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2022年3月9日 18:00

【前編】井上小百合インタビュー!井上芳雄出演・舞台『奇蹟 miracle one-way ticket』森にいる謎の女性役に挑戦!

取材:記事/RanRanEntertainment・写真/オフィシャル

井上芳雄、鈴木浩介、井上小百合出演、シス・カンパニー公演『奇蹟 miracle one-way ticket』が2022年3月18日(金)〜4月10日(日)まで世田谷パブリックシアターで(※3月12日(土)~17日(木)は公演中止)、4月13日(水)〜4月17日(日)まで、大阪・森ノ宮ピロティホールで上演される。本作は、劇作家・北村想の新作で、演出は「日本文学シアターシリーズ」などで北村作品を多く手がけている寺十吾。名探偵・法水連太郎(井上芳雄)とその相棒(鈴木浩介)が出向いた深い森、そこで二人を待ち受けるものとは?謎が眠る森にいるマリモを演じる井上小百合に、シス・カンパニー作品初出演の思いと稽古の様子などを聞いた。

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――台本を読まれた印象からお聞かせください。

小説のような感じでした。ト書きも今までいただいた台本とは全く違う書き方で、読み物として楽しく読んだのですが、逆に、読み物として完結してしまっている感覚もありました。読み物だったら、読み手が声のトーンとかニュアンスを発想して楽しく読めるけれども、それを舞台上で役者が表現するとなるとまたそれとは別物になってくると思いました。どういう風にやったら最善なのか、いかようにも解釈できるからこそ、役者が自分の思ったように演じた時にどういう風に見えていくのだろうという、何かワクワクと不安が入り混じる感覚がありました。

――シス・カンパニーの公演は初出演ということですが、ご出演が決まった時の心境はいかがでしたか?

とにかくすごく嬉しかったです。自分の夢でもあったので、夢が叶った感覚でした。シス・カンパニーの公演をよく観てきましたし、今度はシス・カンパニー所属の一員として舞台に立てるということで、喜びと共にプレッシャーも感じました。

――プレッシャーもあったのですね?

ありますよー(笑)。事務所の先輩の八嶋(智人)さんからは、先輩方がいっぱいいるのに、井上小百合が出るのだから頑張らなければだめだよ」という言葉をいただいています。自分にとって成長するタイミングになるなと思うので、大事に大事に毎日のお稽古から積み重ねていくという気持ちで臨んでいます。

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――手ごわそうな台本ですが、物語の印象はいかがですか?

ミステリーですが、単純な謎解きの物語とはまた一味違って、脚本の北村想さんは、エンターテインメントにミステリーで味付けしただけ」とおっしゃっています。スパイスとしてミステリーというものを使ってみたけれど、エンターテイメントであるので、ほんとにいろいろなものがふんだんに盛り込まれているんです。単に謎解きではなく、今の社会的な問題にもなっている事柄や、男女の差別やジェンダーの問題だったり、本当にいろいろな要素が含まれていて、多様性がある深い作品だなと思っています。たぶんご覧になった皆さんがいろいろな受け取り方をして、いろいろな解釈ができると思うので、そこがとても難しくもあり、面白くもあり、という感じですね。

――井上小百合さんが演じるマリモについてお伺いしたいのですが

この物語の中でとてもポジションが難しい役柄だと思っています。今も稽古場で葛藤しています。というのも彼女が善にも悪にもどっちにもとれるような感じがあるんですね。だからこそどう表現するのが最善なのかというのが、わからなかったのですが、きっと彼女はとても純粋で、周りの人のことをすごく信用していて、そういう環境の中で生きているからこそ、善にも悪にもなってしまうところがあるのではないかなと今は思っています。最初から含みを持って、影のある感じで演じるというよりも、彼女のピュアな、純粋無垢ゆえという部分をもっと表現していった方が面白くなるのではないかなと、思いはじめています。

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――すごく複雑なお話なのではないかということが伝わってきましたが、作の北村想さん、演出の寺十吾さんからはどのようなお話がありましたか?

北村想さんが「辻褄の合うものを作ってしまったらつまらない」とおっしゃっていて、だから単純明快なミステリーというよりも「あれ?これどうなんだろう?」「あっ、もしかしたらここの台詞はここに繋がっているのではないか?」というようにいろいろな伏線が張り巡らされていて、ほんとに複雑なお話です。一つの答えにはたどりつかない感じですね。北村さんとお話してみて、ご本人もとても独特な方(笑)。初めてお話ししたのですが、脳内がほんとうに緻密な方なのだなと思いました。それがすごく面白くて、この人の脳内をそのまま戯曲にして、これを演じたらどうなるのだろう?と想像もしました。演出の寺十さんは役者に歩み寄ってくださる方だなと思います。ご本人も俳優でいらっしゃるので、その距離が近いのかもしれませんが、演技の方向性を一緒に考えてくださる方です。先日の稽古でも、ここの「だけども」という台詞はどういう意味なんだろうね?とおっしゃって、一緒に考えてくださいました。それが、自分にとってもとても斬新な経験で、毎日これまでの稽古ではなかったぐらい頭を使うんです。皆さんも「すごく頭が疲れる」とおっしゃっていて、本当にフルに脳を使う稽古なんですよ(笑)。それがまた楽しいですね。

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――演出の寺十さんも探りながらという感じなのですか?

そうですね。ご本人もこんなの初めてだとおっしゃっていました。迷いの森に迷い込むお話なのですが、今、カンパニー全員が迷いの森に迷い込んでいる感じで(笑)、座組が一丸となっていっている感じがしてそれが楽しくて。もうドツボにはまった時に、「これはもう一回、想さんに話してみようか」と言いながら、常にディスカッションをしながら全員で作っています。こんなに脚本家さんに何度も「ここは、どういうことなんでしょう?」と投げかける現場はなかったので、それもすごく新鮮ですね。

――北村さんにお聞きすると、答えがで出てくるのでしょうか?

答えというより「役者さんに委ねます」という感じです。いくつか答えへの道筋は提示してくださって、「このうちのどれかに見えるように演じてくれてもいいし、様々な受け取り方ができるように演じてくださっても構わないです」というように、もうそれはその役者さん次第みたいなところもあって、すごくプレッシャーも感じます。これがまた今回とは全然違うキャストが集まっていたら、全く違う作品になったのかもしれません。今回のメンバーだからこそ、できるものがあると思うんです。一つの事実に向かっているというより、私たちでどういう作品ができるのかという答えに全員で向かっている感じです。

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舞台『奇蹟miracle one-way ticket』
東京公演:2022年3月18日(金)〜4月10日(日) 世田谷パブリックシアター
(※3月12日(土)~17日(木)は公演中止)
大阪公演:2022年4月13日(水)〜4月17日(日) 森ノ宮ピロティホール

作:北村想
演出:寺十吾
出演:井上芳雄 鈴木浩介 井上小百合 岩男海史 瀧内公美 大谷亮介
企画・制作:シス・カンパニー
東京公演 提携:公益財団法人せたがや文化財団/世田谷パブリックシアター
後援:世田谷区
大阪公演 運営協力:サンライズプロモーション大阪
公式サイトhttps://www.siscompany.com/kiseki/

【STORY】
男の名は、法水連太郎(井上芳雄)。警視庁などのコンサルタントも務める私立探偵である。そして、何かとこの探偵を支えてきたのが、高校時代からの親友で、現役の医師である楯鉾寸心(鈴木浩介)だ。ある時、探偵が残した「キキュウの依頼あり、出かける」との書き置きを見て、楯鉾は彼を追いかけ、深い森へと迷い込んだ。そこで、傷を負い深い眠りについた探偵・法水を見つけ出したのだが、目覚めた探偵はあたりを見回し、こう口を開いた…「誰だかワカラヌ私は、何処だかワカラヌここで何をしているのだ…」

探偵は、この”迷いの森“から何の依頼で呼び出されたのか…。一体、依頼者は誰なのか…。記憶を失くした名探偵とその親友は、出口の見えない森の奥深くへ歩を進める…そこに次々と現れる謎に満ちた人々は、現実なのか、はたまた忘却の記憶が生んだ幻なのか…

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