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2022年10月27日 12:00

【後編】新納慎也インタビュー 三谷幸喜作・演出舞台『ショウ・マスト・ゴー・オン』「演劇界の伝説となった作品。今これをやることは素敵だなと思いました」

取材・撮影/RanRanEntertainment

 

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――三谷さんは本作について、「開幕して3分で笑いが沸点に達し」とおっしゃっていますが、令和版にリニューアルした今回の見どころはどこでしょうか?

3分で沸点に達するかどうかはちょっと微妙なところだと思います(笑)。でも稽古場では毎日毎日ゲラゲラ笑っています。始まって3分は言い過ぎかもしれませんが10分もすれば笑いが沸点に達していると思いますよ。次から次へといろいろなことが起こって、いろいろな人が出てくるんです。ご覧のように豪華な出演者なのですが、例えば尾上松也君が、他の舞台だったらもっと出番が多くてセリフも多いと思うのですが、これだけでいいの? シルビア・グラブさんこれだけでいいの? 浅野和之さんこれだけでいいの?と、他の舞台に比べると僕も含めみんなちょっとずつなんです。すごく贅沢だなと思います。見どころとしてはその一瞬一瞬にみんなが全力で登場するので、瞬きもできないぐらい面白いです。

 

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――過去にご覧になっていた舞台に出演されるというのはどんなお気持ちでしょうか?

それはプレッシャーでしかないですね。例えば、ブロードウェイでとある作品を観て、何年後かにその作品を日本人キャストでやりますとなった時に、それはブロードウェイの印象が書き換えられるから、観られないということがよくあるのですが、それに近いプレッシャーです。「東京サンシャインボーイズ」の時の記憶を塗り替えたくないと思われるのでは、と思ってしまうぐらいのプレッシャーを感じています。

――稽古場の雰囲気や、出演者の皆さまの印象はいかがですか?

和気あいあいと、みんな穏やかです。演劇の稽古場は、一般的には演出家が怒鳴ったりという印象が強いみたいですが、三谷さんの現場はみんな穏やかに、ゲラゲラ笑いながら進んでいます。たぶん三谷さんご本人と三谷さんが選ぶ俳優さんの性格がそうさせるのだと思います。

 

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――演じる七右衛門の登場の仕方を考えていらっしゃるとおっしゃっていましたが、三谷さんの演出は、役者に任せてまずやらせてみるという方法なのでしょうか?

そうとも言えるし、そうじゃないとも言えますね。一回目は、「はい、じゃどうぞ」という感じで始まる。役者がまず持ち込んだものを見せて、三谷さんからのアドバイスやリクエストがあって、「じゃ、もう一回このシーンを」という感じです。間合いであったり、その役者が持っている性質を三谷さんが見て、最終的には三谷さんの思うツボに陥るような気がしています。

――新納さんは演出家の顔を持たれていますが、三谷さんの演出から学ぶことはありましたか?

すごく多かったと思います。僕自身は、三谷さんのように穏やかな人間ではなく、どちらかというとパッションの人なので、蜷川幸雄さんのような感じになるのかと思っていたのですが、意外と実際に稽古が始まると穏やかな稽古場作りをしていました。役への誘導の仕方も三谷流だったかも。知らず知らずのうちに、三谷幸喜のDNAがそうさせたのだろうと思いました(笑)。

 

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――新納さんご自身の役へのアプローチの仕方はどのようにされているのですか?

リアリティをとても大切にしています。ただ僕は、エキセントリックで、こんな人いないだろうという役が多いのですが、「その作品の世界観では居そうだな」というリアリティを軸に考えています。アプローチとしては、少し遠回りな表現になりますが、僕は、一人芝居がとても難しいと思っています。相手役から受けたもので芝居や役を作っていくことが多いので、それがない一人芝居はどうやっているのだろうと。僕はセリフを覚える時に、ドラマでも舞台でも棒読みで覚えます。そして現場で、その時の空気感や相手の感じで、棒読みで覚えてきたセリフに色をつけていくやり方をしています。結局そのリアリティが作品におけるリアリティとイコールになるのではないかと考えています。

 

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――役を終えて、時間ができた時にはどのように過ごされているのでしょうか?新納さんの血となり肉となっているものは何なのか気になります。

海外ドラマです(笑)。基本はアメリカやイギリスのものが好きです。最近はコロナ禍で見過ぎて、見るものがなくなって韓国ドラマにも手を出しました。

――例えばどのような作品をご覧になっているのですか?

『グレイズ・アナトミー』という医療ものでシーズン18まであるのですが、それを18年間何十回も見続けています。僕の基本はここにあります(笑)。

――それが血となっているのでしょうか?

それは半分冗談で、恐らく本当のところは「人に会う」ということですかね。今のコロナ禍ではなかなか難しいのですが、人とよく会ってよくしゃべってよく笑って、これが一番かな? 「人とコミュニケーションを取る」ということが俳優として芝居をするということにももちろん、僕自身の血肉にもなっているのではないかなと思います。

 

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シス・カンパニー公演『ショウ・マスト・ゴー・オン』
福岡公演 11月7日(月)~11月13日(日) キャナルシティ劇場
京都公演 11月17日(木)~11月20日(日)京都劇場
東京公演 11月25日(金)~12月27日(火)世田谷パブリックシアター

作・演出:三谷幸喜
出演:
鈴木京香 尾上松也 ウエンツ瑛士 シルビア・グラブ 新納慎也 
小林隆 今井朋彦 藤本隆宏 小澤雄太 峯村リエ 秋元才加 
井上小百合 中島亜梨沙 大野泰広 荻野清子 浅野和之 

企画・製作:シス・カンパニー
公式サイト: https://www.siscompany.com/showmust/

スタイリスト/津野真吾(impiger)
<衣裳クレジット>
シャツ¥30,800(meagratia/PR.AROTS)
パンツ¥30,800(room.13/Sian PR)
その他/スタイリスト私物
 

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2022年11月30日(水) 23時59分
<当選発表>
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<文:高橋美帆・撮影:篭原和也>

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