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2026年8月19日 15:30

【後編】和田琢磨&赤澤燈インタビュー 旧知の二人が紡ぎ出す舞台『回転する夜』 「日常では感じ得ないものを得られる作品」

――(取材当時)すでにお稽古が始まっていますが、カンパニーの空気はいかがですか?

和田:実は、僕は今日(取材日)から本格的に合流するので、まだ分かっていなくて。今日、親睦会を設けていただいているので、ここから少し変わっていくのかなと思います。

赤澤:今日を経て、変わります。

和田:「あ、こんな程度か」と思われるくらい、くだけたいですね。

赤澤:たっくんは、これまで別作品の本番中だったんですが、1度、稽古に入ってくれたことがあったんですよ。そのときに、たっくんがいることで空気が大きく変わったことを感じたので、これからきっと大きく進んでいくだろうなと思います。僕たちも共演経験がある(古谷)大和が演出を担当してくれているんですが、その空気感もすごく良くて。健全な現場だなと思います。

――今、お話が出た、古谷さんの演出については、どのように感じていますか?

和田:僕はまだ参加したばかりで、役者としての古谷大和くんしか知らないので、今回すごく楽しみです。良い意味で気を遣わずに、自分が思っていること、やりたいことを発信してくれる、芯の強い方なので、自分もしっかりプランを持って対等に、役者と演出家としてぶつかっていけたら、自分にとっても新しい景色が見えるのではないかなと思っています。

赤澤:もう早くも演出家していますね。こういう言い方は失礼かもしれませんが、面白い演出をするなと思うところもたくさんあって。もちろん共演者で役者仲間ではありますが、今回はしっかりと演出家として見ています。

和田:燈は演出、できる?

赤澤:できないですよ。

和田:できないよね。想像つかないもん、「演出家・赤澤燈」とか。

赤澤:「今日はもう何も思い浮かばない、やめよう!」って言っちゃうと思う(笑)。

和田:考えてこいよ(笑)。

赤澤:あはは(笑)、僕は感覚派なのでちょっと無理かも。たっくんはできそうだけど。

和田:いや、決断できなそう。「どっちでもいいんじゃない?」って(笑)。

赤澤:演出をしていたら、諦めなくてはいけないときもあるだろうからね。時間の制約もあるし、「ここはこれで」と言わないといけない。

和田:やりたいと思ったことある?

赤澤:ないなぁ。

和田:僕は、一瞬あるけど、でも、演出家はいろいろなセクションとコミュニケーションを取らないといけないから、難しそうだなって(笑)。役者は自分の都合で動けるからね。

――でも、きっと演出家の方には演出家の方の作品を作る楽しみがあるのだと思いますよ(笑)。

和田:あるんでしょうね。

赤澤:できる人がやればいいんです。適材適所がありますから。

――ここから和田さんは本格的にお稽古に参加されるということですが、これからそれぞれの役をどう作り上げていき、どんなカンパニーを目指したいですか?

和田:今回、僕が演じるサダオは、ノボルに対しても、ノボル以外の人物に対しても、気を遣わせたり、ドキッとさせたりする役柄だと思います。サダオが出てくると「何が起こるんだろう」と、お客さんに緊張感を持ってもらえたり、場がよどんだりするような、ある種の異物になれればいいのかなと今は考えています。

赤澤:前回は若さもあり、1人で頑張ろうとしていました。役柄的にもずっと出ずっぱりという状況もあって、一人で抱え込んでいたのですが、今回は、たっくんもいますし、甘えられるところは甘えて、寄りかかって、みんなで作っていけたらいいなと思っています。

――和田さんがいらっしゃることももちろんですが、この10年の経験があるからこそというところもあるのでは?

赤澤:そうですね。同じ作品、同じ役を同じ人間が演じるというのは、やっぱり難しいなと思います。前回と違う方がいいのか。いいところもあったと思うので、それを残して、どう作っていくべきなのか。いろいろ考えながら、やっています。

和田:蓬莱さんの作品は、演じるというよりも、観客が「そこにいる姿をのぞいている」というくらいの生っぽさが作風なのかなと思っています。だから、まさにその場で起きることと、その場で言われたことにどう反応していくのかが重要な気がしていて。そういう意味では、10年前と比べると、圧倒的に受け取る力がついてきているんじゃないかなと思う。

赤澤:確かにそうかもしれない。

和田:僕もたくさん球を投げていけたらなと思います。

――ところで、ノボルは人生の分岐点と言える出来事を繰り返し夢に見るという役柄ですが、お二人にとっての人生の分岐点だと思う出来事を教えてください。

赤澤:たくさんありますね。

和田:僕は、大きく言えば2つかな。ミュージカル『テニスの王子様』のオーディションに受かったときと、父親が経営している会社を辞めたとき。僕は長男なので、継ぐか継がないかを悩んだ時期があった。

赤澤:リアルに経験しているんですね。

和田:うん。結局、継がずにこの仕事を選んだわけですが、その後、父親が病気をしてしまって。本当に、サダオとの共通項が多いんですよ。

――ミュージカル『テニスの王子様』に出演したことでは、どんな変化を感じましたか?

和田:バイトを辞めました。それから、この仕事をやっていくんだろうなという覚悟が決まったのだと思います。

赤澤:その頃に出会ってますね、僕たち。僕は、高校を卒業して、半年くらい浪人生活を送ったんですよ。その半年間はめちゃくちゃ頑張っていたんですが、頑張りすぎて体調を崩してしまって、予備校に1週間行けなかったんです。1週間休んでしまったら、もう付いていけないかもしれないという怖さが出てきてしまって、行かなくなってしまって。それがきっかけとなって浪人生活もやめました。そこから、引きこもって、家から出ない時期がありましたね。もうダメだと思って。今から考えると、たいした日数ではなかったですが、僕にとってはその時期がターニングポイントになったのかなと思います。そういう時期があったからこそ、今、役者として表現できるものもあるのかなと。

和田:暗黒期だね。

――そこからどうやって抜け出したんですか?

赤澤:僕のいとこが、今の事務所の社長さんと知り合いで、社長の誕生日パーティーに行くことになったんです。それで、「芸能人を見られるから、おいで」と誘ってもらって(笑)。

和田:あはは(笑)。引きこもりから、芸能人が来る誕生日パーティー(笑)。

赤澤:それで、「じゃあ、行ってみようかな」と行ったら、その事務所に入ることになった。そこもターニングポイントですね(笑)。

――ありがとうございました! 最後に公演に向けての意気込みと読者に一言メッセージをお願いします。

和田:特に大きな出来事、物事が起こるわけでもなく、静かに物語が進んでいきます。でも、きっと誰にでも当てはまるところがあると思います。踏み出したいけれど踏み出せないというジレンマを体現しているのがノボルです。劇場からの帰り道に、何か少しでも心の変化があれば僕たちは幸せです。僕たちにとっても、この作品が、動き出すきっかけになる予感がしているので、そうした気持ちをお客さまと一緒に共有できたらと思います。

赤澤:明るいお話ではないですし、こうしたストレートプレイは、元々お芝居が好きな人に興味を持っていただける作品なのかなと思います。でも、心が震えたり、日常では感じ得ないものを得られたりする作品なのではないかと感じています。僕は、10年前、この作品に出演したことで、役者として一歩を踏み出せました。今回、大和が演出を務めているということもあり、より多くの人に楽しんでいただける質感の作品になるのではないかと思います。お気軽に足を運んでいただけたら嬉しいです。

舞台『回転する夜』

https://kaitensuruyoru-stage.com/

 

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スタイリング/手塚陽介
ヘアメイク/齊藤沙織(和田琢磨担当)、山口かな子(赤澤 燈担当)

取材 文:嶋田真己  撮影:早川善博

 

 

 

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