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2020年12月4日 12:00

【前編】柿澤勇人インタビュー! 吉田鋼太郎と挑む『スルース~探偵~』上演!「鋼太郎さんが『狂犬柿澤』と言うのなら、できる限り噛みついていきたいです。」

取材:記事・写真/RanRanEntertainment


吉田鋼太郎と柿澤勇人による『スルース~探偵~』が202118日(金)から東京・新国立劇場 小劇場を皮切りに全国5か所で上演される。吉田鋼太郎は演出も手掛ける。「探偵 スルース」はイギリスの劇作家アントニー・シェーファーが1970年に発表し、ブロードウェイ版はトニー賞を受賞、1972年にはローレンス・オリヴィエとマイケル・ケインの主演で映画化された大人気作。日本でもたびたび舞台化されてきた傑作ミステリーで、今回は推理小説家ワイクを吉田が、ワイクの妻の浮気相手であるティンドルを柿澤が演じる。柿澤勇人に、本作にかける意気込みと演出・共演の吉田鋼太郎への思いを聞いた。

 

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――吉田鋼太郎さんと二人芝居と聞いた時、どう思われましたか?

この企画はけっこう前からあったんです。鋼太郎さんとは『デスノート THE MUSICAL』で初めてお会いして、その時にとんでもない役者さんだなと思ったんです。その後、シェイクスピアの『アテネのタイモン』に呼んでくださって、それもすごくきつい役だったのですが、芝居をやって楽しいと思った久し振りの作品でした。難しい作品でしたが、鋼太郎さんに導いてもらいました。それから僕がぞっこんで「鋼太郎さん、またやろうやろう」と言っていたら今回「カッキー、じゃあ二人で芝居やろうよ」という話になったんです。

――直接、吉田鋼太郎さんから?

そうですね。飲みながらですけど、「また、おまえとやりたいなぁ」って。芝居に関しては、果てしない道だし正解も何もないですけど、僕はもっとうまくなりたい、もっともっと売れたいと思っていて・・・。「そういう思いをおまえが持っている。そういうところが好きなんだ」「俺の若い頃にそっくりだ。考え方とか、常に悶々としている、もっとできる、やりたい、もっと売れたいというのがすごく似ているから、お前と芝居したいなぁ」とおっしゃってくださった。今回のコロナの状況で、演劇はまず一番無駄なものというか、衣食住に関係ないだろうと言われてしまっていましたので、この企画が実現するのかしないのかギリギリまでわかりませんでした。でも検討を重ねてくださってGOサインを出してくださったので、非常に嬉しく思いました。

 

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――『スルース』という作品はもともとご存知だったのでしょうか?

はい。僕が在籍していた劇団四季でもやっていましたし、四季では名優・日下(武史)さんと下村(青)さんなどが演じていて、とにかく名作だというのは知っていました。映画ももちろん観ています。男の復讐劇としては、非常にシンプルでわかりやすいです。人間が何を思って復讐するのか、探り合いというのは演劇としてとてもスリリングだし、この人は何を考えてこのセリフを言っているんだろうと思いながら観るのも楽しいです。

――二人がメインを演じる作品、ということで『スルース』が決まったのですね?

そうですね。こういう状況なので、そんなに大所帯ではできないから、例えば4人芝居や6人芝居にする、という案もあったんですけど、鋼太郎さんが「やるんだったら二人の方がいいよな」と言ってくださって、すごく嬉しかったですね。

――鋼太郎さんにとって初めての二人芝居だそうですね。

そうなんです。けっこうやっていらっしゃるのかなと思っていたら、初めてだそうで、意外でしたね。

 

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――『デスノート』の時に、何が何でも喰らい付いてやろうと、鋼太郎さんの楽屋にまでお邪魔していたと、以前おっしゃっていましたが?

『デスノート』で初めて鋼太郎さんとご一緒して、稽古の本読みの時からえげつない人っていうのがわかりました。本番中もいろいろ仕掛けてきて、悔しいから僕は全部返していたんです。演出家の栗山(民也)さんはアドリブ大っ嫌いなんですけど、鋼太郎さんはライブの感覚が好きだから、稽古でやってこなかった動きもするし、僕は臨機応変に対応していたんです。すると「おまえは、何をやってもアドリブで返すだろ。おまえとそういうやり取りができて、すごく楽しかった」とおっしゃってくださいました。

当時、先輩の藤原竜也さんが「カッキー、吉田鋼太郎って日本一の俳優だから、何が何でも喰らい付いていけ。俺はあいつには絶対勝てない、今は」というのを聞いていたので、よしと思って、本番開始ぎりぎりまで鋼太郎さんの部屋でいろいろ話していました。鋼太郎さんが本当におもしろいのは、何でもかんでも上から教えるのではなくて、僕にも相談してくるんですよ。LINEを見せて、「こんなこと言われたんだけど、これってもうダメかな」とか。そういうピュアなところもあるし、すごく繊細な方です。だから藤原竜也さんとか小栗旬さんとか、今でも鋼太郎さん、鋼太郎さんって言うのだと思いますね。もちろん厳しい人ですが、それでも愛される人です。

 

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――今回は、鋼太郎さんに「狂犬・柿澤勇人」と言われていましたが、どう思われましたか?

どうなんだろう。今置かれている状況には全く満足していないし、売れているなんて微塵も思っていないです。鋼太郎さんにも「おまえいつになったら売れるの?」って嫌味で言われます()。鋼太郎さんは、僕のたまった鬱憤がいつ爆発してもいいと常に思っているので、今回の二人芝居も鋼太郎さんが「狂犬」と言ってくれるのだったら、できる限り噛みついていきたいなと思います。もちろん教わりたい、導いてください、という思いもありますが、それだけではなく戦って勝ちにいきたいなとも思っています。

 

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――舞台の中止がある中、NHKの朝ドラ『エール』へのご出演がありましたがいかがでしたか?

いろいろな世代の方々が、観てくださっているのだと思いました。遠方の親戚からも「見たよ」と言われ、普段他のドラマに出ていてもそういうことは言われなかったので、朝ドラというのは影響力があるのだなと思いました。出演できたことはすごく嬉しかったですね。

――ミュージカル界の方々もたくさん出ていらっしゃいましたね。

はい、続々と。日本におけるミュージカルはまだまだ認知されていないと思うので、『エール」で歌っている俳優を見て、「だれ、この人?」って調べたら、普段は舞台やミュージカルをやっていると知られることは、すごく嬉しいことです。そういった機会がもっと増えたらいいなと思います。

――さきほど、悶々としているとおっしゃっていましたが、こちらから見るとすごく露出されているように見えます。ご自身はまだ足りないと思っていらっしゃるのですか?

舞台はたくさんやっていますが、全然認知されていると思っていないですし、まだまだ足りないと思っていますね。何でそう思うのかなって考えたら、亡くなった蜷川(幸雄)さんが、僕が稽古場に遊びに行った時にいつも、「柿澤、おまえ、売れてんのか。もっと売れるように頑張れ、頑張れ」っておっしゃっていたんです。「ミュージカルばっかりやってるんじゃないよ。やってもいいけど。もっと売れる俳優になれ」というのが蜷川さんの口癖でしたから。もっとうまい人はいくらでもいるし、自分よりかっこいい人は何百人、何千人、何万人っていて、そういうところで生き残っていくために、芝居をもっと磨かなければならないと感じています。

 

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後編 12月11日掲載予定

『スルース~探偵~』
■日程
東京      2021年1月8日(金)~1月24日(日) 新国立劇場小劇場
大阪   2021年2月4日(木)~7日(日)  サンケイホールブリーゼ
新潟      2021年2月10日(水)・11日(木・祝) りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館 劇場
仙台   2021年2月13(土)・14日(日) 電力ホール
名古屋  2021年2月19日(金)~21日(日) ウインクあいち大ホール
■脚本 アントニー・シェーファー
■翻訳 常田 景子
■演出 吉田鋼太郎
■出演  柿澤 勇人(マイロ・ティンドル役) 吉田鋼太郎 (アンドリュー・ワイク役)
■企画・制作 ホリプロ

公式ホームページ https://horipro-stage.jp/stage/sleuth2021/

■ストーリー
著名な推理小説家アンドリュー・ワイク(吉田鋼太郎)は、妻の浮気相手であるマイロ・ティンドル(柿澤勇人)を自身の邸宅に呼び出す。不倫ヘの追及を受けるものだと思っていたティンドルに対し、ワイクは意外にも、「妻の浪費家ぶりには困っている」、「自分にも愛人がいる」と切り出す。さらにワイクはティンドルに、自宅の金庫に眠る高価な宝石を盗み出してほしいと提案する。そうすることでティンドルは宝石とワイクの妻を手に入れ、ワイクは宝石にかかっている保険金を受け取り愛人と幸せに暮らすことができるのだ、と。提案に乗ったティンドルは、泥棒に扮しワイクの屋敷に侵入するが・・・。

 

 

 

 

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