ミュージカル『ベートーヴェン』初日前会見が12月8日(金)に日生劇場で行われ、井上芳雄、花總まり、脚本・歌詞のミヒャエル・クンツェ、音楽・編曲のシルヴェスター・リーヴァイが公演への想いを語った。
本作は、『エリザベート』や『モーツァルト！』『レベッカ』など、数々の名作ミュージカルを手掛けたミヒャエル・クンツェとシルヴェスター・リーヴァイによるゴールデンコンビが、構想10年以上の歳月を費やし、クラシック音楽史にその名を燦然と輝かせる最も偉大な音楽家の一人であり「楽聖」とも称されるルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの謎に満ちた人物像とその生涯に肉迫した野心作。今回の公演が日本初演となる。ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンを井上、アントニー・ブレンターノ役を花總が演じる。
井上と花總は、これまでにも『エリザベート』や『モーツァルト!』などで共演をしており、長い付き合いがある。しかし、お互いに好意を寄せる恋人という役柄での共演は今回が初。井上は、「『エリザベート』も相手役ではありましたが、黄泉の帝王だったので、これほど生々しいやり取りはなかった。ここまで濃いラブストーリーを一ご一緒させていただいて、楽しいですし、光栄です。花總さんは、やっている役によって普段も変わられる方で、『エリザベート』の時は近づき難かったのですが、今回は親しみを込めて、終わるまでには“はなちゃん”と呼べるかなって」と笑顔で語った。
それを聞いた花總は「遅いよ、稽古中にならないと」と思わず突っ込むと、井上は「5回くらいは呼んだんだけどしっくりこない。けど、この作品を通してはなちゃんと呼べるようになるくらい（距離が）近づいていると思います」と改めて話して、場を盛り上げた。
また、花總は井上との共演について、照れ臭さがあるといいながらも「 やっと今回、人間らしいやりとり、恋愛のやりとりができるので、今まで見たことない井上さんを独り占めできて楽しいです」とコメントした。
今回、 クンツェとリーヴァイは、ベートーヴェンの「愛」をテーマに、「父からの虐待」や「弟との確執」、「貴族からの独立」「幻聴による強迫観念」そして「叶わぬ恋」と様々なエピソードを織り交ぜながら物語を作り上げた。さらに音楽は、実際にベートーヴェンが残した膨大な楽曲群を紐解きつつ、メロディに歌詞をつけ、旋律を再構築し、各シーンに当てはめていくという画期的なアプローチで構成されている。
まず、クンツェは「彼の人生を語るのではなくて、彼の人生の中で出会うことになった困難の瞬間を描いていきたい。特に、彼は聴力を失うわけですが、それは音楽家にとってはこれ以上ない災難。そういう災難に直面した時に、彼は人生の最大の愛する相手を見つけた。そこを語ってきた作品です」と説明。
続いて、リーヴァイは「私が担当した作業は、まずはベートヴェンが作曲した全曲に目を通すことから始めました。その中から今回、歌われるものとして使われるわけですから、音楽的に適していて歌えるものを選び出した。じゃあ、どういうものをセレクトして、どこに据えたのかは、あくまでも自分自身の感情に基づいて決めさせていただきました。そういう中で選びとった一音一音が全て、ミヒャエルと打ち合わせて、お互いに調整しながらドラマに合うことを確認しながら作品に仕上げていきました」とその過程について説明した。
さらにリーヴァイは「クラシックの音楽を身近に感じている方々がいらっしゃると思いますが、そうした方々にもう少しモダンな音楽に近づいていただく。また、クラシックをあまり身近に感じていない方にはクラシックを身近に感じていただけるような作品にできればという思いでした」と本作への想いを明かした。
最後に、花總は「ベートーヴェンの曲は、誰もが知っている有名なものもありますが、今回、観ることでこんなにも素敵な旋律があるんだとか、たくさんの発見があると思います。それも観に来てくださる方々の一つの楽しみとしてお届けできたらいいなと思っています」と意気込み、井上は「ベートーヴェンの不滅の精神、そして彼の生き様や二人の愛から学んでいただけることがたくさんあると思います。ぜひ、新しいミュージカルを体験しにいらしていただければと思います」と力を込めて会見を締めくくった。
ミュージカル『ベートーヴェン』は、以下の日程で上演。
東京公演：2023年12月9日(土)～29日(金) 日生劇場
福岡公演：2024年1月4日(木)～7日(日) 福岡サンパレス
愛知公演：2024年1月12日(金)～14日(日) 御園座
兵庫公演：2024年1月19日(金)～21日(日) 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
掲載写真：オフィシャル提供
