取材・撮影/RanRanEntertainment
映画『夏へのトンネル、さよならの出口』が2022年9月9日(金)より公開される。本作は、第13回小学館ライトノベル大賞で「ガガガ賞」と「審査員特別賞」をW受賞した八目迷による同名小説(小学館「ガガガ文庫」刊)が原作のアニメーション映画。
心の傷を抱える田舎町の高校2年生塔野カオル(声・鈴鹿央士)と東京からの転校生、花城あんず(声・飯豊まりえ)。二人はなんでも手に入るという不思議なトンネル“ウラシマトンネル”をめぐり協力関係を結ぶことに・・・。
主人公・塔野カオルの声を演じた鈴鹿央士に声優初挑戦の心境とアフレコ現場の様子、作品への思いなどを聞いた。
鈴鹿は、映画『蜂蜜と遠雷』(19)で天才ピアニスト役をオーディションで勝ち取り映画初出演。この演技が評価され、第44回報知映画賞、第41回ヨコハマ映画祭、第74回毎日映画コンクール、第93回キネマ旬報ベスト・テン、第43回日本アカデミー賞といった映画賞の新人賞を総なめ。現在は映画・ドラマにて引っ張りだこ。また、メンズノンノ(MENS’ NON-NO)モデルとしても活躍中。
――声優に初挑戦された率直な感想から聞かせてください。
オーディションに受かったことが驚き過ぎて、僕はまさか受かるとは思っていなかったんです。でも決まった時は、この作品自体がすごく素敵な作品だったので、アニメーションになった時にどう色が付いて、どう動きがあって、どんな世界観になっていくのかがすごく楽しみでした。そこに携われることがすごく嬉しかったですし、アニメーションという、日本人の生活に根付いた、世界に誇れるカルチャーのひとつに携われることがすごく幸せだったなと思っています。
――台本を読んだ時の感想を聞かせてください。
普段読んでいる台本と形式が違って下3分の2に台詞が書かれていて、上の部分が空白で、分厚かったことが印象的でした。映画の2、3倍厚みがありました。原作のいいところがたくさん詰まっていて、アニメーションとして自分が命を宿していって、世界に色がついていく作業がこれからどうなっていくのか楽しみになっていきました。
――鈴鹿さんは、塔野カオルをどのようにやっていこうと意識されましたか?
父との関係もあり、過去の出来事による心の傷もあって、他人との関係も冷めている人物です。普段の僕もけっこうローといえばローな人間なのですが(笑)、カオル君の持っている裏に隠れた部分がどこか出せればいいなと思っていました。
――声だけの演技はいかがでしたか?
声の音色だけ変えればいいという問題でもなく、心が動いていないと聞いてくれている人にも届きません。ドラマとか映画だと人間として出られるので、いろいろな方法があるのですが、声だけとなると何か乗せないといけないのかなと思ったりしました。でも、(花城あんずの声の)飯豊まりえさんも普段のお芝居をされている感覚だったので、その感覚でずっとずっと二人で声を入れていきました。間っぽい掛け合いみたいなものが録れていました。
――実際にやってみて手応えを感じた瞬間はありましたか?
手応えを感じた瞬間はないですが、出来上がった自分の声を聴いて、頑張ったんだなって思えました。
――監督はどんなことをおっしゃっていましたか?
声を録っていったのが2日間。台本の順に飯豊さんと録っていったので、掛け合いもその場の感じで出来ました。走る時の声がたくさんあって、「声のお仕事をされている方と違う出し方をされていますね」と言われ、それも「リアルで良かったです」と言ってくださり、嬉しかったです。
――走る部分の息遣いは、手を動かしながらですか?
(手を振るしぐさで)これぐらいですかね(笑)。ちょっとした動きだけです。服の音とかが入らないようにしつつ、動ける範囲の最大限動いて、声を録る前にちょっと体を動かして、ちょっと上げた状態でやっていました。
――飯豊さんとの掛け合いで印象に残っていることは?
飯豊さんの声はすごく聞きやすくて、すっとまっすぐ届く声をされているなと隣で聞きながら思いました。僕がけっこう悩んでいる時には飯豊さんが、こうしてみたらとかこういう方法があるよとアドバイスしてくださって、助けられました。
――塔野カオルと花城あんず、最初はローテンションですが、意識し始めてお互いに声がはずんでいきますが、そういう変化は自然に生まれたのですか?
(初対面だったので)初めましてから始まって、ずっと同じ空間に居て、シーン1から録っていき、だんだん(飯豊さんとも)実際にしゃべれるようになって、実際の関係性とお話の中での関係性が同じような感じになりました。
後編へ続く
映画『夏へのトンネル、さよならの出口』
2022年9月9日(金)より全国公開
原作:八目迷「夏へのトンネル、さよならの出口」(小学館「ガガガ文庫」刊)
原作イラスト・キャラクター原案:くっか
監督・脚本・演出:田口智久
キャラクターデザイン・総作画監督:矢吹智美
演出:三宅寛治
CAST;鈴鹿央士(塔野カオル)飯豊まりえ(花城あんず)ほか
音楽:富貴晴美
アニメーション制作:CLAP
主題歌・挿入歌:「フィナーレ。」「プレロマンス」/eill
配給:ポニーキャニオン
製作:映画『夏へのトンネル、さよならの出口』製作委員会
公式サイト https://natsuton.com/
©2022 八目迷・小学館/映画『夏へのトンネル、さよならの出口』製作委員会
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