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2017年12月13日 11:33

鼓童『打男DADAN2017』インタビュー!坂本雅幸×小松崎正吾×大塚勇渡「視野を広くメッセージ性を持って太鼓に向かってもらいたい」<前編>

取材:記事・写真/RanRanEntertainment

太鼓芸能集団「鼓童」が、2017年10月3日から札幌コンサートホールKitara公演を皮切りに、全国27都市を巡る『打男DADAN2017』の日本ツアーを開催している。

本公演は、4年間、鼓童の芸術監督を勤めた坂東玉三郎が鼓童と共に作り上げてきた作品の中でも、あくまでも“叩く”ことにこだわった選りすぐりのメンバーによる人気の演目。
和太鼓の持つ力強さと洗練さを兼ね備え、海外公演を経てさらにパワーアップした「打男DADAN」の「打つ」ことの進化を同公演で目撃できるだろう。

ランランエンタメでは、『打男DADAN2017』の精鋭メンバーである坂本雅幸さん、小松崎正吾さん、大塚勇渡さんにインタビューを敢行。なお、本公演は、文京シビックホール公演千秋楽をもって退団する坂本雅幸さんのラストステージであり、鼓童への思いや鼓童と共に歩んで来た道のりを振り返っていただいた。

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  小松崎正吾  坂本雅幸  大塚勇渡

――現在、公演中の『打男DADAN2017』は、これまでの打男公演とは違った作品になっているのでしょうか?

坂本:打男公演は2009年に始まった公演ですが、初期の頃と比べてキャストも増え、内容も随分と変わってきました。別のツアーなどを経ていろいろな経験を積んで、この“打男”に帰ってくると新しい発見があることが多いですね。

大塚:坂東玉三郎さんに稽古や舞台を観ていただく中で、玉三郎さんご自身の価値観や美意識などから徐々に変化してきたと感じます。ずっと同じ演出をされることはなくて、少しずつ高いところを目指すといった要望から変わってきたのだと思います。

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――今回の『打男DADAN2017』では、演出の坂東玉三郎さんからどのような要望がありましたか?

坂本:例えば、大きな太鼓を3人で叩く“巴”という力強い演目では、抑揚をもっとしっかりつけてもらいたいとご指導いただきました。自分たちだけでやっていると、どうしてもただドカスカ打ちまくるようになってしまうので。玉三郎さんにも「あれ、作ったときはこんな感じだったかい?もっと波やニュアンスもあったはず」と言われまして(笑)。自分たちも改めて昔の映像を観ながら違いを研究し、今回の公演に臨んでいます。

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――2016年より正式メンバーとなられた大塚さんは、今回の『打男DADAN2017』は何回目になるのでしょうか?

大塚:3回目になります。初めて参加したのは、メンバーになって1年目のブラジルのリオデジャネイロとサンパウロで行われた(打男の)南米ツアーで、初の海外公演でした。公演や現地のサンバを見て感じたことは、(観衆や)お客様の反応が日本とは違ってストレートだなと思いました。僕たち日本人なら、打ち手に対して拍手で「よかった」という気持ちや敬意を表しますが、現地の方は、立ち上がって踊り出すお客様もいらして……海外ツアーはいろいろな意味で勉強になりました。

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――小松崎さんは2013年からメンバーになられたのですね。

小松崎:打男公演は今回が初めてなんですが、キャリアでは(坂本)雅幸さんの次ぐらいで佐渡に渡って8~9年になります。研修生の時に、初演の打男の稽古を見ていましたが、最初は太鼓の音に“音酔い”してしまうほど振動がすごくて、圧倒されてしまったんです。重厚で攻めてくる感じがしました。最後のクライマックスでは熱量が一番大きくなって、他の作品と比べてもパワーやエネルギーはダントツじゃないかと。あまりの迫力に同期のみんなと「劇場のお客様は大丈夫かな?」と心配したくらいです(笑)。

僕たちは劇場に行くと、必ず客席から太鼓の響きがどのように感じるかを確認して、その都度、お客様に一番届きやすい音を伝えようと務めています。僕が最初に感じた打男のエネルギー感はとてつもなく大きなものだったので、今も変わらずに、そのエネルギーが届くと信じてやっています。

――120分間、ずっと叩き続けるわけですよね?

坂本:もちろん、メロディを奏でる木琴のような打楽器(ボックスフォン)もあるのですが、普段の公演で使用する笛などはなくて、叩くということに拘った舞台です。

――さまざまな公演やイベントでご活躍されている坂本さんは、後輩の方たちの目標だと思います。若手のお二人は坂本さんの太鼓や鼓童への向き合い方を側で見ていて、どんなことを感じられましたか?

大塚:雅幸さんは、一言でいうと「力強くて繊細」ですね。舞台のことやそれ以外のことも教えていただくのですが、どんなことも気に懸けていて、これまで自分の感覚にはなかったようなことも教えていただきました。舞台に立つ上で「舞台人として、どうあるべきか」を太鼓の技術や普段の生活から勉強させていただいています。

特に、人と人との繋がりをすごく大切にされていて……。プライベートな時間でも鼓童を応援してくださる方々と交流されている姿などを拝見して、こういった姿勢が最終的にすべて舞台に繋がっていくのだなということを学びました。

――小松崎さんはいかがでしょうか?

小松崎:雅幸さんは僕が鼓童に入る前から第一線で活躍されていた方だったので、このように一緒に舞台に立つことや、ずっと一緒にいることが日々勉強になっています。僕らの世代は雅幸さん世代の方々に、日々の作業や稽古で基礎的なことを身に付ける時間に立ち会っていただき、太鼓の技術や所作などを学んできました。鼓童が何を大事にしているか、何にこだわって、どうやって稽古していくのか。また、どのくらいの熱量でいくのかなど、根っこにある気持ちを時には厳しく、時には熱く教わったことが自分にとって大事なものになっています。

個人的に雅幸さんがすごいなと思うことは、同じ作品で演目やフレーズも大体決まっている中で打つ、一発、一発が毎回、誰よりも新鮮なんです。同じことをやっているとマンネリ化してしまうことが課題としてあるのですが、「なんでだろう?」というくらい新鮮に感じて。それは雅幸さんの人柄もあるのかなと。人柄というと、雅幸さんは同じ話を何度もするという癖があるんですけど(笑)。でも、新鮮に打つということは本当に難しいこと。こだわっている部分が細かく熱量もすごくて、決して適当に終わらせない。自分の中で突き詰めて、突き詰めていくところが新鮮さに繋がっているのではないかなと思うんです。僕も新鮮さを出せるように雅幸さんを目指していきたいなと思っています。

――坂本さんは鼓童を担う若手を代表したお二人へ、どんなことを伝えたいですか?

坂本:鼓童は佐渡にこもって、一つのことを突き詰めていきますが、その中でも「視野を広く持ってもらいたい」と思っています。鼓童を支えてくださる方々との食事会もそうですが、自分も人づきあいが好きで、異なるジャンルの話を聞くのが好きなんです。自分たちとは視点は違うけれど仕事に対する思いは一緒で、話しているうちに新しい発見があって。やはり自分たちの中だけで閉じこもっていてはダメだなと思うんです。

また、太鼓は言葉ではないので(表現するのに)難しいところがあると思います。昔バンドをやっていたので、歌詞やメッセージがあるほうが表現する際にはすごく楽なのですが、太鼓はそうはいかず……。極端に言うと音だけで思いを伝えるもので、言葉ではないことが先行すると裏を返せば、なにも持ってないことになってしまう。自分はそれが嫌なので、とことん突き詰める。だから後輩たちには、しっかりとしたメッセージ性を持って太鼓に向かってもらいたいなと感じますね。

――それを受けていかがでしょうか?

大塚:自分の中にある想いを、太鼓で表現することは難しいことだと思いますが、伝えたい部分をしっかり持つことが大事なのだなと実感しています。そんな部分も打ち姿で教えてくださるのが雅幸さんです。

「本気になれる太鼓にかけてみたい」(大塚)

自分を表現する最初のきっかけをくれたのが和太鼓だった(小松崎)

――小松崎正吾さん、大塚勇渡さんは和太鼓との最初の出会いは何がきっかけだったのでしょうか?

大塚:中学生のときに、ある高校の和太鼓部の定期演奏会を観て、打ち手の高校生がすごくフレッシュでお客様に楽しんでもらおうという姿勢が伝わってきたんです。元々、合唱とかみんなと何かを共有することが好きで、太鼓も打ち手と観客が同じ空間を共有しているなと感じて。「太鼓にもこういう世界があるんだな」「自分もこういう人になりたい」と、その高校に入って和太鼓部に入部したのがきっかけでした。体を動かすことや音楽も好きだったので、どんどん太鼓に夢中になって、高3のときに進路を決める際、「本気になれる太鼓にかけてみたい」と思い、研修所に応募しました。

小松崎:父親がプロドラマーだったということもあり、打楽器との距離がすごく近くて、小さい頃から太鼓でなくても叩くことやリズムを奏でることが好きだったんです。また、家がライブハウスを経営していて、常連のお客様で地域の太鼓チームの会長さんから「一度見学に来てみないか?」と言われたことがきっかけでした。いざ太鼓を叩いてみたら、「ことのほか楽しいな」と思って。僕も大塚と一緒で、その場にたくさんの打ち手の人がいて、同じリズムを「せーのっ」でドーンと出した時、みんなの音がひとつになる気持ちの良さや1人ではできないことをみんなと一緒に体感することに面白さを感じたんです。ドラムも大好きなんですけど、複数で叩いて気持ちをひとつにする太鼓に惹かれたのだと思います。

当時はこんなに喋るタイプではなかったのですが(笑)。ペラペラ喋り出したのは、太鼓を始めてから高校の演劇部に入った頃からなんです。言葉じゃなくて和太鼓をドーンと叩くことで、自分の中の“シャイな部分”を後押しするような気持ちになりました。自分を表現する最初のきっかけをくれたのが和太鼓でした。シンプルで大好きな打楽器です。

――ドラムがお好きなら坂本さんと共通点がありますね。

小松崎:ドラムの話はたま~にします(笑)。ドラム好きという点で、雅幸さんの作る曲などにはすごくシンパシーを感じますし、ドラマーならではのツボってありますよね?

坂本:あるな(笑)。和太鼓もドラムも同じ打楽器ですが、鼓童のメンバーはあまりドラムのことは知らない人が多くて最初は不思議でした。音楽もロックは聴かないとか、和太鼓だけで育ってきた若いメンバーも多いので、ドラムもやってみたら面白いと思うんですけど(笑)。

――鼓童の作品の中にもドラムを使った作品がありますね。

小松崎:『混沌』ですね。まだ、自分は『混沌』はやったことがないので再演があれば是非やってみたい作品です!

後編に続く~

鼓童『打男DADAN2017』日本ツアー

2017.12.20(水)〜2017.12.24(日) 東京都文京区 文京シビックホール大ホール

詳細はHPまで。http://www.kodo.or.jp/

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