映画『唄う六人の女』の公開記念舞台挨拶が10月28日(土)、TOHOシネマズ 六本木ヒルズにて行われ、W主演の竹野内豊、山田孝之、共演のアオイヤマダ、萩原みのり、桃果、武田玲奈、そして石橋義正監督が登壇した。
石橋監督が長年温め、監督・脚本・編集を手掛けた本作。車の事故に遭い、人里離れた森に迷い込んでしまった二人の男。“異界”と呼ぶべき森には、物言わぬ六人の女が暮らしていた。男たちは理由も分からぬまま監禁されてしまい・・・。過去と現在をつなぐ奇縁、巨大企業が絡む陰謀、今日的なテーマに踏み込んだ問題提起もはらむサスペンススリラー。
約10年ぶりの共演となった竹野内と山田だが、竹野内は「以前は戦争映画でご一緒したのですが、その当時から同じ世代の役者さんとは空気感が全然違っていて、今回さらに研ぎ澄まされていて、いい意味で動物的な感覚を持っている感じで、見ていて非常に面白かったです」と山田の印象を語った。
山田も「前回は兵隊の役で、ざっくばらんに話をする機会もなかったんです。今回もバチバチの関係性なので何か話すというより、森の中で動植物を愛でる竹野内さんを見て癒されていました(笑)」と話した。
「ちょっと記憶がないんだけど・・・」と言う竹野内に、山田は「虫とか苔を愛おしそうに見ている竹野内さんを僕は水川あさみさんと愛おしそうに見ていたんです。トカゲとか蛇を捕まえていましたね」と少年のような竹野内の姿を思い起こしていた。
二人をキャスティングした理由について石橋監督は「対照的な役なんですけども、人間の持っている二つの面、その違いを伝えられるのは竹内さんと山田さん。絶対にそれがバッチリ合うだろうとも思ってましたし、実際に撮影していてもそうですし出来上がった映像を見ても、この2人しか考えられないと思っております」と二人を絶賛した。
本作では非常に暴力的な役どころを演じた山田は、「今回は欲望むき出しな役なので、普段泊まり込みで撮影するときは、体が馴染むようにずっと居続けたりするんですが、あえて、撮影がないときは街に出て、人と会い、酒を飲み、ここが俺の帰る場所なんだと言い聞かせて、撮影中は“こんなくそみたいなところ早く出ていくんだ”と思いながら演技してましたね」と役作りへの工夫を明かした。
また、山田は「あまり頑丈なほうじゃないので、疲弊してくる。宿に戻ったときぐらいは癒したいから、家からパジャマと枕を持ってきて、少しでも家と同じ環境にしてアロマを焚いてリラックスして、また現場に行って切り替えていました」とも明かすと、竹野内は「小手先でやっていない。すっごく真面目だと思います」と感心していた。
“濡れる女”を演じたアオイヤマダは「京都の美山町で撮影したんですけど、ある日ヘアメイクさんに頭皮を揉まれたんです。『アオイちゃん若いから頭皮が動くわ。竹ノ内さんは1ミリも動かへんで。でも美山町に入ったら、頭皮が動くで』。それぐらい自然の力が素晴らしい」と頭皮を例に美山町の自然の素晴らしさをアピールした。
萩原は「オーディションのときに、監督から突然『プロデューサーさんと戦ってみて』と言われて。そうしたら”牙を剥く女”の役に決まりました(笑)。まさか斧をもって戦う日が来るとは」とコメント。
“見つめる女”を演じた桃果は「とにかく(山田演じる)宇和島は悪い人間。役として人間らしい感情を排除しなければいけなかったんですが、山田さんの迫力あるお芝居に吞み込まれそうになって怖かった。宇和島ほど悪い人には会ったことはないです!」と力を込めると、慌てて山田が「僕じゃなくて、悪いのは宇和島ですからね」と苦笑。
“包み込む女”と萱島(竹野内)の恋人・咲洲かすみの二役を演じた武田は、竹野内との共演について「年の差があるので、ちゃんとカップルに見えるか不安もあった。でも、竹野内さんに実際お会いしてみると、年の差を感じさせないような穏やかに受け入れてくれる感じがしたので、自分自身も年の差を感じずに役に入れました」と話し、二役については「衣装も場所も違うので、自然に役を切り替えることができました」と振り返った。
最後に石橋監督は「この映画はエンタテインメント作品ではありますが、自然との共生というものがテーマにもなっています。実際にはなかなか難しいことですが、この映画を通して自然との共生に対して考えるきっかけになればいいなと思っています。皆さんと一緒に考え、次世代に繋げていくことをできればと思っております」とメッセージ、イベントを締めくくった。
映画『唄う六人の女』は絶賛上映中。