2016.03.19 取材:記事/RanRan Entertainment
写真提供/夢とも
韓国ミュージカル俳優のキム・ホヨンとイ・チュンジュが、3月19日（土）東京・CBGKシブゲキ!!にて、夢友プレゼンツ『手紙』を開催。1部は韓国の人気創作ミュージカル『Mama, Don’t Cry』の作品紹介とミュージカルナンバー紹介、2部は「手紙」をテーマにしたコンサートと異なる構成のなか、2人は飾らない素直な心と情感あふれる歌声で観客を魅了した。
東京・渋谷にある劇場、CBGKシブゲキ!!の「実験週間」の一環で開催された夢友プレゼンツ『手紙』。1部は韓国の人気創作ミュージカル『Mama, Don’t Cry』のストーリーと主要ミュージカルナンバーを紹介、2部は観客と俳優自らが綴った手紙を紹介し、その内容に合わせた楽曲を披露するコンサートという構成で、これまで韓国ミュージカル俳優のコンサートを手掛けてきた夢友にとっては新たなコンセプトで企画した公演となった。出演は、夢友公演2度目の登場となるキム・ホヨンと、ミュージカル『Mama, Don’t Cry』でキム・ホヨンと初共演して以来プライベートでも交流しているというイ・チュンジュ。ともに実力派ミュージカル俳優として韓国で活躍中の2人だ。
1部では、2010年に初演された韓国の人気創作ミュージカル『Mama, Don’t Cry』のハイライトシーン紹介とミュージカルナンバーが披露された。キム・ホヨンは、「韓国で公演をした際、日本からもたくさんの方々が観に来てくれた。でも、セリフが多くてストーリーも複雑で理解するのが難しい作品なので、改めて日本の皆さんに紹介する機会を持ちたいと思っていた」と今回の公演の実現について語った。
本作は、天才的な頭脳を持ちながらも気になる女性に想いを伝えることができないさえない物理学者・プロフェッサーVが、タイムマシンを開発し、中世へ行きドラキュラ伯爵と出会うことで一変。人気者となるが、その一方で新たな苦悩に襲われていく姿を舞台上で俳優2人で描いていくミュージカル。キム・ホヨンがプロフェッサーV、イ・チュンジュがドラキュラ伯爵としてミュージカルのハイライトシーンの説明をし、とその場面で披露するミュージカルナンバーを聞かせるスタイルで進行していった。
今回、ミュージカルの衣裳を着ないものの、ドラキュラに出会う前のさえないプロフェッサーVのイメージがわきやすいようにと、冒頭はおかっぱのウィッグをつけて登場したキム・ホヨン。（おかっぱ頭を見て）「『ラ・マンチャの男』のサンチョ（最近までホヨンが演じていた）みたいですね」と冗談を言うイ・チュンジュとのやりとりも普段の仲の良さが伺える自然な空気感で、客席のファンも思わずほほえむ。その後、キム・ホヨンはプロフェッサーVの変身前後の姿を演技を交えながら演じ分け見事な歌声を聞かせた。一方、ドラキュラ伯爵としてナンバーを披露するイ・チュンジュも、カリスマ性のある伸びやかな歌声で一気にファンの視線をくぎ付けに。
そして本作が5月から4度目の再演が決まり、2人も出演することを報告。イ・チュンジュは、「前回足りなかったことを今回の公演にぶつけたいと思っています。ぜひ劇場にお越し下さい！」とアピール。この話題に合わせ、上演劇場のある韓国の劇場街「大学路」のおすすめスポットを訪れた様子が映像で紹介された。
2部は、観客から寄せられた手紙と、その内容に合わせた歌を披露するという夢友が新たなコンセプトで贈るコンサート。「1部で紹介した『Mama, Don’t Cry』と全く違うと思いきや、実はストーリーの中に初恋や母親、父親とのエピソードが描かれている部分からテーマを得た」とキム・ホヨン。「感情と歌をうまくお伝え出来たらと思います」と語り、2人は別れを決意した年下の恋人、結婚する娘へ、亡き父への思いが綴られた５つの手紙を交互に読み上げ、その内容を“癒す”楽曲を客席に届けていった。
手紙と客席の間をつなぐ役割でもある2人は、それぞれの手紙が伝えたい内容をきちんと届けたいと、限られた稽古時間のなかで何度もお互いの意見を交わしながら手紙の理解を深めていったという。だからこそ手紙を読み上げるごとに感じた素直な気持ちをステージで語る2人の言葉と歌声に客席のファンも自分を重ね、思いを共有していく。劇場全体が不思議な一体感で包まれていった。途中、弟への笑いを交えた手紙から思いついたという『Let it go』の楽しい替え歌をはさむのも面白い構成だった。そして、4歳まで日本で生まれ育ち、「日本で公演ができたら」という夢のために最近勉強を始めたというイ・チュンジュが5通目の手紙を日本語で披露。ファンを驚かせた。
5通目の手紙のあと、出演者の2人も自らが書いた手紙を披露。いまは良い関係でない父親に向けての思いを涙ながらに手紙にしたためたイ・チュンジュ、自分が置かれた状況を冷静に見つめ、ミュージカル俳優としてさらなるステップアップを誓う、今の正直な気持ちを文字にしたキム・ホヨン。その率直な内容に客席のファンは驚きながらも温かな心で言葉の一つひとつを受け止めていたのが印象的だった。
この日の『手紙』という公演について、キム・ホヨンは、「1部では韓国の創作ミュージカルの紹介、2部は観客の手紙を読み上げて歌でヒーリングするという、それも言葉も違う韓国の俳優が公演するというあまり前例のないコンサートでした。新しいことに挑戦する僕たちを応援してくれてありがとうございます」と感謝の気持ちを客席のファンに伝えた。続けて、「今回の5通の手紙のように、国にかかわらず誰しも悩みや痛みがあります。でも心配しないで、今は悪くてもいつか良い日がやって来るからと信じることが大事」と客席に笑顔でエールを送り、『心配しないで、君』でこの日のコンサートを締めくくった。夢友によると今後もキム・ホヨンを起用した企画を計画中とのこと。次はどんな企画で楽しませてくれるのか発表が待ち遠しい。
次回の夢友公演は4月2日（土）に古賀政男記念ホール（東京・代々木上原）で行われる、チョン・サンユンとチョ・ヒョンギュン出演の『春コンサート〜桜とともに〜』。俳優の新たな魅力を引き出すさまざまな楽曲を準備中とのこと。ぜひ注目してほしい。
1部、2部の両方のチケットを購入者特典として、キム・ホヨンデザインの靴下「HOY靴下」と、マスクパックがプレゼントされた。
夢友コンサート「手紙」
2016年3月19日（土） CBGKシブゲキ!!
セットリスト
【1部】
M-1) Parthenon
M-2) You are so Beautiful
M-3) 私を愛した
M-4) Half and Half Monster
M-5) Roller Coaster
M-6) 甘い夢
VTR) 大学路紹介動画
M-7) Mama, Don’t Cr y
【2部】
M-1) Half and Half Monster
手紙-1)自分を好きになってくれた年下の男性に送る手紙
M-2) きれいだよ
手紙-2)自分の友達を選んだ初恋の相手に送る手紙
M-3) 間違った出会い
M-4) 始まった
手紙-3)弟に送る手紙
M-5) Let it Go
手紙-4)結婚する娘、母親、夫に送る手紙
M-6) Take me as I am
M-7) Slipping Through My Fingers
手紙-5)亡き父親に送る手紙
M-8) お父さん
～アンコール～
M-9) 心配しないで、君
