取材:記事・写真/RanRanEntertainment
ミュージカル『ボディガード』日本キャスト版の上演が3月19日より梅田芸術劇場メインホールで開幕し、4月3日からは東京・東急シアターオーブでおこなわれる。レイチェル・マロン役で出演する柚希礼音が合同取材に応じた。
本作は1992年にケビン・コスナーとホイットニー・ヒューストン主演で大ヒットした映画『ボディガード』を舞台化した作品。グラミー賞受賞曲「I Will Always Love You」をはじめ、映画楽曲を数多く使用した大型ミュージカルとして、2012年ロンドン・ウェストエンドで初演された。イギリスで最も権威のある「英国ローレンス・オリヴィエ賞」において、最優秀作品賞を含む4部門にノミネート。オランダ、ドイツ、韓国、カナダ、イタリア、オーストラリア、スペイン、フランス、オーストリア、アメリカなど世界中で上演され、2019年9月には来日公演が行われた。
そしていよいよ2020年3月、新演出による日本キャスト版が上演される。振付・演出は、スティーブン・スピルバーグ製作総指揮のNBCミュージカルドラマ「SMASH」の振付でエミー賞受賞しているジョシュア・ベルガッセ。宝塚歌劇宙組『WEST SIDE STORY』(2018年)の演出・振付も手掛けている。映画ではホイットニー・ヒューストンが演じた謎のストーカーに狙われる人気絶頂のポップシンガー、レイチェル・マロン役を柚希礼音と新妻聖子がWキャストで演じる。ケビン・コスナーが演じたボディガード、フランク・ファーマー役には、ミュージカル初挑戦となる大谷亮平。レイチェルの姉ニッキー・マロン役にAKANE LIV、つきまとう正体不明のストーカーを佐賀龍彦(LE VELVETS)・入野自由(Wキャスト)、広報担当サイ・スペクターに 水田航生、旧来のボディガード、トニー・シベリに大山真志、マネージャー、ビル・デヴァニーに内場勝則が出演する。
――『ボディガード』はいつかはやりたいと思っていた作品だったのですか?
『ボディガード』の映画は小学校か中学校の頃に流行っていたのでもちろん知っていました。その後宝塚のときに、ミュージカル「ボディガード」が上演されるのを知り、非常に興味がありました。その当時は自分が『ボディガード』のレイチェル役をするなんて思ってもいなかったです。
――2019年9月の『ボディガード』来日公演をご覧になっていかがでしたか?
その前にスコットランドで同じキャストで観ていて、ミュージカルならではの盛り上がりが最初からあり、映画とは違う良さがあるなと思いました。コンサートの場面から始まり、歌でどんどん引き込まれていきました。
――スコットランドでご覧になったというのはレイチェル役のお話が来てからですか?
オーディションを受ける前ぐらいです。
――オーディションを受けられたのですか?
そうです。オーディションがあって。
――柚希さんがオーディションを受けてまで役を取りに行かれることにちょっと驚いたのですが、その辺りのお気持ちを教えてください
オーディションって宝塚の時は受けたことがなくて、退団してから『ビリー・エリオット』で初めてオーディションを受けました。オーディションはとても緊張するのですが、『ボディガード』はやっぱりとても挑戦してみたかったので、受けさせていただきました。
――どんなオーディションだったのですか?
歌を3曲歌いました。しかもホイットニーの歌3曲だったので、様々な歌の上手な方がきっと受けられたでしょうし、自分もかなり稽古しましたけど、受かった時はほんとうに嬉しかったです。
――演出家のジョシアさんから何かお話はありましたか?
まだ決定ではありませんが、ダンス部分が増えるかもしれないと言われています。
――レイチェル役についてはどのようにとらえていらっしゃいますか?
すごくプロ意識があって責任感が強い人です。シングルマザーで、過去に大恋愛をしたか、何かすごく辛い別れを経験した人なのだろうなと思います。女性が一人で踏ん張って生きている、弱いけど強い、という辺りが、見れば見るほど共感できます。それでいてボディガードを好きになってしまう、スターだけれども人間味溢れる女性だと思うので、そこを繊細にやっていきたいなと思います。
――同じスターとして共感される部分は?
とても孤独そうに見えます。何でも持っているように思えますが、案外そうでもないのかなと。命を狙われながらも観に来てくれる人たちのために絶対にステージに立つという、覚悟や責任はすごく共感します。
――共演の方が実力のある方々ばかりですね。レイチェルの姉役を演じるAKANE LIVさんが(宝塚の)同期ですよね?
そうなんです。こんなことってあるのですね。このお姉さん役もオーディションだったと思うのですが、そこでイギリスの方が同期と知らずに選んでくださっていることもすごいなぁと思います。同期ならではの喜びや親しみや、それでいて姉妹の嫉妬や複雑な関係性も表現できたらなぁと思っています。
――AKANEさんも歌がうまい方ですよね?
歌は同期の中でもずっと一番だったと思います。
――柚希さんはご自身としては歌と踊りだったらどちらの方が得意だと思っていらっしゃるのですか?
ずっと踊りです。バレエを始めて、芸事を始めたので、ずっと周りからも言われ、自分でもそう思ってやってきました。
――今回は歌もたっぷりですね。
そうなんです。なので、挑戦でがんばります。
――来日版の時に3人で登場されたときにファンの方からものすごい歓声があがり、期待をひしひしと感じられたと思いますが?
大谷さんはボディガードそのものですし、自分のイメージするボディガードにもピッタリというか、朴訥した感じとか、真面目そうな感じが最高だなと思います。
新妻さんもすごく歌の上手な方で。初めてご一緒するのですがいろんなことを学ばせていただきながらやろうと思います。
――Wキャストということについてはいかがですか?
意識しないようにしても難しいですね。相手の方からいろいろとお勉強できるので、
今回も全然キャラクターが違いますし、得意なことも違いますので、勉強しながら高めていけたらなぁと思っています。
――柚希さんは、ボディガードが欲しいなぁと思ったことは?
『ボディガード』が流行った時から、あんなかっこいい人に守ってもらいたいとは誰もが思ったのでは?と思います(笑)
――大谷さんのようなボディガードがいらしたらどうなのでしょうね?
それは恋に落ちるでしょうね(笑)
――今の柚希さんのテーマ、課題をお聞かせください?
今回は、ほんとにすべての舞台人生を賭けてるといっても過言ではない役ですので、今までで一番高いハードルな気がします。何よりホイットニーの歌を、みんなが知っている歌を歌うのは大変なことなので とにかく必死に頑張るのみです。
――ずっとボイストレーニングを続けていらっしゃるのですか?
はい。年末に時間があったので、声帯についての勉強ができました。今までは与えられた曲を初日までに覚えて歌うということでやってきましたけど、体の使い方や細かいことを勉強する機会がありましたので、頑張ります。
――あの曲の難しいところはどこなのでしょうか?
ブラックミュージックのノリが、今まで通ってこなかったのでいろいろな先生方に助けていただきながらモノにしていきたいと思っております。
――日本キャスト版の楽しみにしていただきたいところはどこですか?
これから会議を重ねながら決めていくと聞いているのですが、先ほどお話ししたように、「踊り」が増えるのではないかと思います。
また演出家のジョシュアさんと話し合いながら、日本のお客様によりしっくり来るように脚本や歌詞を考えていくと思います。
是非とも楽しみにしていてください。
そして、カーテンコールは一緒に盛り上がりましょうね。
――柚希さんのステージシーンが楽しみです。
そこは自分もいろいろコンサートをやってきたものを活かしつつ、できたらいいなと思います。
スコットランド、来日版、そして先日韓国でも観たのですが、(役者)本人の魅力が様々なレイチェルを作っているので、私らしいレイチェルを求めていこうと思います。
――最後に皆さまに向けて一言お願いいたします。
ほんとうに覚悟を持ってこの作品に挑もうと思うので、多くの方に観ていただきたいと思います。
――ありがとうございました。
『ボディガード』日本キャスト版
原作:ローレンス・カスダン作ワーナー・ブラザース映画「ボディガード」
脚本:アレクサンダー・ディネラリス
訳詞:森 雪之丞
翻訳:阿部のぞみ
編曲:クリス・イーガン
演出・振付:ジョシュア・ベルガッセ ※英国版来日公演とは演出が異なる。
◆公演日程:
〔大阪〕2020年3月19日(木)~3月29日(日)梅田芸術劇場メインホール
〔東京〕2020年4月3日(金)~4月19日(日)東急シアターオーブ
公式HP http://bodyguardmusical.jp/
ヘアメイク:CHIHARU
スタイリスト:間山雄紀(M0)