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2019年10月3日 22:24

舞台『どれミゼラブル』早乙女友貴×池田テツヒロ対談「この作品は自分の話だ!」

取材:記事・写真/RanRanEntertainment

103日(木)から東京・博品館劇場にて舞台『どれミゼラブル!』が上演される。本作は可児理華が脚本を書き下ろし2014年に初演され、大好評を博した作品。再演にあたり池田テツヒロを演出に、松本幸大(宇宙Six /ジャニーズJr.)を主演に迎え、室龍太(関西ジャニーズJr.)、石垣佑磨、岩田華怜、金田哲(はんにゃ)、早乙女友貴、石橋徹郎(文学座)が、演劇の街・下北沢の片隅にあるアパート「コーポ・レミゼ」を舞台に珍騒動を繰り広げる。

本作で大部屋の歌舞伎俳優・中村鶴若役を務める早乙女友貴と、演出の池田テツヒロに話を伺った。

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――この作品のお話が来た時の役者として、演出家としての率直な気持ちから教えてください。

早乙女 お話をいただいた時はまだ台本をいただいておらず、あらすじだけ伺ったんですが、面白そうだなと。そして、今回はイケテツ(池田)さんが演出をすると聞いてそれだけで出演を決めました(笑)。

池田 ええっ!聞かなきゃよかった。プレッシャーでしかないわ(笑)。

早乙女 (笑)。僕、イケテツさんのファンなんです。ドラマ『トリック』が大好きで、イケテツさんが役者として出演されているのを観ていましたし、そんなイケテツさんがどんな演出をするんだろうって興味もあって、すーっごい楽しみだったんです。

池田 期待されるとプレッシャーです。本当に(笑)。

 

――脚本を改めて受け取って読んだときの印象はいかがでしたか?

早乙女 僕、大衆演劇の時はこういう共同生活をやっていたんです。楽屋に布団を敷いて皆で雑魚寝とかもしていました。その時に比べると今回のアパートなんてむしろ贅沢なほうですよ。皆でくだらない事をしながら芝居の稽古をしたり、そんな日々の繰り返しでした。すごく懐かしいなって思います。

池田 そうそう、この作品に出てくるアパートのほうがずっとリッチですよ!テラスハウスっぽくしていますしね。こんなにかわいらしいアパートじゃねえぞって(笑)。

この脚本を読んだとき、これは自分自身の話だな、懐かしいなあという感じでしたね。若い頃、世田谷にあった下宿に住んでいたんです。そこには他に役者が二人くらい住んでいました。家賃も安くて月25千円で、世田谷なのに格安で。今もまだあるんです。クロムモリブデンという劇団の森下亮くんやライオンパーマという劇団の人などもまだ住んでいるんですよ。

だからこそ、自分が知っていること、体験してきたことなど「役者が住むアパートあるある」がたくさんあり過ぎて、かえって生々しくて。果たして冷静にこの作品の演出ができるのか、エンターテイメントになりうるのかな、と思いましたね。

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――「役者が住むアパートあるある」が気になりますね!

池田 でもこの作品に出てくる役者たちって結構年齢的にはシビアですよね。環境は割といいかもしれません。自分で言うのもなんですが、僕も早乙女くんもまだ売れているほうで、このアパートの住人たちは売れていないので切迫感がありますね。30から40代、石橋さんに至っては僕と同い年なので50歳手前ですから。その年齢で芽が出ていないなんて基本アウトですよ(笑)。でも俳優ってある日突然日の目を浴びる事がありますから、ミュージシャンよりはまだ可能性がなくもない(笑)。

この物語の最後でも描かれていますが、色々なタイプの人生のゴールがあるのでそのあたりを楽しみに見てほしいですね。

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――早乙女さんは大部屋の歌舞伎俳優役のということですね。

早乙女 歌舞伎俳優役か!って思いましたね。大衆演劇とは全然世界が異なりますから、日本の伝統芸能として認められている歌舞伎の役者を大衆演劇の役者がやるということはいろいろな想いがありますが、逆に面白いんじゃないかなと。歌舞伎の方々に怒られないようにやろうかなって(笑)。

池田 早乙女君が演じる役は「かぶく者」という漫画の主人公をモデルにして演出しています。江戸時代に「江島生島事件」として歌舞伎界を揺るがせた生島の子孫が歌舞伎界に入門するんですが、大分変り者で上品さは持ち合わせていないが天才的な演技をする、その役柄に今回の役どころが非常に重なるなあって。僕は大衆演劇が大好きなので、早乙女くんの魅力を中村鶴若役にリンクさせたいと思って作っています。

 

――イケテツさんの演出はいかがですか?

早乙女 こんなに丁寧な演出家さんとお仕事するのは初めてです。なおかつ皆、自由にやらせてもらっている。僕らが自由にやっている中からイケテツさんが面白いところをピックアップして固めてくださるので、こちらからとしたらやりたい放題でやりやすいです。

池田 今回は「人に委ねる」がテーマです。それまでは自分でホンを書いて自分で演出するスタイルだったから、自分がやりたいことでガチガチにしていた感があったんですよ。それがやっている役者にとっては面白くないし、演出する僕としても自分の枠を超えることができないんです。でも自分が役者をやるときはもっと自由にやりたいなーと思っていて。それを思うと俺って小さい人間だなあって思うんです(笑)。だから今回は皆さんに委ねてやっているので毎日楽しいですよ。

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――主演の松本さん、そして室さんの様子はいかがですか?

池田 やっぱり凄いですね。スキルを持っているなって思いますね。ジャニーズの中でも下積みが長かった二人だから、何でもできる。だから何をさせるか、は私のチョイスにかかっていますから何かあったときはすべて私の責任となるでしょう(笑)。松本くん、室くん、そして早乙女くんだけでなく他の皆さんも何でもできる方ばかり。彼らのスキルを活かすも殺すも私次第ですから。異種格闘技なところがあり、皆歴戦のグラディエーターですからね。ごった煮のような作品であり、これでもかといろいろな物を詰め込んだ作品なんです。欲張りな作品でもありますが、良質なものが出来ていると思いますよ。

早乙女 いい意味でお客さんも肩の力を抜いて芝居を楽しめる作品だと思います。ただその肩の力が抜けすぎてだらけた芝居にならないようにこっちが引き締めて演じていきたいですね。

池田 早乙女くんは一番そのことを感じて演じることが出来る人なんだろうね。お芝居って一瞬の油断で途端に壊れてしまうもの。その怖さを一番知っているのは早乙女くんだと思うんです。

 

――稽古場はどんな雰囲気ですか?

池田 稽古場では誰がムードメーカーだろう?

早乙女 金田さんですね。いつもふざけてますから(笑)。

池田 金田さん、ものすごく明るいんですよ。芸人さんって普段はものすごく暗かったり、省エネモードに入る人が多いんですが、金田さんはそうならないところが凄い。

早乙女 僕も初めてですよ、こんなにオンな感じの人って。サービス精神だと思うんです。稽古場のバランスがとにかくいいんですよ。金田さんがどんなにふざけてても集中しなければならない場面では皆すぐシュッとなりますから!大丈夫な時は乗っかり、放っておくときは放っておける、そういうバランスの良さがありますね、この座組みは。

 

――イケテツさんご自身も出演する側として参加したくなったりしませんか?

池田 僕は他人の脚本を演出するのが初めてなんですよ。だから演出もやって、出演もとなると片手間になってしまうから。ですが、まずは演出に徹したかったという気持ちのほうが強いんです。今は、脚本や演出の仕事にシフトしているんです。映像の仕事では俳優をやっていますけどね。

 

『どれミゼラブル!』
【東京公演】2019103()1014(月・祝) 博品館劇場
【大阪公演】20191017()1022(火・祝) 松下IMPホール
【福岡公演】20191030() 31()  ももちパレス 大ホール
【宮城公演】2019113()4(月・休)  電力ホール
[演出]池田テツヒロ
[脚本]可児理華
[出演]松本幸大 / 室龍太 / 石垣佑磨 / 岩田華怜 / 金田哲 / 早乙女友貴 / 石橋徹郎

 

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