取材:記事・写真/RanRanEntertainment
1996年の初演以来ブロードウェイで12年4か月のロングランを記録した伝説のミュージカル『RENT』。2017年以来3年ぶりとなる『RENT』日本版の公演が2020年11月2日(月)から日比谷シアタークリエで開幕する。本作は、プッチーニのオペラ『ラ・ポエーム』をベースに舞台を20世紀末のニューヨーク・イーストヴィレッジに置き換え、若き芸術家、音楽家たちが貧困、エイズ、ドラッグ、同性愛といった死と隣り合わせの状況の中、夢に向かって輝き続けようとする姿を描いている。マーク・コーエンを演じる平間壮一と、マークのルームメイト、ロジャー・デイヴィス役の甲斐翔真に舞台への意気込みを聞いた。
甲斐翔真 平間壮一
――平間さんは今回『RENT』3回目のご出演ですね。出演が決まった時の感想から教えてください
平間:もうほんとに最初はめちゃくちゃ嬉しかったです。でも、めちゃ嬉しいというのはほんの一瞬で、ほんとにやるんだなと想像すると鳥肌が立つぐらい緊張しました。
――甲斐さんは初めてのご出演ですね
甲斐:『RENT』のオーディションが人生で初めてのオーディションだったんです。決まった当時は嬉しかったのですが、実感が湧かなくて、あの『RENT』の世界観、ロジャーとしてそこで生きていくということが想像がつかなかったです。未知なので、楽しみでもありますが、まだ不安の方が大きいです。ブロードウェイの作品を日本でやるということ、そして日本人の僕が演じるということがどういうことなのか、これからいろいろ直面していくのではないかと思います。
――作品はご覧になったことがあったのですか?
甲斐:ありす。オーディションを受けることになった時に日本版は上演していなくて、来日版をちょうどやっていて、観たのが初めてです。その前に映画を観ていました。やっぱりミュージカルで観たときの、あの空気というか、衝撃的でしたね。ミュージカルなのか、ライブなのか、演劇なのか、全部入っていると思った記憶がありますね。こんなものをどうしたら作り上げられるかという不思議と、舞台を観たときはまだ決まる前だったので、不安で仕方なかったです。それは未だに思いますけど。衝撃というのはかなりありました。
――その時はロジャー役を意識して?
甲斐:そうですね。ロジャーに対して、本当に高い壁を感じました。
――どうですか?平間さん、今のお話聞いて。
平間:すごく難しいんですよ、ほんとに。なんで海外の方ってあんなに馴染むんだろうって思います。前の『RENT』の稽古の時に、アンディ(アンディ・セニョールJr.)から「フライデー・ナイトって言葉をそもそも知らないだろう?週末は薬やったり何やったりっていう文化を知らないでしょう?」と言われて「知らないです。」って(笑)。そういう世界観が『RENT』なんですよね。マリファナという言葉が出てきたりして。でも、ほとんどの日本人はやったことない。コリンズ役の人だってやったことない。体感したことないことを表現しなくてはいけない。今回も、アンディ達に教わりながら『RENT』 の世界観を作っていきたいなと思います。
――平間さんは今回初めてのマーク役でのご出演ですね。いかがですか
2015年版のオーディションを受けた時にはマーク役で受けて、エンジェル役に決まった流れがあるので、複雑な気持ちがあります。エンジェルをまたやりたいという思いもあるし、マークに挑戦する楽しみもあります。エンジェル役で『RENT』の世界を知った上でのマーク役と思うと、また別の気合いの入り方ですね。純粋にマークをやりたかった2015年の時より重いなと感じています。
――マークという人物についてはどのように思っていますか?
平間:自分のやりたいことと、生きるためにはこれをやらなくてはいけない、というところでもがいている少年です。みんなが楽しんでいる輪の中に本当は行きたいけど、僕が行ったら場が冷めちゃうとモゾモゾしている少年が、周りの仲間たちの熱によって「俺もやらなきゃ」と本当になりたい自分を見つける、という役なのですが、自分にも似たようなところがあるんです。楽しみに行きたいけど、なんか盛り上がっている自分がちょっと恥ずかしいと(笑)
甲斐:(笑)
平間:本当の仲間と一緒にいれば何も気にすることなんてないじゃない、というのが『RENT』の世界なので、この2020年の『RENT』カンパニーも、『RENT』が終わってもプライベートもいい関係でいれる、そういう仲間になれればいいなぁと思っています。
――今回はマーク役ということで違った思いはありますか?
平間:あります!あります!「RENT」初参加のキャストもいらっしゃるので、引っ張っていかなくてはっていう思いがあります。やる本人たちはそんなに背負わなくていいんだよって、そこにいるのが当たり前の人たちだから、という風に導いてあげなきゃなと思っています。
――ダブルキャストいうことで、お相手の花村想太さんとは?
平間:まだ会ってないです。お稽古が始まってからですね。
――平間さん、甲斐さん、お二人は共演したことはありますか?
平間:ないです。お芝居、舞台ではないですね。
――そうだったのですね。
平間:一緒に歌ったり、ライブをやったことはありますけどね。
甲斐:ハンサムライブで。
――お互いのことはどのように見ていらっしゃいますか?
平間:いい子
甲斐:(笑)
平間:まじめ、優しい。だけど、ロジャーっぽさみたいなところが、ちょっとロックやっていて、日本風にいうとやんちゃなところが、実は翔真にあるからロジャー役に選ばれたと思うんです。それが稽古をやっていくうちに見えるのがすごく楽しみ。
甲斐:(笑)
――今のところはそれが見えないのですね。
平間:見えてないですねぇ。
甲斐:隠すのうまいですから。
平間:いやぁ、さすがです。役者です(笑)
――平間さんの言葉、お聞きになっていかがですか?
甲斐:僕は、まじめとか、まっすぐとかのイメージを持たれがちですが、割と曲がっているし、暗いし、っていう感じはあるんです、たぶんロジャーも弱さとか見せたくないんですよ。だから、見せようとするよりも、きっと『RENT』のメンバーに関わっていればロジャーになっていく気がします。
平間:なりそう!
――甲斐さんの中でのロジャー像は?
甲斐:わざわざ俺は弱っているんだというタイプではないと思います。僕はエイズになったこともないし、恋人を自殺でなくしたこともないし、人気だったバンドが無くなってしまったこともないので、それは想像の範疇でしかないけど、ロジャーは人生終わったみたいなものなんじゃないかと。命が終わる手前みたいなことが起きている中で、生きているっていうことは、ロジャーは強いんだと思うんですよ。そんなことがあっても、最後の一曲を残そうと思って頑張るロジャーはすごくかっこいいし、すごく魅力的だし、そういうところに僕は惹かれますね。強さの中にある弱さみたいなところが、いいなと思うんですよね。
平間:人間味があるよね。
甲斐:ほんとに人間くさいというか。『RENT』BOOKに載っていたのですが若さとか脆さとか、時に憎たらしくて、時に怪しい人たちが困難にぶつかっていくのが『RENT』。
ジョナサン(ジョナサン・ラーソン)が語っていて、いかに人間らしいか、人間くさいか 本当にリアルな人たちが舞台上で生きている。演技ではなくて生きているというのがすごくいいなと思います。そこに着地するには心の解放と向き合うことと、自分を知ることが大事じゃないかなと思います。
インタビュー後編~https://ranran-entame.com/wp-ranranentame/ranran/69097.html
ミュージカル「RENT」
脚本・作詞・音楽:ジョナサン・ラーソン
演出:マイケル・グライフ
日本版リステージ:アンディ・セニョールJr.
出演:マーク・コーエン 花村想太/平間壮一 (Wキャスト)
ロジャー・デイヴィス 堂珍嘉邦/甲斐翔真/ユナク(トリプルキャスト)
ミミ・マルケス 遥海/八木アリサ (Wキャスト)
トム・コリンズ 加藤潤一/光永泰一朗(Wキャスト)
エンジェル・デュモット・シュナール RIOSKE /上口耕平(Wキャスト)
モーリーン・ジョンソン フランク莉奈/鈴木瑛美子(Wキャスト)
ジョアンヌ・ジェファーソン 宮本美季
ベンジャミン・“ベニー”・コフィン三世 SUNHEE/吉田広大(Wキャスト)
製作:東宝
公式サイト https://www.tohostage.com/rent2020/
【東京公演】
日程:2020年11月2日(月)~12月6日(日)
会場:シアタークリエ
【名古屋公演】
日程:2020年12月11日(金)~12日(土)
会場:愛知県芸術劇場
ミュージカル「RENT」チケット先行受付中!
アミュモバ(アミューズモバイル)チケット先行は、2020/9/13(日)23:59まで受付中。
詳しくはこちら
https://a.amob.jp/mob/news/ticketShw.php?site=A&ima=4129&cd=1827