
望月歩が主演を務める映画『Erica ‐エリカ‐』が5月15日から全国公開される。本作は、全国最大の学生映画の祭典となる東京学生映画祭で審査員特別賞を受賞した自主映画『連鎖』を原案に、宮岡太郎監督が劇場公開長編映画としてセルフリメイクした作品。先の読めないサスペンスフルな展開で、〈人が人を愛し抜くことの難しさ〉という極限のテーマを描く。主人公の飯笹辰樹を演じる望月に、撮影の思い出や本作の見どころを聞いた。
――最初にオファーを受けたときのお気持ちを教えてください。
監督が長く準備を重ねていた作品で主演をさせていただけることに、喜びとプレッシャーを感じながらも、「頑張ろう」と思いました。
――最初に脚本を読んだ感想は?
「辰樹アホだな」と「エリカは…」という気持ちが同時に押し寄せてきたというのが正直な感想です(笑)。ただ、小説を読んでいるかのように、それぞれの場面が目に浮かぶ脚本だったので、すごく分かりやすく、想像しやすかったです。
――出来上がった映像をご覧になって、どのように感じましたか?
演じているときはあまり意識していませんでしたが、思っていたよりもコミカルなシーンが多く、ポップな印象がありました。例えば、レンジで殴るシーンも、やっていることは壮絶ですが、すごく見やすくて。ホラー的な演出との温度差がはっきりとあるからこそ、最後まで飽きずに楽しめると思います。
――宮岡監督からはどんなディレクションがありましたか?
現場では、作品についてはあまり話すことはなくて、雑談ばかりしていました。監督はとにかくたくさん映画をご覧になっている方なので、面白い作品を紹介していただいたり、プライベートなお話をさせていただくことが多かったです。ただ、最初の読み合わせのときには、監督の作品への思いを聞き、その熱意に力をもらいました。そのときには「ここはこうしてほしい」と指示はありましたが、全体としては自由に演じさせていただいた印象です。
――辰樹は、エリカと出会ったことで、日常が大きく変わっていきますが、望月さんはどのようなことを意識して演じていましたか?
本読みに時間をしっかりととっていただいたこともあり、共演者の皆さんとの関係性が築けた状態でお芝居ができたので、その関係性を感じながら演じることができました。特にスーパーでのシーンは印象的でした。チェーン店のスーパーではなく、「地元にだけあるスーパー」だと思うので、よりゆっくりと時間が流れているように感じられて、演じやすかったです。
――そうしたロケ地や撮影場所によってもキャラクターが作られていったのですね。
そうだと思います。監督のご実家で撮影したこともあったんですよ。この作品では「時間の流れが同じ」ということをすごく感じました。
――辰樹は、「どこにでもいそうな人物」を具現化したキャラクターだと思いましたが、そうしたキャラクターについてはどう考えていましたか?
僕もそれは意識していました。ト書きにも「やる気がないように作業をしている」「無気力に商品を陳列している」と書いてあったので、その無気力な様子をどうやったら出せるんだろうと考えながら演じたことを覚えています。

――エリカ役は、林芽亜里さんが演じました。林さんの印象は?
エリカとは全く違うタイプの方です(笑)。すごくほんわかしていて、天然なところがあって。なので、エリカを演じているときとのギャップがすごいんですよ。エリカをどうやって作り上げていったのかなと、お芝居をしながら思いました。
――辰樹が出会った頃のエリカと、物語のラストで見せるエリカの姿にはかなり振れ幅がありますよね。対峙していてエリカの演技に引っ張られることもあったのでは?
普段、ほんわかとしている分、集中しているときとの違いがはっきりと分かったんですよ。そのギャップは、エリカの二面性と重なる部分があったので、お芝居の上でも大きな助けになりました。
――撮影で、特に苦労したシーンは?
僕は、あまり血が得意ではないのですが、今回は大量の血のりを使うシーンがあったので、そこは「う~…」と思いながら撮影しました(笑)。和室での撮影だったのですが、「この畳の上には血のりをこぼしてもいいけど、ここはダメ」とか、お芝居以外にも気をつけなくてはいけないことも多くて、新鮮ではありましたが大変でした。僕はホラーも得意ではないので、素で怖がりながら撮影した場面も多かったです。
――確かに、血のりはホラー映画ならではですね。ホラー映画はあまりご覧にならないのですか?
気合いを入れて「よっしゃ、見よう!」というときもありますが、普段はあまり観ないですね。ただ、この作品は、怖くはあっても後には引きずらない怖さなので、ホラーが苦手な方も見やすいと思います。心霊的な怖さがあるわけではないですし、現実にありそうだと感じる作品でもないので。
――もし、望月さんが辰樹の立場だったらどうしましたか?
あれほどのスピードで一緒に住むことはないと思いますし、車で送って行ったときに、怖い彼氏が出てきたとしても、あの展開にはならないと思います(笑)。
――ここからは、望月さんのこれまでの活動についても聞かせてください。2015年に『ソロモンの偽証 前編・事件/後編・裁判』で映画初出演を果たし注目されました。以降、数々の映画、ドラマで活躍されてきましたが、これまでの活動を振り返りどのように感じていますか?
あっという間でした。年々、時が過ぎるのが早くなっていると感じます。ですが、学生の頃に比べ、作品と向き合える時間が増えているので、すごく楽しい日々を送っています。自分が出演する作品だけでなく、さまざまな作品に触れて、自分にとっての糧を得るための時間も増えています。たくさんのことを吸収して、幅を広げていけたらと思います。

――もともと、俳優になりたくて芸能界を目指したのですか?
最初は、「嵐」になりたかったんです。いつかあんなふうになりたいと思って、ダンスを習っていました。その後に、お芝居に触れる機会があり、お芝居の先生のところに通っていて、気づいたら役者の道に。
――そうすると、歌やダンスもお得意なんですね!
いやいやいや(笑)。歌は全然ダメでした(笑)。ダンスも小学校の頃に習っていただけなので、今はきっと踊れないと思います。
――では、デビュー当時と今で、一番変わっていることは?
人見知りじゃなくなったことかなと思います。人見知りをしていると損をすると思うようになって、頑張ってなくしたんです。このお仕事をしていると、初めて会う人とお話をする機会もすごく多いので。
――なるほど。今、お芝居の面白さはどんなところに感じていますか?
人とつながっていることを感じる瞬間が楽しいです。現場でいろいろな方とお話をさせていただくことでもつながりを感じますし、作品をご覧になった感想をいただけることで観客の皆さんともつながっていると感じられます。もっともっと多くの方に僕の名前を知ってもらえたら、きっと感想をいただける機会も増えると思うので、そうなれるように頑張ります。
――俳優としての夢や目標は?
かっこいいなと思う方は、鈴木亮平さんです。憧れます。それから、現場の空気も含めて、朝ドラでは本当に素敵な時間を過ごさせていただきました。長期にわたって同じ役を演じるからこそ、現場の皆さんと一緒に同じものに向き合い、作り上げていけます。それは他ではなかなかできない経験だと思うので、また長く関われる役や、シリーズ作品にも挑戦したいです。
――最後に上映を楽しみにされている読者の皆さんにメッセージをお願いします。
サイコホラーという言葉を見て、やめておこうと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、お化けは出ません(笑)! 「怖い」というよりは「衝撃的」な物語になっていますので、ホラーが苦手な方にもぜひご覧いただきたいです。寂しさや人を好きになる気持ちの延長線上にある物語なので、共感できるところもきっとあると思います。エンタメとして、頭を空っぽにして観に来ていただけたら嬉しいです。

映画「Erica -エリカ-」5月15日(金)全国公開
出演 望月歩 林芽亜里 高尾颯斗 葉月くれあ 小泉萌香 藤原樹(THE RAMPAGE)

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取材 文・写真:嶋田真己

