2017.04.27 取材:記事・写真/RanRanEntertainment
4月27日(木)、 第70回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に正式出品が決定している映画『光』の完成披露試写会が都内で開催され、永瀬正敏、水崎綾女、神野三鈴、藤竜也、河瀬直美監督が出席し、カンヌへの思いを語った。
写真左から神野三鈴、永瀬正敏、河瀬直美監督、藤竜也、水崎綾女
本作は、視力を失い行くカメラマン・中森雅哉(永瀬)が、バリアフリー映画のモニター会で音声ガイドを作成する尾崎美佐子(水崎)と出会い、衝突しながらも理解を深めていくラブストーリー。
作品を撮り終えた河瀬監督は、「難産でした。映画に魂を捧げた私にとって、初号試写を観たあと、立ち上がれず、その場で感謝しました」と映画への深い思い入れを明かす。永瀬も初号試写を終えたあと、「観たあとに言葉が出なくなって……。いろんなものを消化したくて、ひとりになりたくて会場の外に出ました。自分の遺作を見たような気分になったんです」と特別な感情が込み上げてきたことを告白した。また、永瀬は「“花盗人”という言葉がありますよね。河瀬監督は“魂の盗人”なんです。監督が魂を込めて作った作品なので、出来上がってホッとしました」と河瀬監督への絶大なる信頼を寄せる。
カンヌ国際映画祭の正式出品が決まり、フランス側のプロデューサーから明け方に電話があったことを明かした河瀬監督は、「受けた瞬間に、リビングに太陽(朝日)が昇って、リビングに光がさしました。それをみて光というものが世界をめぐるんだと思って、号泣してしまいました」と万感の想いを語る。
号泣した河瀬監督からの電話を受けた永瀬は「『おめでとうございます』としか言えなくて。僕も電話を切ったあと泣きました」と述懐した。永瀬は日本人で初めて、3年連続で出演作がカンヌ国際映画祭に出品されている。
永瀬の相手役・映画の音声ガイドの制作に携わるヒロインを務め、カンヌ国際映画祭初参加となる水崎は「周りの皆さんから『おめでとう』と言っていただくなかで、少しずつ実感が沸いてきました。監督をはじめ、それぞれが愛を注いできたこの作品が、世界中から集まった方から見てもらえるかと思うと、本当に嬉しいです」と目に涙をためながら、喜びを語った。
ベテラン俳優の藤は『愛のコリーダ』などカンヌへの参加は3度目となる。「本当に嬉しいです。幸せですね。長生きはするもんだ」としみじみ。神野も「私自身が『光』の細胞の1つになれて、現場にいても、映画を観ても救われました。監督が“出産”なさった『光』が世界に届けばと祈っていています」とコメントした。
最後に河瀬監督は、「河瀬直美のすべてを注ぎ込みました。世界で1番素晴らしい映画です。どうか観てください」と力強くメッセージを送った。大きな拍手が起った客席からは「(カンヌヘ)行ってらっしゃい!」とエールが贈られた。
5月27日(土)より新宿バルト9ほか全国にて公開。
公式ホームページ http://hikari-movie.com/