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2018年9月19日 12:02

【後編】荒木宏文インタビュー、落ち着いた雰囲気を大人たちで描く舞台『文豪ストレイドッグス 黒の時代』

取材:記事・写真/RanRanEntertainment

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——匂わせないって、逆に難しい気がします。

うん、そうですね。匂いすら存在しないように感じさせるからこそ、裏切られたときのショックがでかい。「あれは本心でやっていたの?」「あれが芝居だったの?」っていうショックもあるだろうと思います。それに、それぐらい隠し通せる人じゃないと、秘密情報員(注:坂口安吾は秘密情報員という設定)にはなれないと思うんですよね。何も漏らさず隠し通すというスキルが高い人間だというのが根底にある。そういう人間だと割り切って、シーンごとに成立させていくことが、プラスに働くのではないかなと思います。

——このところ、文豪の役が続いています(注:荒木は、9月2日まで歌劇『明治東京恋伽〜月紅の婚約者〜』で森鴎外役を演じていた)が、役作りをするときに、それら文豪の歴史的な事実まで掘り下げますか?

歴史上の人物としてしっかり描かれているときはそうしますが、今回は「坂口安吾」という名前であって、あの文豪の坂口安吾ではない。だから、そういう意味で調べなかったです。森鴎外をやったときもそうです。史実や歴史を調べれば台本と違うこともあって、矛盾点が出てくるんですよ。でも、そういう矛盾点を気にするよりも、舞台上でどうあるかが大事なんだと思います。その舞台を描くために作られたキャラクターがそこにはいて、話を進める上でも作品の中で置かれているポジションを優先させるべきだと思うんです。セリフが入ってきて、余裕ができてきて、芝居が固まってきて、でも何かもうちょっとスパイスがほしいってなったら調べるかもしれないですが、それぐらい優先事項としては後ろにあります。

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——共演の多和田さん、そして織田作之助役の谷口賢志さんの印象は?

多和田くんとは一度共演したことがあるんですが、そのときは、舞台上で絡みがある関係ではなくて、一緒にお芝居をしたっていうのを味わえなかった。今回は絡めるので楽しみです。一緒に食事に行ったこともあるんですが、芝居についてもしっかりした考えを持っているので、ちゃんと共演したいなと思っていたので嬉しかったですね。

谷口さんとは今回が初共演です。僕の周りの人たちは共演をすごく喜んでくれているんですよ。谷口さんとも僕とも共演している友達や、共通の知り合いからは、「合うか合わないかはわからないけれど、確実に化学反応が起こる相手だ」と思われていたみたいで、(二人が共演するのは)面白いって言ってくれる人が多いんです。そうやって、周りから聞いていたこともあって、稽古が始まる前から共演できることを楽しみにしていました。

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——実際にお稽古が始まって、お二人の印象はいかがですか?

多和田くんは、幅広い作品に出ているだけあって、セリフ回しのテンポがすごくいい人だって思ってます。実はそれって、この作品での芝居において、重要なポイントなんです。彼が太宰という役をやっているのはすごく意味があって、そのテンポの良さが説得力も生んでいる。しかも、彼は第一弾にも太宰役で出演しているので、すでに役が完成しているんですよね。今はそこからさらにどうしていくかを模索しながら一生懸命頑張ってますね。

谷口さんは、ストイックな人という印象です。セリフ量が多いし、アクションもいっぱいある役ですが、セリフも早々に覚えちゃってますし、ゼーハーゼーハー言いながらも何回もアクションシーンを繰り返しているんですよ。本当に40歳? ちょっと頑張りすぎじゃない?って思うような人(笑)。でも、自分には厳しいけれど、周りにはめちゃくちゃ優しいんですよ。稽古以外の時間は、すごく柔らかくてふわふわしている感じの人です。

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——周りから期待されていた、谷口さんとの化学反応は実感されています?

自分のことなんでそれはわからないです(笑)。でも、芝居をしていて楽しいですよ。楽しいですけど、それが化学反応なのかはわからない(笑)。

——ところで、もともとアニメをご覧になっていたということですが、普段からアニメはよくご覧になるんですか?

観ますね。表現者として、エンターテイナーとして声優さんを尊敬してますんで。

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——どんなジャンルのアニメをご覧になっているんですか?

幅広いです。ジャンル「アニメ」で自動録画しているんで(笑)。だから、(アニメの中の)ジャンルは俺の権限では決められてないです、機械が勝手に決めて録ってます(笑)。

——声優さんのどんなところに尊敬を抱いているのでしょうか?

声優さんは、絵という近づきたくても近づけないフィルターを通して憧れられ続けている人たちだと思うんです。そういう存在って、最高のエンターテイナーだと思うんですよ。最近では、近しい芸能人というのも増えていますが、俺は、やっぱり「手が届かない、でも追いかけたくなっちゃう」のが芸能界だと思っているんです。理想論ではありますが、絶対的距離感を感じるぐらいのものを提示していかなきゃいけないって思っている自分がいて…。それを体現しているのが声優さんだなって感じて、すごく尊敬しているし、だからこそ、アニメはたくさん観て勉強してますね。

——声優の仕事を本格的にやりたいという思いもあるんですか?

やりたいですよ。やりたいですけど、シフトチェンジするという話とはまた違うと思う。声優の仕事をやらせてもらえるならぜひやりたいし、実際に、今もやっています。やっていても楽しい。でも、そんなに甘いものでもないでしょうって思っているから、バンバン仕事がとれるものでもないと思うし、逆にいただけたときは全力でやらせてもらっています。

——声優としての活躍も楽しみにしています。最後に、ファンの方へメッセージを。

「黒の時代」は大人な雰囲気がある作品ですが、文ストらしい異能力を使ったバトルアクションも華やかな部分もしっかりと描かれています。それから、奥行きのある言葉がすごく多いので会話劇としても楽しめると思いますし、演劇的にも惹きつけられる部分がある。会話劇が好きなんだよねって人にも、2.5次元らしい華やかなショー的な作品を観たいって人にも満足していただける要素が詰まった作品になっていると思うので、ぜひ劇場で楽しんでほしいなと思います。でも、どうしても都合がつかないとか、旅費にお金がかかりすぎて劇場まで行けないって方には、ライブビューイングも決まっているので、ぜひそちらを(笑)。一回観ればハマると思います。まずはぜひ、観てください!

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舞台「文豪ストレイドッグス 黒の時代」

【出演】谷口賢志、多和田秀弥、荒木宏文、林野健志、窪寺 昭、大渕野々花、加藤ひろたか、熊野利哉、長江崚行 ほか
【原作】テレビアニメ「文豪ストレイドッグス」
【演出】中屋敷法仁
【作】御笠ノ忠次
【協力】朝霧カフカ・春河35
【日程・会場】
【東京公演】2018年9月22日(土)〜10月8日(月・祝) サンシャイン劇場
【大阪公演】2018年10月13日(土)〜14日(日) 森ノ宮ピロティホール
【HP】http://bungo-stage.com/

【あらすじ】
常人ならざる「異能」の力を持ちヨコハマの裏社会に巣食う悪虐の徒、その名は「ポートマフィア」。最年少幹部・太宰治、下級構成員・織田作之助、秘密情報員・坂口安吾。階級を重んじる組織にありながら立場を越えて交わる3人は、仄暗いバーのカウンターに肩を並べ今夜もグラスを傾ける。あの日、ひとりが消息を経つまでは…。男は何を求めてマフィアとなり、何を失い訣別したのか? 胸襟を開かぬ彼らに代わり一葉の写真が物語る。黒の時代、闇の中に“光る”何かを。これは、まだ太宰治が「武装探偵社」に入社する前の話である。

 

 

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