
瀬戸康史(主演)と有村架純の共演、白井晃・演出による舞台『キュー』が、2026年11月15日より東京・東京芸術劇場プレイハウスにて、12月4日より大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて上演されることが決定した。
2019年に『ニムロッド』で芥川賞を受賞した作家・上田岳弘による長編小説『キュー』 (新潮社刊)は、テクノロジーが発達し続ける人間社会の中で、「人間とは何か」「“わたし” とは誰なのか」を問いかける作品で、第二次世界大戦期、現代、そして700年以上先の未来という3つの時間軸が交錯する。物語では、AIやネットワークといったテクノロジーによって現実と情報の境界が曖昧になっていく世界の中で、人間の記憶や存在の意味が描かれる。白井晃の長年の構想を経てついに舞台化が決定。本作で、上田岳弘の文学を、演劇により拡張させた新たな「キュー」として立ち上げる。
主演は、白井晃演出の舞台『マーキュリー・ファー Mercury Fur』(2015 年)で凄烈な印象を残し、映像のみならず舞台界でも確固たる地位を築いてきた瀬戸康史。以来、白井氏との再会と新たな作品創りを望み続けていた瀬戸の想いが実を結び、満を持しての待望のタッグがここに実現。本作では平凡な心療内科医として暮らしながらも、突如見知らぬ組織に拉致され、壮大な事件に巻き込まれていく主人公・立花徹を演じる。
立花徹の高校時代の同級生で、前世の記憶を持ち、「私の中には第二次世界大戦が入っているの」と鮮烈に言い放つ渡辺恭子役には有村架純。白井晃演出の『ジャンヌ・ダルク』(2014年)で初舞台にして鮮烈な主演を務め上げて以来、実に5年ぶりの舞台出演となる。瀬戸と有村の共演は2017年の映画『ナラタージュ』以来9年ぶり。数々の名作を経てキャリアを重ねてきた二人が、白井晃の緻密な世界観の中でどのような化学反応を見せるのか期待が高まる。
そして、立花徹と知り合いで製薬会社に勤める会社員・東藤恭子には石田ニコル。冷凍睡眠から目覚めた人間に語りかける自動音声のような存在・Lost Langage No.9を井内悠陽、立花徹を拉致した秘密結社の構成員・武藤勇作を加治将樹が演じる。さらに、立花徹の祖父であり、半世紀以上寝たきりで過ごしている男・立花茂樹を演じるのは名優・田中哲司。
実力派俳優陣と白井晃によって生み出される『キュー』。人類の過去と現在、その到達点が壮大なスケールで立ち上がるとき、世界に潜むわずかな違和感に、ふと気づかされるかもしれない。
あらすじ 平凡な心療内科医として暮らしていた立花徹(瀬戸康史)は、ある日突然、秘密組織「等国(レヴェラーズ)」の構成員・武藤勇作(加治将樹)に連れ去られる。そこで知らされたのは、半世紀以上寝たきりだった祖父・立花茂樹(田中哲司)が突如目を覚まし、姿を消したという事実だった。その行方を追う鍵を握るのは、高校時代の同級生で、「私の中には第二次世界大戦の記憶がある」と語る渡辺恭子(有村架純)だった。さらに、徹の知人で製薬会社に勤める東藤恭子(石田ニコル)も、この不可解な出来事に巻き込まれていく。一方、700年以上先の未来では、Lost Language No.9(井内悠陽)とともに、人類の未来を左右する計画が始動しようとしていた。戦時下の日本、現代、そして遠い未来――。 3つの時代に散らばった記憶が交差するとき、「わたし」という存在の輪郭が揺らぎはじめる。“残される記憶”と“個の行方”をめぐる、時空を超えた物語。

白井晃(演出) コメント
小説「キュー」が刊行されたとき、私はその世界観に打ちのめされました。私たち人類の現在の立ち位置と今後を予見する未来図に圧倒されたからです。その驚くべき視線に恐れを感じながらも、この世界をなんとか演劇という生身の表現に転化できないかと夢想しました。そして、その思いは初めて小説を読んだときから決して消えることはありませんでした。私たち人間はこれからどこに向かうのでしょうか。第二次世界大戦後の日本に生きる私たちは、どこから来て、どこにいて、この先どこに向かうのでしょうか。原爆投下の記憶を身体に持つ少女と、その状況に対峙した人物の遺伝子を受け継ぐ男の出会いは、時間を超え、空間を超え、肉体の形状をも超えてつながり続けます。効率化は、猛烈な孤独感を私たちに与えます。だからこそ、肉体を失ってもなお、愛を求めてやまないのです。原作者である上田岳弘氏の協力を得て、この作品を演劇化できることに至福の喜びを感じています。恐らく、私にとって最も重要な作品になると思います。
瀬戸康史 コメント
演出の白井さんとは、僕の俳優人生の転機となった作品『マーキュリー・ファー』以来、十数年ぶりにご一緒します。あの時、白井さんの演出を受けていなければ、俳優を辞めていたかもしれません。それくらい大きな出逢いでした。有村さんとは3度目の共演です。落ち着いた癒しの雰囲気があり、内からエネルギーが溢れ出している印象です。
この『キュー』という作品も、ある人物たちの出逢いがキーワードのひとつです。僕が演じるのは立花徹という産業医。現代人を象徴するような人物です。そんな彼が、様々な人や、人のようなものと出逢い、見ようとしてこなかった自分自身を含めた物事に向き合っていく物語です。
今時代は、SNSやスマートフォンの普及から情報が一気に飛び込んできて、それに加え日常生活でやらなければいけない事も多い。気がついた時には自分が何者なのかわからなくなっている。そんな恐怖を感じる瞬間があります。
『自分を失わないために、あなたはどう行動する?』
稽古に入る前の今、そんな問いを投げかけられているような気がします。
有村架純 コメント
舞台への挑戦を続けていきたいと考えていたタイミングで、約12年前の『ジャンヌ・ダルク』でお世話になった白井晃さんからお声がけいただき、本当に嬉しいです。今回は恩返しのような気持ちで臨めることに、大きな意味を感じています。また、20代前半の頃にご一緒した瀬戸康史さんと、再び共に戦えるご縁も心強いです。
初めての舞台では右も左もわからず、客席に背を向けて立ってしまうような状態だった私に、白井さんは同じ目線で一から向き合ってくださいました。そんな白井さんと今、どのようなセッションができるのか、どう作っていけるのか、今からとても楽しみです。
本作は小説を原作としていますが、私たちの身体を通してしっかりと具現化していきたいです。
劇場でしか味わえない体験がお届けできるよう、ぜひ多くの方に足を運んでいただければと思います。
舞台『キュー』
東京公演: 2026年11月15日(日)~29日(日) 東京芸術劇場プレイハウス(全18公演)
※チケット発売日: 8月1日(土) 10:00
大阪公演: 12月4日(金)~6日(日) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ(全4公演)
※チケット発売日: 8月1日(土) 10:00

