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2019年2月8日 06:03

KAAT2019年度ラインナップ発表会開催!

取材:記事・写真/RanRanEntertainment

神奈川・KAAT神奈川芸術劇場の2019年度ラインナップ発表会が26日(水)に同劇場にて行われた。KAATの芸術監督を務める白井晃が「劇的なるものを創造し、劇的なるものと出会う場所となれるような作品」にこだわったプログラムとなっている。

この日、白井と共に登壇したのは長塚圭史、多田淳之介、松井周、森雪之丞、ケラリーノ・サンドロヴィッチ(以下KERA)、杉原邦生、小金沢健人、山本卓卓、渡邉尚、山田うん。

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(上段左から)白井晃、小金沢健人、多田淳之介、松井周、山本卓卓
(下段左から)森雪之丞、渡邉尚、ケラリーノ・サンドロヴィッチ、杉原邦生、長塚圭史、山田うん

まずは白井から挨拶。「私がKAAT芸術監督を務めるようになって今年で4年目。KAATのオリジナリティを出していこうとしてきた。演劇やダンス、身体表現、現代美術、音楽などが複合的にある劇場でありたいとプログラムを組んできた訳ですが、徐々にそのような空気が作れてきたかなと自負している」と振り返り、「今年度は表現の幅を広げて濃い演目を上演していきたい」とラインアップを紹介した。

 2019年度(20194月~20203月)主催公演ラインナップは以下の通り。※提携公演などはKAATの公式サイトでご確認ください。

 白井晃演出作品 連続上演企画『春のめざめ』
2019413日(土)~29日(月・祝)
大スタジオ
 原作:フランク・ヴェデキント
翻訳:酒寄進一
音楽:降谷建志
構成・演出:白井晃
出演:伊藤健太郎、岡本夏美、栗原類/小川ゲン、中別府葵、古木将也、長友郁真、竹内寿、有川拓也、川添野愛、三田みらの/あめくみちこ、河内大和、那須佐代子、大鷹明良

 KAAT EXHIBITION 2019『小金沢健人展 Naked Theatre-裸の劇場-』
2019414日(日)~56日(月・振休)
中スタジオ
 KAATキッズ・プログラム2019KAATキッズ・サマー・パーティー2019 in KAAT高原キャンプ場』
201953日(金・祝)~6日(月・振休)
大スタジオ

 白井晃演出作品 連続上演企画『恐るべき子供たち』
20195月中旬
大スタジオ
 原作:ジャン・コクトー(コクトー 中条省平・中条志穂:訳『恐るべき子供たち』/ 光文社古典新訳文庫)
上演台本:ノゾエ征爾
演出:白井晃
出演:南沢奈央、柾木玲弥、松岡広大 ほか

 KAAT×地点 共同制作第9弾 地点『シベリアへ!シベリアへ!シベリアへ!』
2019527日(月)~62日(日)、713日(土)~16日(火)
中スタジオ
 テキスト:アントン・チェーホフ
演出:三浦基
出演:安部聡子、石田大、小河原康二、窪田史恵、小林洋平、田中祐気

 『ゴドーを待ちながら』
20196
大スタジオ
 原作:サミュエル・ベケット(白水社『新訳ベケット戯曲全集1』)
翻訳:岡室美奈子
演出:多田淳之介

 『ビビを見た!』
20197月上旬
大スタジオ
 原作:大海赫
上演台本・演出:松井周
出演:岡山天音、石橋静河、樹里咲穂、久ヶ沢徹、瑛蓮、師岡広明

 KAATキッズ・プログラム2019『グレーテルとヘンゼル』
20197月下旬
大スタジオ
 脚本:スザンヌ・ルボー
演出:ジェルヴェ・ゴドロ
出演:土居志央梨、小日向星一

 KAATキッズ・プログラム2019Loo』ほか
2019727日(土)・28日(日)大スタジオ
 KAATキッズ・プログラム2019 『二分間の冒険』
20198月中旬
大スタジオ
 原作:岡田淳
上演台本・演出:山本卓卓
出演:百瀬翔、佐野瑞穂、下川恭平、亀上空花、小林那優、若松武史

 新作ミュージカル『怪人と探偵』
2019914日(土)~29日(日)
ホール
 原案:江戸川乱歩
脚本・作詞・楽曲プロデュース:森雪之丞
テーマ音楽:東京スカパラダイスオーケストラ
作曲:杉本雄治(WEAVER
演出:白井晃
出演:中川晃教、加藤和樹、大原櫻子/水田航生、フランク莉奈、今拓哉、樹里咲穂、有川マコト、山岸門人、中山義紘、石賀和輝/高橋由美子、六角精児/齋藤桐人、石井雅登、碓井菜央、菅谷真理恵、大久保徹哉、咲良、茶谷健太、加藤梨里香

 KAAT DANCE SERIES 2019 日仏コラボレーションプロジェクト 頭と口×Defracto『妖怪ケマメ:L’esprit des haricots poilus
201910
大スタジオ
 KAAT DANCE SERIES 2019 韓国国立劇場×テロ・サーリネン『VORTEX
201910
ホール

 ケラリーノ・サンドロヴィッチ演出『ドクター・ホフマンのサナトリウム~カフカ第4の長編~(仮)』
201911
ホール
作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

 KAATKUNIO共同製作 KUNIO15『グリークス』
201911
大スタジオ
 演出・美術:杉原邦生
翻訳:小澤英実

 『常陸坊海尊』
201912
ホール
 作:秋元松代
演出:長塚圭史

 KAAT DANCE SERIES 2019NIPPONCHA!CHA!CHA!
20201
大スタジオ
 作:如月小春
振付・演出:山田うん

 『アルトゥロ・ウイの興隆』
20201
ホール
 作:ベルトルト・ブレヒト
演出:白井晃

 『TPAM 国際舞台芸術ミーティング in 横浜 2020
202028日(土)~16日(日)(予定)
神奈川県 KAAT神奈川芸術劇場 ほか
 『SHIRAI’s CAFE
不定期

 この日登壇した演出家たちからは、自身が携わる演目について解説や意気込みが語られた。

・長塚圭史『常陸坊海尊』
「この作品は劇場の方から提案されたんですが、とんでもないモノに手を出すことになったなあと。非常にやりたくないんですけど(笑)。やりたくないことはないんですけど、大変なものを引いてしまったなとは思っています。秋元松代さんの作品は日本に数々ある不思議で力強い伝承を見事にくみ取って現代劇に仕上げており、読めば読むほどどうやってやればいいのかわからなくなる大変な作品ですが、そんな作品に向き合えることを光栄に思っています」

・多田淳之介『ゴドーを待ちながら』
「2011年の東日本大震災以降、ベケットが上演されることが増え、作品が持つ不条理の力が日本に必要だなと感じています。今回の作品は出演者の年代を分け、ざっくり言うと『えらい待ったなあ』という上の世代と『これからこの人たちずっと待つんだなあ』という若い世代、元号で例えるなら“昭和平成バージョン”と“新元号バージョン”として2バージョン上演する予定です。『ゴドー~』にしろ『Happy Days』にしろ劇場でやるのが一番面白いと思っています。元号が変わるいいタイミングでお客さんも新しい時代に入ったなと思って楽しんでいただきたいです」

・松井周『ビビを見た!』
「白井さんと共に、埋もれている名作を掘り起こしたいと話をしていく中で『絵本なんですけど』と出した本がこの作品。この原作者・大海赫さんの作品『メキメキえんぴつ』がトラウマ絵本というか、子どもの頃に本当に怖くて押入れの隅に隠しておく、でも気になって見ちゃって目に焼き付いてしまい夜眠れなくなる、そういう本だったんです。『ビビ』も子どもの頃に読んだらトラウマになるだろうなという、終末世界のお話です。目が見えない男の子が7時間だけ目が見えるようになるんですが、その代わり彼以外全員の目が見えなくなり、日本中がパニックになるという話。日本人が、何か同じ方向にワーッと流れてしまう状態をうまく舞台に乗せられないかと考え、この作品を選びました」

・森雪之丞 「怪人と探偵」
「ミュージカルはブームと言われていますが輸入品ばかりで、そろそろ日本独特のミュージカルがあってもいいんじゃないかなと思って白井さんに相談しました。4年ほど前に書いた本作がKAATで出来るのが嬉しいです。二十面相役に中川晃教、明智小五郎役に加藤和樹、その間を取り持つ謎の令嬢に大原櫻子。ミュージカルはセリフでは絶対に言えない心の言葉を歌詞にするからこそミュージカルとして存在するわけです。これを大きな武器として作品を作っていきたい」

・ケラリーノ・サンドロヴィッチ『ドクター・ホフマンのサナトリウム~カフカ第4の長編~』 (仮)
「カフカの遺稿は3作しかないのに『4作目の遺稿が見つかった』という設定でそれを舞台化しよう思っています。戯曲が見つかった場合そのままやればいいのですが、小説が見つかったということにしてそれを舞台化する面倒くさいことになっています。もちろんタイトルはこの発表会のために無理やり考えたものなのでまだ決定していません(笑)」

・杉原邦生『グリークス』
「NHKで蜷川幸雄さんがやった『グリークス』を観て、こんなに長くても映像でも観続けられる面白い演劇作品があるんだ、と衝撃を受けたその日から、いつか自分で上演したいと思い続けてきた作品です。これまで何本かやってますので、長尺物は慣れております。『眠眠打破』などを飲んで楽しんでいただけたら(笑)」

白井晃『アルトゥロ・ウイの興隆』
「ヒトラーを題材にした寓話劇をこの時代に上演すべきだろうと思い、決定しました。独裁者が出てくるということは、独裁者を求める群衆もまたいるのではないか、それを希望してしまっている我々の気持ちはどこにあるのだろう?という視点からこの芝居を作っていきたいです」

・小金沢健人『小金沢健人展 Naked Theatre -裸の劇場-』
「僕は現代美術という世界で生きてきたので、ここKAATで上演されているものについてはまったくの門外漢です。こんな門外漢に劇場を使って展覧会を、と薦められ、初めて劇場をあちこち見てみたら、部屋は真っ暗で、何かの装置がたくさんあり、天井からは何かがいっぱい吊るされている。素人から見ると劇場って面白いなと思い、劇場からすべての物をとっぱらって裸にしたいと考えました」

・山本卓卓『二分間の冒険』
「登場人物が小学生なので舞台でも実際に小学生を使いたいとオーディションをしました。子役を使うのは初めてですが、オーディションで僕の指示に眉をひそめるような子を選びました。作品はできる限りデジタルに、映像を駆使していきたいと思いますが、演劇はデジタル化していくと、不思議と結果的にアナログになるもの。『おいおい、結果アナログじゃん!』というツッコミをお待ちしています(笑)」

・渡邉尚『妖怪ケマメ:L’esprit des haricots poilus』
「どんな文化でもジャグリングぽいものが生まれているんです。日本ではけん玉とかお手玉、蹴鞠もそうかも。こんな普遍的なものが何故注目されていないんだろう、と。ダンスという枠組みに恥じないくらいの身体能力をジャグリングでは使うので、ノンバーバルで伝わる作品の新作を楽しみにしてください」

・山田うん『NIPPON・CHA!CHA!CHA!』
作:如月小春 振付・演出:山田うん
「作者の如月小春さんの想いに共感し、ダンスで表現することと共に演劇でしっかり表現したいと思い、2パターンで上演することにしました。30年前、私はまだダンス業界にはおらず、山一證券に入社、倒産を経てバブルの絶頂と墜落を身をもって体験しました。オリンピックが始まる年に何を未来に観るのか、過去に何を観るのかをお客さまに感じていただきたい」

 

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