑)。すごく賢い人ですし、そうしてお話をしているとすごく想像が膨らむので助かっています。

――この作品に挑戦することことは、きっと真飛さんにとっても大きな経験となると思います。この作品に取り組むことでの成長や変化を感じていますか?

それは、ぜひ(千穐楽の)4月26日に聞きに来ていただければ(笑)。ただ、今年、50歳になって、何かに挑戦できるというのは、とてもありがたいことだと感じています。私は、最近はあまり舞台に出演していなかったので、この作品にも不安がありましたが、今は、やっぱり舞台が好きだということを再確認したいんです。その気持ちをしっかり千秋楽に感じられるように過ごしていきたいです。まだどんな成長があるのか自分でも分かりませんが、きっとこの経験の全てが私の財産になるのではないかと思います。

――この物語の中では、主人公の女性の山あり谷ありの人生が描かれていきますが、真飛さんとしては、この先の目標や目指す道についてはどのようにお考えですか?

人生を楽しみたい、面白がりたいと思っています。何が起こるか分からない毎日だからこそ、楽しんでいたいです。役者・真飛聖としては、「あの人、面白いよね」「ちょっと変だよね」「なぜか観てしまうよね」と言われるような、どこか引っかかる役者になれたらうれしいです。こういう役をやりたいとか、あの作品に出演したいというのはないんです。それは巡り合わせだと思っているので。ただ、自分を面白がってもらいたい。そんな役者になれたら幸せです。

――ありがとうございました! 改めて公演に向けた意気込み、読者へのメッセージをお願いします。

一人芝居だと身構えて観に来ていただくと私も緊張してしまうので、どうぞ肩の力を抜いてお越しください。きっとチケットを購入して、わざわざ劇場まで足を運んでくださるという時点で、私の味方だと思います。それを信じて、私も思い切り「私」という人生を皆さんと共に作り上げていきたいと思っております。皆さまの想像力を貸していただき、一緒に分かち合って、一緒の時間を過ごしていただけたらうれしいです。

いま、ここに――[1]『ガールズ&ボーイズ』は、2026年4月9日(木)〜26日(日)に新国立劇場 小劇場で上演。

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ヘアメイク:藤原リカ(ThreePEACE)
スタイリスト:ゴウダアツコ

取材:文・撮影 嶋田真己