三木康一郎監督インタビュー! 白濱亜嵐・平祐奈W主演映画『10万分の1』11月27日(金)公開!「苦しいことをどう乗り越えていけばいいのか、特に若い人たちに感じ取ってもらいたい」

2020/11/20 14:59

取材:記事・写真/RanRanEntertainment


EXILE/GENERATIONSの白濱亜嵐と平祐奈がW主演する映画『10万分の1』が2020年11月27日(金)から全国公開される。原作は120万部突破の大ヒットを記録した宮坂香帆の同名漫画「10万分の1」。白濱亜嵐は学校一の人気者、桐谷蓮を、平祐奈は蓮にひそかに思いを寄せる桜木莉乃を演じる。映画は、やがて降りかかる過酷な運命に立ち向かう二人の姿を描いている。三木康一郎監督に本作に込めた思いや制作の裏話を聞いた。


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――漫画「10万分の1」を映画化しようと思ったのはなぜですか?


プロデューサーからこの漫画を紹介されて、普段少女漫画は読まないのですが、タイトルが「10万分の1」ってどんな話なのかと興味が沸き読み始めました。最初はラブラブな高校生活だと思っていたら急に病気になってしまう。読み進めていくと、高校生の二人が前を向いて進んでいる姿がえらく瑞々しくて、いいなぁと感じまして、これは面白い題材になるのではないかと思い映画化を決めました。

 ――白濱亜嵐さん、平祐奈さんW主演ですが、キャスティングはどのように決められたのですか?

主演の二人に関しては僕が入った時には決まっていて、その他のキャストに関してはみんなで相談しながら決めました。

 ――奥田瑛二さんが平さん演じる莉乃のおじいさん役ですね。

リアルにお孫さんがいらっしゃるので適役かなと()

 ――そうだったのですね。奥田さんに“高校生の孫がいるおじいさん”というイメージがなかったので少し驚きました。

そうですか?僕からするとすんなりハマりました。お会いした時にすごくいい感じの方だったので、いいなぁと思いました。

 ――ALSという難病を扱うことに関してはどのように感じられましたか?

原作を見ていく中で、病気とラブストーリーをどう両立させていくかについてはすごく悩みました。その両立のために、しっかりテーマを置こうと思いました。もちろん、作品は小さい子どもからおじいちゃん、おばあちゃんまで観て欲しいのですが、今回はどういう人たちに観て欲しいのかということを考えました。中学生とか高校生とか若い方にこの病気というものを知って欲しかったですし、苦しんでいる人がいることを伝えたい、そこを軸にして考えていきました。そうなると、病気を深く掘り下げても若い人たちは興味を持ってくれないだろうと思い、彼らにしっかり楽しんでもらいながら、映画館を出た時に、“こういう病気の人たちいたね”“こういう人たちに何かできることあるかな”と思えるような映画を作っていこうと考え、それが病気というものをクリアしていく力になりました。

 

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――監督はいつも映画を作るときにはターゲットを決めていらっしゃるのですか?


いや、中身によりますし、作り方にも、どういう風なコンセプトを掲げるかでも変わってきますね。今回は作る上でどこをポイントにするかというのを考え、ターゲットを絞るというのが、一番進んでいくのではないかと思ってそうしました。

――制作してみて難しいところはありましたか?

僕の悩みはどこまで病気を表現していいかというところにありました。それはずーっと考えていました。どこまでリアリティを持たすのがいいのか、リアリティを無くしたらそれはそれでいいのか、リアルにすればするほど苦しいものが多くなってくるし、無くせば無くすほど病気というものが薄っぺらくなるので、どういう匙加減でどのラインでどう表現していくのがいいのか、撮影中もずっと悩んでいましたし、そこが一番苦しかったです。

――原作者の宮坂さんとはやり取りはされたのでしょうか?

今回、やり取りはほとんどなかったのですが、僕が原作物を作る上で一番考えるのは、原作者の方がどういうことを思って書いていらっしゃったかということです。自分なりに、しっかり深いところまで見て考えるようにしています。僕の中では、答えは原作者の方が持っていると思っているので、今回で言えば、宮坂さんがどういう思いで書かれているのか、原作を見ながらしっかり一つ一つ、こうなのかな?ああなのかな?というのを一回出してから、こう思っていらっしゃるんだろうなと考えました。それに向けて作ろうと心掛けました。

――さきほどおっしゃっていた、病気ではあるけれども頑張っていこうというメッセージを込めたということでしょうか?

これがほんとに合っているかはわからないですけれど、僕は原作を読んだ上で感じたのは、病気というものはあるけれどもしっかり前を向いて行きましょう、病気だけど人を好きになるし、食べ物は美味しいと思うし、普通の生活ができるんですよ、というのが軸にあるのかなと思いました。原作では病気の辛い部分とか深い部分というのはあまり触れていらっしゃらない。それよりも、もっと大事なことは普通の生活であるんだよということでした。でも映像になると、リアリティというのはすごく出てくるのでそこの塩梅はすごく苦労しました。

――白濱さん、平さんの演技はいかがでしたか?

白濱さんは(撮影)当時、もう25歳だったので高校生役大丈夫かなと思ったんですけど、肌がつるつるしていたのでいけるなと思いました(笑)。

――(笑)

平さんは高校生でもいけるなと。
白濱さんの役はおとぎ話に出てくる空想の生き物みたいに強いし、まじめだし、ぶれないというキャラクターで、ただそれ一辺倒ではこの作品は成り立たないし、感情的な弱い部分をどう探っていくのか、そこを出してもらうことは大変でした。


――監督からはどのようなアドバイスをされたのですか?

台本上では(蓮は)「大丈夫だよ」っていう言葉しかないんですけれど、僕はそこの本当のところを知りたかったので、ほんとに「大丈夫」って思っているんですか?と聞くと白濱さんが「半分半分です」と答え、「その半分の弱い部分はどう表現するんですか?」というような話をしながら撮影をしていきました。白濱さんの方は台本に書かれていることと自分の思っていることの差がけっこうあったと思うので、そこを探っていくのはけっこう大変な作業だったかと思います。平さんの莉乃の方は、もし自分がALSになったらどうなるかというのを自分で想像して、自分だったらというのをしっかり持ってやってきてくださいと話をしました。

――実際演技をご覧になっていかがでしたか?

蓮と同じで、こういうのは細かいところが大事になってくるので、台詞では「好きだ」と言っているけど、ほんとに好きなのかとか、そこのバランス、思いと言葉は違うというところは今回大変でした。しゃべっている時は毎回毎回どう思っているか聞きながら撮っていました。「こう思っているのだったら、もうちょっと相手見れないよね」とか、「下見るよね」とか、すごく細かい感じでやっていきました。

――莉乃が親友の千紘(優希美青)と、比名瀬(白洲迅)に病気のことを伝える場面で、蓮がその様子を見ていて、その後剣道場に行く場面が印象的でした。あのシーンは監督とのお話の中で生まれたのでしょうか?

感情を出すシーンは原作にもあったと思いますが、あの形ではなかったと思います。実は台本上は台詞がしっかりあって、あそこもシーンとしてあったんですが、僕の中で撮っている段階からあそこは台詞を聞かせないと決めてやっていました。行動をみたら蓮がどう思っているのかつぶさにわかるので。結局、蓮は強い言葉、前向きにさせる言葉ばかりかけている中で、どうしてもあそこは観ている人に弱い蓮をしっかり見せたかったんです。見えないところで悲しむというのを、白濱さんと話し合ってどういう風にやっていくか決めていきました。最初は、(莉乃の告白を)観て廊下を走って、道場に行って泣くぐらいだったのですが、蓮が苦しい思いをしていてそれを爆発させるシーンだから、(最初のは)「じゃあ止めましょう」ということになり撮り直しました。エキストラの生徒たちをいっぱい置いて、そこをかき分けて行って最後叫ぶという風にしました。

――この撮影を通して印象に残っているシーンはありますか?

雨のシーンが印象に残っています。それから莉乃が一番ラストの方で、卒業式にやってくるところです。あのシーンは、作品として病状が進むというのは辛すぎるので、実はやらないでおこうかという話も出たのですが、僕はどうしてもやりたかったんです。できれば莉乃が痩せて、病気というものをしっかり見せておきたいと思ったんです。原作では車椅子ではなく、普通に杖をついて歩いてくるということだったのですが、取材してみたらそれは現実的ではないとわかりました。リアリティを持ってあのシーンをやりたいと平さんに説明したら、あのシーンまでちょっと(スケジュールが)空いたんです。そうしたらしっかり痩せてやってきたので、すごく印象に残りましたね。

――監督の映画には今までにも若い俳優がたくさん出演していますが、今回の白濱さん、平さん、優希さん、白洲さん、いかがでしたでしょうか?

4人共しっかり病気の事も理解してちゃんと勉強してきて、それを踏まえて自分だったらどう行動を起こし相手に向き合うか、しっかり理解した上で現場に来ていたので、まだ未熟なところもありますが、それを補うまじめさや、やる気、そういうものをすごく感じられて、映画自体もそうなのですが、清々しい気持ちになり、重めの題材を扱っているのに、何となくきらきらして、前向きになる感じが出せたのも、仕事にかける前向きさがあったからかなと思いますね。

――この作品は東京国際映画祭特別招待作品に決定されたそうですね。監督の作品は続けての上映になりますね

僕の作品は『旅猫リポート』『“隠れビッチ”やってました。』とこれなんですけど、何で選ばれるのかなと思います。

――監督は泣かせる映画だけでなく、いろいろな作品を撮られていますが、演出、テーマに拘りはあるのですか?

何で選ばれるかわからないとお話したのは、映画祭のイメージというとテーマがしっかりあったり、今の社会の縮図を描いたり、見えないものを見るとか、今の社会問題はこうだよというものですが、僕はそういうものを“はぶきたいタイプ”なんです。やはりそこを感じさせるよりも、映画を観て楽しくなったり、面白いねってなったりそういうのを重要視するんです。映画監督としてはダメな方のジャンルなのかと思うんですが、何で選ばれるのかなと毎回思うんです。がっつり掘り下げるというより、観て楽しくなる、思いを馳せるとかそちらの方向に考えていってしまうタイプなので、未だに腑に落ちない(笑)、そんなこと言ってはいけないですね。有難いです。

 

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――挿入歌に眉村ちあきさんの歌を使っていらっしゃいましたが、その理由は?

最初は主題歌(GENERATIONS「Star Traveling」)だけしか考えていなかったのですが、撮った後ぐらいでしたか、(歌を)入れたくなってしまったんです。そこで年代が同じぐらいの若い人の曲がいいなと思ったのです。そうしたら彼女の楽曲が出てきたので、お願いしたのです。若さとか苦しい感じが出ていて良い曲です。

――今、お話にも出ましたが、主題歌についてはどのように決めたのですか?

主題歌はもう白濱さんのグループにお願いしようと考えていました。いい感じの曲が上がってきました。

――最後に、映画を観にいらっしゃる皆さまにメッセージをお願いします。

コロナというものが、撮影後に現れました。人生の中で、僕は50歳ぐらいなのですが、僕が経験した中で、不幸なこととか辛いことっていきなり現れるものなんです。今回も数多くの人が同じタイミングでこの突然現れたコロナというもので辛い思いをされていると思います。今回、奇しくも撮影は(コロナ)前でしたが、この二人も突然思ってもない不幸が、辛いことが訪れるわけです。この映画を観て、特に若い人が、苦しいことをどう乗り越えていけばいいのかということをちょっと感じて頂ければいいかなと思っています。

――ありがとうございました。

 ストーリー
告白して気まずくなるくらいなら友達のままでいい。学校中の女子はもちろん、男子からも憧れの存在である桐谷蓮(白濱亜嵐)に想いを寄せる桜木莉乃(平祐奈)は、そう思っていた。ところがある日、蓮の方から打ち明けられ、誰もがうらやむ両想いの日々が始まる。2人で過ごす時間が何よりも大切なものに変わる頃、「10万分の1」の確率でしか起こらない、ある運命が降りかかる──。


映画『10万分の1』
2020年11月27日(金)より全国公開


監督:三木康一郎
脚本:中川千英子
出演:白濱亜嵐(EXILE/GENERATIONS) 平祐奈 
優希美青 白洲迅 奥田瑛二 
原作:宮坂香帆『10万分の1』(小学館 フラワーコミックス刊) 
配給:ポニーキャニオン 関西テレビ放送
©宮坂香帆・小学館/2020映画「10万分の1」製作委員会
公式サイト https://100000-1.com/

 

(文:高橋美帆/写真:ランラン編集部)

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