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2022年6月10日 13:00

ミュージカル『ガイズ&ドールズ』開幕!井上芳雄「もしこれが最後の舞台になっても本当に満足といえる作品」

取材・撮影/RanRanEntertainment

ミュージカル『ガイズ&ドールズ』が6月9日(木)に東京・帝国劇場で初日を迎えた。開幕を前に囲み取材が行われ、井上芳雄、明日海りお、浦井健治、望海風斗、演出のマイケル・アーデンが出席した。

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左から)望海風斗 浦井健治 井上芳雄 明日海りお マイケル・アーデン


1930年代のニューヨーク。天才ギャンブラーであるスカイ(井上芳雄)は、仲間ネイサン(浦井健治)から持ちかけられた賭けをきっかけに、清純で超堅物な救世軍の軍曹・サラ(明日海りお)と出会う。一方、ネイサンはナイトクラブのショーダンサー、アデレイド(望海風斗)と14年も婚約中。この2組のカップルの恋模様と人間的成長をユーモアたっぷりに描く。

初日を迎える思いについて、天才ギャンブラー・スカイ役の井上芳雄は「無事にゲネプロも終わって、後はお客さまを迎えるだけなので楽しみです。この時期に、演出家マイケル・アーデンをアメリカから迎えて、新しい『ガイズ&ドールズ』が作れるというのは、すごく貴重な経験だと思います。出来上がったものをやりながら、見ながら、これに関われて嬉しい思いでいっぱいです。早く観て欲しいです。」と、準備万端整い、開幕が待ち遠しい様子だった。

ギャンブラー達の仕切り役・ネイサンを演じる浦井健治が、「このカンパニーならではの2022年版の『ガイズ&ドールズ』がようやく船出する、ここからお客さまとスタートする幸せな気持ちでいっぱいです。自分はギャンブラーの方の枠組みで・・・」と語り始めると、横から井上が「僕もその枠組みですけれど、自分だけみたいな」と突っ込み、早くも会見場は笑いに包まれた。

浦井は「この作品の中で、家族のような温かさをギャンブラーチームで作れたかなと思っています。それは演出のマイケルさんがいろいろなことをしてくださったからだと感じています。何より、井上芳雄さんのスカイが空まで届くほどかっこいい、そんなスカイになっているので、そこを注目していただきたいです。」とコメント。

超堅物な救世軍の軍曹・サラを演じる明日海りおは「自分が出ていない場面を見たのですが、本当に華やかなナンバーと、ワクワクするようなナンバーがギュッと詰め込まれていて、この世界観の中に自分も生きているというのが特別な幸せ感があります。今までマイケルさんと素敵な皆さんと、あぁでもないこうでもないと何度も何度も作って壊して、少しずつ積み上げてきた世界をようやくご覧いただけると思うと楽しみです。自分のできるすべてを発揮しようと思うと肩に力が入りそうになるので、そこに生きることを楽しむようにやりたいです。」と、今までを振り返りながら思いを語ると、「やりましょう」と井上が力強く返した。

ネイサンの婚約者アデレイド役の望海風斗は「ゲネを終えて、このカンパニーの一員になれたことがすごく幸せなことだと感じました。この数年我慢することであったり、今も心を痛めるニュースがある中で、こうして明るい作品をマイケルさんと共にみんなで作って、今ようやくお客さまを迎えられることが幸せだと感じています。本当に素敵な作品に仕上がったので、早くお客さまに観てもらいたい気持ちでいっぱいです。」と、作品の仕上がりに自信を覗かせた。

演出のマイケル・アーデンは、「アメリカ史上最も優れているといっても過言ではないこの『ガイズ&ドールズ』という作品をこの美しい日本に持ってこれることを本当に嬉しく思っています。この作品を通して一番お伝えしたかったのは、70年以上前にこの作品は書かれているのですが、70年前の人間模様であったり人の在り方が、70年の時を経ても変わっていないということです。この4人をはじめ、作品に出てくる登場人物たちがどのように変わっていくのか、お互いが譲り合いながらどのように寄り添っていくのかも観て欲しいです。お互いが譲り合うというのは、昨今の世界においても学ぶべきことだと思っています。何よりも、この4方をはじめとする素晴らしいパフォーマーの方を皆さまにお見せし、ぜひ楽しんでいただきたいです。」と作品に込めた思いを語った。

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舞台で主演を務めることも多い4人だが、浦井は明日海と望海とは初共演だという。井上も二人とは今回初共演だが、実は二人は、井上の妹と宝塚歌劇団時代の同期。井上は「気持ち的には妹のようだったのですが、今回仕事仲間になってしまいました。公私を分けるタイプなので」と笑わせた。「二人とも素晴らしい女優さんになられた」と兄のような、親のような気持ちでいたことを明かした。

明日海は「井上さんも、浦井さんもフラットでしたが、稽古場でガーっとスイッチが入る感じがあって、ついていくぞという気持ちでご一緒させていただきました。」と稽古場での様子に触れ、望海も頷いていた。宝塚時代との違いについて聞かれると「難しいですね」と望海が一瞬考えこんだが、井上は「戸惑われることが多々ありましたね。ハンドバッグの持ち方からね。」と話しかけると、「そうですね。些細なことがわからなくなってしまって」と振り返った。井上は「明日海さんも、僕に手を出してくださるときに、こうなのか?こうなのか?」と手を前に出すしぐさをしながらその時の状況を説明。浦井も「そうでしたね。」と思い出していた。「宝塚を卒業した方とよく共演されているお二人なので、すごく慣れていらして、こちらが自然にいられる空気を作ってくださいました。」と望海。

井上は「うちの妹曰く、同期の中でもものすごくまじめで努力家の二人と言っていましたし、女優さんとしても違和感が全然ないですね。僕は、男役から女優さんに変わる、移行期間のような時が好きなんです。」と意外な好みを告白。明日海は「望海と一緒にいる場面は自然体だけれども女性らしくいれているような気がしました。」と、笑顔でコメント。

望海も「音楽学校に戻った感覚で懐かしい気持ちで一緒にお芝居できました。どちらかというと芳雄さんと明日海、スカイとサラがお芝居しているのを観てすごいドキドキしました。」と、率直な思いを語った。

井上とは久し振りの共演となる浦井は、井上の座長としての素晴らしさに感心したそうで「演出のマイケルさんの頭の中が少しぐちゃぐちゃになっている時に、スーっとバナナを置きに行くというケアをしていた」エピソードを披露。井上は浦井に「同志のような感じがしている。」という。

演出のマイケルは「いい俳優というのは国に関わらずすぐにわかります。この4人はすぐにいい俳優だとわかりました。仕事に対する美学を感じますし、仕事に対しての誠心誠意をカンパニー全体から感じます。日本のミュージカル全般について、お客様に見せる成果物に対する敬意、それに対しての誠心誠意の度合いが多い。ミュージカル界だけでなく文化全体にそうした精神があると思います。アメリカの文化も見習うべきところが多々ありました。私の願いは完璧を目指すのは素晴らしいのですが、もっと自分らしさを出して、自分で舞台に立つことも目指して欲しいです。なぜなら私にとって完璧さというのは逆に面白味がないことなのです。人々が劇場に行って作品を観る理由が、人々の欠点だったり人々がもがく姿を観に劇場に足を運ぶと思うからです。私は稽古期間中ずっと彼らが芸術に対して誠心誠意あたっていく姿が見れて本当に幸せでした。」と語った。

井上は「お互いを見ながら、ただただ役として生きてくれと言われて、そのことは知っていましたが、原点に戻ってやれているような気がしています。ミュージカルコメディではありますが、ただただ人間が生きているドラマになっていると思います。一切アドリブはしていません。」ときっぱり。

浦井は「今日から満員御礼の作品になっているということが有難いと感じています。芳雄さんのスカイと、明日海さんのサラの恋愛の物語。ロミジュリ(ロミオ&ジュリエット)のような純愛なんです。真実の愛という普遍的なメッセージをお客さまと共有しながら、自分としてはアデレイド役の望海風斗さんとどれだけふざけられるか、楽しんでやれるか、スパイスとしてカップルを演じたいと思います。」と舞台への意気込みを述べた。

最後に、井上は「マイケルだけでなく、振付のエイマン(フォーリー)、装置のデインさん(デイン・ラフリー)、皆さんアメリカから来てくださって、日本のキャスト、スタッフも全力でやって今できている作品は、客席で観ているとブロードウェイの舞台を観ているようでした。自分はミュージカルをやりたくて続けてきているのですが、もしこれが最後の舞台になったとしても本当に満足だなというぐらい、引退しませんが(笑)、ここにいられて幸せだと思える作品が皆さんにお届けできると思います」と力強く語り、会見を締めくくった。

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ミュージカル『ガイズ&ドールズ』

東京公演 2022年6月9日(木)〜7月9日(土) 帝国劇場
福岡公演 2022年7月16日(土)〜7月29日(金) 博多座   

原作:デイモン・ラニヨン
音楽・作詞:フランク・レッサー
脚本:ジョー・スワリング エイブ・バロウズ
演出:マイケル・アーデン
出演:井上芳雄 明日海りお 浦井健治 望海風斗
   田代万里生 竹内將人 木内健人 友石竜也 瀬下尚人
未沙のえる 林あきら 石井一孝 他製作
製作:東宝

公式サイト https://www.tohostage.com/guys_and_dolls/

 

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