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安藤サクラ、井浦新、主演映画『かぞくのくに』ジャパンプレミア試写会開催!

2012/7/15 12:15

『ディア ピョンヤン』で長編監督デビューしたヤン・ヨンヒ監督の第3作目。『かぞくのくに』が8月4日より全国公開される。2012年第62回ベルリン国際映画祭に出品され、C.I.C.A.E.(国際アートシアター連盟賞)を受賞した。公開に先立ち、2012年7月12日(木)ジャパンプレミア試写会が開催され、日本のファンに初お披露目され、会場の汐留FSスペースには会場前からこの日を心待ちにしていたファンの長蛇の列ができていた。


在日2世のリエの家族を中心に描いた本作品は、ヤン・ヨンヒ監督自身の家族をモチーフしている。監督は『ディア ピョンヤン』でも監督自身の家族を取り上げている。これまで監督は『ディア ピョンヤン』、『愛しきソナ』を手がけているが、どちらもドキュメンタリーだ。しかし、今回はフィクションに仕上げられていて、どのような雰囲気を持つ作品のか、興味深い。


いまは、同胞協会本部の副委員長のアボジ(父:津嘉山正種)、喫茶店を経営して家計を支えるオモニ(母:宮崎美子)、と3人で暮らしている一見自由に生きているように見えるリエ(安藤サクラ)。そこに、帰国事業により16歳のときに1人で北朝鮮に帰国したオッパ・ソンホ(兄:井浦新)が病気治療のために25年ぶりに日本に帰国した。北朝鮮から同行した責任者ヤン同志(ヤン・イクチュン)とともに、3ヶ月の期限つきで。

久々の家族の再会を喜ぶ父と母をはじめとする家族。これまで暮らしてきた北朝鮮とはまったく異なる日本の生活に戸惑いを感じるオッパ。それでもソンホの心には懐かしさが溢れる。幼い頃暮らした街並み、大好きだった母の手料理、幼なじみとの再会・・・。そして、誰もが懐かしさ、愛しさを感じつつ、同時に複雑な想いも感じ、その感情は拭い去ることはできなかった。想い出の曲である「白いブランコ」を口ずさむソンホの姿を見て。

検査を受けると、ソンホの病は重く、とうてい3ヶ月では完治しない、責任を負えないから手術はできないと、日本の担当医から言い渡される。帰国をのばそうとした矢先、本国から突然帰国命令が下る。日本滞在期間わずか1週間で。誰もがこの帰国命令に納得できず、どうにかして滞在期間を延ばし、病気を治したい、その思いで奔走するが、本国からの命令は絶対だった。

帰国の日、真新しいスーツを用意するオモニ。感情を押し殺すアボジ。帰したくないばかりに車が走り出してもソンホの手を離さないリエ。それをみて「行こう」と促すヤン同志。ついに、リエの手をふりほどくソンホ。それぞれの気持ちが入り乱れる。そして、ソンホが行ってしまうと、リエは財布を握り締め出かけ、ソンホと一緒に見たスーツケースを手に歩き出していく。


印象的なシーンがあった。久々の帰国で、兄妹が枕を並べ、「お帰り」「ただいま」と静かに言葉を交わす。私たちは日常、気軽に「お帰り」「ただいま」と口にしている。しかし、この2人のこの時のこの言葉は<重み>がまったく異なる。私たちには思いもつかないほどの<重み>がそこにはある。

また、街角でスーツケースを見ながら、「リエ、世界中いろんな国へ行け。」とつぶやく。

お互い淡い恋心を抱いていたソンホとスニ。すでに、今のお互いの境遇はまったく異なることを理解しつつ、スニがひとこと「このまま一緒に逃げちゃおうか。」と。ソンホは…。

そして、ソンホがリエにある提案を切り出すと、「断ったら、オッパに迷惑がかかるの?」「私はそんなこと、興味もない、したくもない。」と激しく拒絶するリエに、背中を向け、ほっとするようなソンホ。

また、突然の帰国が決まった夜も2人は静かにそして、熱く語りあう。「リエ、おまえは自分の頭で考えて、納得した自分の人生を生きろ。」「わがままに生きろ。」と。

帰国の日、ヤン同志にもスーツを慎重したオモニ。そこには母としての思いが綴られた手紙が添えられていた。

どのシーンもソンホの心の叫び声を必死に受け止めようとするリエやスニ、オモニの姿が痛く感じられた。

本作品は在日朝鮮人家族を主人公に描いているが、日本人、在日朝鮮人という<国籍>の枠に縛られた作品ではなく、ソンホとリエを通して、<「人間」の「生き方」>を観る人に問いかげている作品だ。観る人それぞれに感じること、思うことは種々多様だと思うが、「自分はどう生きていくか」、「しっかりと考えているか」それを問われているように感じた。

キャスト陣はARATAとしてモデル、俳優としてこれまで一種独特な雰囲気を持ちつつ、活躍してきた彼が、井浦新に改名し、新たな挑戦をし続け、大河ドラマ『平清盛』(2012)、映画『11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち』(2012)でさらに脚光を浴びつつ、クールな表情の下に熱い想いを抱いているソンホを演じている。そして、そのソンホの対の役割を果す一見自由奔放な感じを受けるも、その奥底には感情の渦が渦巻いているリエ役を『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』(2009)でアジアン・フィルム・アワード助演女優賞にノミネートされた新鋭の安藤サクラが好演している。そして、ソンホを監視するヤン同志には数々の韓国映画に出演し、自身が監督主演した『息もできない』(2008)で各国の映画賞を総なめにした韓国のヤン・イクチュンが配役されている。嫌味な役であるが、やはりその心の奥にはやさしさ、無情観いろいろな思いがひしめいているヤン同志を熱演している。

劇場でこの作品が放つ問いかけに向き合う時間を持つもの良いのではないか。

それぞれの置かれた立場によって、それぞれの思いがあり、できることできないことが起きてしまう不条理さを実感できる時間になるだろう。


会場にすすり泣く声が溢れた上映後、出演俳優、監督の舞台挨拶が行われた。まず、主演俳優たちの挨拶。

安藤  「安藤サクラです。今日はなんだろう…。(笑)ちょうど、去年の夏に撮影をしていて…。私の役リエはモデルが監督でその思いに答えようと必死でした。監督が映画で言いたかったこと、伝えたかったことを…、今日がお披露目、特別な日なんだなぁと実感しています。」


井浦  「井浦新です。本日は本当にありがとうございます。公開は8月ですが、やっとみなさんに届けられてうれしいです。去年の8月、暑い夏でした。ソンホは監督の3人のお兄さんを一つにした役柄です。監督の思いをひしひしと受けつつ、撮影をしながら、その思いを良い形で裏切りたいと思っていました。監督の想像を飛び越えるように。毎日、安藤さんのリエと兄妹の関係を築きながら、監督と戦い続けた15日間でした。なかなか経験ができない体験でしたね。その間はヤン・ヨンヒ組が一つの家族になって、この作品を作り上げた思いです。せっかく、映画をご覧になった後なので、皆さんの心に何が生まれ、残ったかをぜひ伺いたいです。長くなると…このへんで。(笑)今日は本当にうれしいです。ありがとうございました。」


ヤン  「飛行機に乗らず、海を走ってきました。(笑)私にはそういう能力があったんですね。(笑)撮影から1年でこのような日が迎えられたことをうれしく思います。映画のなかでソンホを監視するヤン同志を演じましたが、私自身は善良な人間なんです…。(笑)。

実は技術試写で先に拝見しましたが、今日、この会場で皆さんと一緒に観ることができたら、さぞ良かったのにと思いました。撮影現場ではリエとソンホの関係をそばで見ていて、当時は本当にこのようだったのではないかと、当時の記憶や気持ちを感じられた作品です。その思いはこの映画に詰まっているので、皆さんも同じ思いになっていただけるとうれしいです。このプロモーションが終わったら、また海を走って韓国に戻ります。(笑)」


監督「ヤン・ヨンヒでございます。これまで『ディア ピョンヤン』『愛しきソナ』を撮ってきました。日本映画として海外の映画祭にも行っていましたが、日本映画として認識してもらえず、レンタルビデオ店でも韓国作品や海外作品の棚にあったりしていて…。でも、今回は日本映画として認めていただいて、やっと仲間に入れていただいた気分です。

撮影当時を思い返すと、はっきり覚えています。撮影前日が猛暑、そして、当日が酷暑となった日でした。(笑)スタッフ、キャスト全員が汗疹になるくらいの汗と情熱で作り上げた作品です。私の実体験がモチーフになっていますが、それを越えた作品になったと思っています。

実は私たち家族においてお互いに遠慮があります。もっと言いたい、会いたいという感情を殺している部分があったんだということを安藤さんと井浦さんの2人の演技を見て思い知らされました。本人が隠している感情さえ安藤さんと井浦さんが表現してくれて、それを引き出す役をヤンさんが演じてくれたと思っています。私自身も幸せ過ぎるキャスティングだと思っていますが、世界中からもすばらしいキャスティングだと大絶賛をいただきました。限られた低予算でありながら、ドリームキャストで、そして、スタッフも最後まで汗を流してきた作品です。映画は観客の皆さんに見ていただいてはじめて完成するものです。今日は日本でのこの『かぞくのくに』の誕生日です。最も大切な誕生日を皆さんと迎えられてうれしいです。」

佐藤プロデューサーよりシドニー、スペイン、南アフリカ、スウェーデン、韓国、ロシアなど数々の国際映画祭に招待されていることが紹介され、第10回パリシネマ映画祭でハートウィリングフィルム・オブ・ザ・ブロガージュリーの受賞、モントリオール映画祭への招待、韓国公開決定が発表された。


監督  「世界での公開もうれしいことですが、韓国での公開が決まり、まず、日本の次は韓国でと思っていたので、とてもうれしいです。北朝鮮では難しいですが…。(笑)日本より海外の観客は大きな声で笑って、泣いて。長い感想文を送ってくれたり、私の腕を掴んで離さず、自分の家族の話をしたり、素直な反応を見せてくれます。家族が政治的理由で自由に会えないということが世界中にこんなにも多いものかと思い知らされました。日本では馴染みがない話題かもしれませんが、ただ、<家族><親と子><兄妹>という共通項は世界中どこでも同じだと思います。そして、政治がどれだけ私たちの生活に関わってくるか大震災後、日本でも身近に感じてこられたことだと思います。授業ではないので、「帰国事業」など歴史や事実はわからなくても、何かを感じで欲しいと思っています。出演者の演技も堪能してください。」

「連絡事項も大切ですけど…。(笑)せっかく、皆さん、観ていただいたんで、感想を伺いたいです。4人が揃う機会はめったにないと思うので、何か聞きたいことがあれば、聞いてください。」と井浦から提案があった。

客席から数名、「感動して、涙しました。」「帰国シーン」「スニとのシーン」など感想・質問が語られ、キャスト、監督がそれに真摯に答えた。

監督  「実際は2週間の滞在でしたが、本当に急に帰国命令が出たんですね。理由は今も分かりません。あのとき、私自身は何もできなくて、車が走り去るのを呆然と立って見ていたことを思い出します。そこで、一度、呆然と立ち尽くす形で撮影しました。すばらしかったのですが、これで終り?っていう感じで悔しくで、安藤さんに「行かせたくない」という気持ちをアクションで表して欲しいと言って、ご覧になったシーンになりました。リエもソンホもヤンも1人1人が役を生きてくださったおかげで、撮れたシーンです。」


井浦「あのシーンは2日間かかりました。やればやるほど、迷宮に入ってしまって…。」

安藤「モヤモヤしていたのが、本番に入って、ガツンとあのような演技になりました。演じているというより、本当に怒っていた気分です。私自身に大きな傷を付けられた作品です。今でも思い出すと悔しい気分になります。」

ヤン「皆さんとは違うアングルで私はあのシーンを現場で観ていました。車の中から、つまり、ソンホの後ろ、ドアの空間から2人の感情を眺めていました。本当に貴重な体験で、あの場面をあの角度から見ることはなかなかありません。現場で私が見ていたイメージと完成したイメージはまったく異なるものですが、独特なシーンだったと思います。」

監督「スニがソンホに向けて「逃げちゃおうか」というシーンは…。ソンホには北朝鮮に奥さんと子供がいるので脱北となり、また問題が出てくるので、<逃げない人>として描いています。また、<逃げる人>と言う設定でも描くことは可能だと思うので、それは次回に。この作品のなかでスニが明るく「逃げちゃおうか」というのは、スニもソンホもすでにお互いの境遇、生活があり、<逃げることはできない>と分かっているからこその言葉で、あまりにも苦しいがために言っている言葉なんです。実はカットしたシーンで同窓会の後半のシーンがあります。ソンホの脱北の話のシーンがありました。今回は<家族>をテーマにしているので、今回はあくまでも<逃げない人>ということで。」


井浦「スニは「逃げちゃおうか」と言いながら、逃げられないことは理解しているんです。<逃げる>ことは一つの手段でもあると思いますが。1人の力では物事を変えられない、英雄だけが変えられるとは僕自身は思っていなくて、1人1人の力が集まって革命を起すということにつながっていて、その先導する役が英雄だけに過ぎないと思っています。国に家族、妻子を残して逃げるという選択肢もありえる、そこにそれだけの理由があるならば、ですね。だから、理由があれば、スニと逃げるということもあったんだと思います。でも、そこにはいろいろな犠牲が生まれて、逃げて後悔しながら生きるより、戦うことを選んだんだと思います。瞬間の感情で生きることも素敵だと思いますが、困難な戦うことを選んだほうが価値があるのではないかと思います。

今の日本は決して自由ではないと思いますが…。僕自身は作られた自由の先に本当の自由があると思っているので。この作品は<家族>をテーマにし、その大切さを描いているのですが、同時に<自由>を表現している作品だと思います。<自由>の概念を考えるきっかけにこの作品がなればうれしいです。どうですか、サクラさん。」

安藤「たくさんいろんなことを考えて大人になって行きたいなぁと思っています。(笑)」


監督「北朝鮮は自由がない国。日本は自由になるためにあがくことが許されている国。私自身も何が自由かをずっと考えてきました。リエがこのまま年をとったらどんな女になるのか、安藤さんと話していましたね。(笑)私は自由になりたくて、もっと開放されたくて、<在日>であるとか、<女>であるとか、<親>や<兄>とか…。自由になるのは遠くに行くことでもなく、無視することではなく、隠すことでもなく、向き合うことしかないという思いにたどり着きました。それで、この映画という手法で自分が背負っているものと向き合っています。皆それぞれ背負っているものがあるんだと思います。

最後にリエがスーツケールを引きずっていくシーンがありますが、あれば、ソンホに言われたから世界のどこかに出かけるのではなく、リエが家族やいろいろなものを引きずって生きていくこと、引きずりながらもその重さに負けず、自分の人生を歩んでいくことを表現しているんです。

作品を通して、自分の背負っている荷物を見てもらって、次は皆さんの荷物を見せてくださいという気持ちで、コミュニケーションのツールのような感じです。もっとオープンにしようという思いです。」


最後に一言。

ヤン「ゼヒ、ゴランクダサイ!」「もともと映画を観てくださいとは言わない性格ですが…。韓国人として悩む近現代史の一つです。歴史が土台となって現在が作られていて、過去を忘れて生きることはできません。現在と過去を融合させて未来を作ることが私たちの役割だと思っています。皆さんも感じたことがたくさんあると思います。これから美しい世界をつくるために、<悩む>、そんなきっかけにこの作品がなってくれればと思います。」

井浦「突然の僕のフリ(感想を聞きたい)に返していただいて、ありがとうございます。(笑)すぐには答えがみつからない、そんな作品ですが。何かを感じてもらえるきっかけになれば良いと思っています。作品の背景にはさまざまな社会問題がありますが、基本は僕自身にもあることで、普通の家族の問題と変わりないと思っています。作品から感じたものをじっくり味わって、公開されたら、また劇場でご覧ください。力のある作品なので、物語にひっぱられていくと思いますが、お芝居や物語を生かしてくれている音響もすばらくして、それぞれの役の気持ちがより伝わってくると思いますので、音も堪能してみてください。今日は本当にありがとうございました。」

安藤「監督は『ディア ピョンヤン』で北朝鮮に入国禁止になっているにもかかわらず、この『かぞくのくに』を作って、その覚悟はすごいなぁと思っています。ちょっと質問していいですか。この作品で監督は変わりました?」

監督「『ディア ピョンヤン』では謝罪文を要求され、その謝罪文の代わりに『愛しきソナ』を作って。(笑)家族がいないと政治、国に対して興味さえ持たなかったぐらいなんですが、私自身は。家族の話のために家族に会えなくなる矛盾があるんですね…。戦って反抗している気はないんですが…。家族がいるから我慢するということは親世代がしてきたことで、私は家族を守るために作品を通して、家族をオフィシャル化することで家族を守ることになればと思っています。普通のことが普通にできるようになりたい、それだけです。」

監督はもとより、出演者それぞれの熱い思いが語られた舞台挨拶。予定時間を大幅にオーバーしても、その思いは語り尽きることはなかった。フォトセッションでは、お決まりのポーズ以外にヤン・ヨンヒ組の結束を表すようなポーズで和気あいあいとした雰囲気で撮影が行なわれた。

8月4日(土)公開 テアトル新宿、109シネマズ川崎ほか 全国順次ロードショー

特別鑑賞券(1500円 税込)絶賛発売中 劇場窓口特典として アン・サリーが歌う予告編イメージソング「白いブランコ」CD付(限定数)

今回の映画『かぞくのくに』の原作本『兄 かぞくのくに』が刊行される。

ヤン・ヨンヒ監督の総連幹部として「帰国事業」の旗振り役を担っていた父、日本に残った母と監督、そして、北朝鮮に帰国した3人の兄。国家や政治、思想によって、引き裂かれた家族の真実の姿がここに著されている。

『兄 かぞくのくに』 7月23日 小学館 四六判上製 288ページ 定価1680円(税込)

公式HP:www.kazokunokuni.com

公式facebook:かぞくのくに/OUR HOMELAND

公式twitter:@kazokunokuni

製作・配給:スターサンズ

宣伝:ザジフィルムズ

photo:Yasuhiko Akiyama

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