上演の度に大きな話題を呼んでいるメガヒットミュージカル『ロミオ＆ジュリエット』が3年ぶりに上演される。本作は、2001年にフランスで生まれ、世界20カ国以上で600万人を動員したヒット作で、日本では小池修一郎演出により、2010年に宝塚歌劇団で初演。その後、2011年に新たに日本オリジナルバージョンが完成し、大きな反響を集めた。今回の公演は、2021年以来6度目の上演となる。2024年版で、主人公のロミオ役を務めるのは、小関裕太と岡宮来夢。今回は、小関と岡宮に本作への思いや意気込み、見どころを聞いた。
――まずは、出演が決まった時のお気持ちから聞かせてください。岡宮さんは出演スケジュールが厳しいの中、ご本人たっての希望でオーディションに挑み、出演を勝ち取ったと聞いています。
岡宮：元々別の仕事が決まっていたので、稽古になかなか出られなくてご迷惑をかけてしまうことになると思ったのですが、受けずに終わるのはどうしても嫌だと思って、無理を言って歌を聴いてくださいとお願いしたのがきっかけでした。落ちるなら落ちてもいいから受けてみたいと思って受けたオーディションでしたが、ずっと出演したかった作品なので、受かった時は本当に嬉しかったです。分かっていたことですが、すごく過酷で大変なスケジュールにはなりますし、たくさんの方にご迷惑をおかけしてしまいますが、決まったからにはプレッシャーも力に変えて頑張りたいと思っています。
――スケジュール的に大変でも、この作品に出たいと思った理由はどんなところにあったのですか？
岡宮：『ロミオ＆ジュリエット』という作品自体は、俳優を始める前から知っていましたが、恥ずかしながらこの作品がどんなストーリーなのかを知ったのは、俳優として活動し始めてすぐのワークショップでした。そこで、初めて戯曲を読んで『ロミオ＆ジュリエット』から派生した作品がたくさんあることや、僕が出演したミュージカル『The Fantasticks』のように『ロミオ＆ジュリエット』をモチーフにした物語がたくさんあるということを知りました。それからは、いつかロミオを演じてみたいという思いがずっとあって。この作品の2021年公演で、大好きな（黒羽）麻璃央くんがロミオを演じられているのを観に行ったとき、楽曲が素敵で、小池先生の演出も素晴らしくて、目に飛び込んでくる全てに衝撃を受け、この舞台に立ちたいと強く思うようになりました。それで、今回、あきらめきれずにオーディションに参加したという経緯です。
――小関さんはいかがですか？
小関：僕もオーディション受けました。原作ではロミオは16歳くらいの設定ですし、この作品には若者ならではの情熱と青春を描いている一面があります。なので、そうしたロミオ役を実年齢28歳の僕が演じられるのかということは最初に考えました。作品に向き合えば向き合うほど、僕にとってこのタイミングでしか演じられない役なのではないかと思うようになりました。この作品の楽曲の難しさ、この物語やロミオへの理解力を考えると、「今」にすごく意味を感じました。
――小関さんは『ロミオ＆ジュリエット』やシェイクスピア作品に対して、思い入れはありますか？
小関：僕はこのミュージカル『ロミオ＆ジュリエット』は初演と再演を劇場で観劇しているんです。初演のときは、まだ高校生でしたが、今でもあの美しい世界を思い出せるほど、鮮明に覚えています。その後、佐藤健さんが出演されたストレートプレイの『ロミオ＆ジュリエット』も観劇しました。出演が決まってからは映像で蜷川幸雄さんが演出された藤原竜也さん主演の舞台も観ました。もちろん、後輩の甲斐翔真さんが出ていた（本作の）前回公演も、麻璃央くんが出ていた公演も、古川雄大さんが出ていた公演も、いろいろな『ロミオ＆ジュリエット』を観ています。
岡宮：すごい！
小関：見比べると面白いんです。実は、フランス版も宝塚版も映像で観ています（笑）。なので、理解はだいぶ深まっていると思います。それから、この作品がシェイクスピアの作品であるということが、僕がこの作品に携わってみたいと思った大きな理由の一つでした。舞台『キングダム』に出演し、壤晴彦さんとご一緒させていただいたとき、壤さんからシェイクスピア作品についてお話をお伺いする機会がありました。壤さんは、「ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー」と交流があったり、蜷川さんの舞台に長い間、出演されていらっしゃったので、すごく興味深く、新鮮なお話をたくさんしてくださいました。僕は、舞台もやれる役者でありたいとずっと思っていたので、壤さんのお話を聞いて、シェイクスピア作品を知ることでより理解が深まることも多いのだろうと考えるようになりました。、ちょうど興味を持ち始めたタイミングで、この作品のオーディションのお話を聞いたんです。これはある種、運命だなと思ってオーディション受けさせていただいたという経緯があります。この作品がシェイクスピアの戯曲を原作としていること、そして昔、観た『ロミオ＆ジュリエット』に自分の時間を投影していくという意味でも前のめりになっています。
――この作品は、観る人によって感じる魅力やテーマ性が異なる作品だと思いますが、お二人はどこに魅力を感じていますか？
小関：各楽曲にも組み込まれている「愛と憎しみ」は大きなテーマだと思いますが、その裏には「皮肉」や「どうしようもない虚しさ」みたいなものがあると感じます。それは、現代の人にも通じるものがあるからこそ、こうして今も語り継がれる名作になっているのではないかなと思います。社会の中にも世界中のどの国にも、争いと憎しみ、そして愛はあるものなので、2024年に生きる今の僕たちならではの感覚で受け取ってもらえる「愛と憎しみ」があるのではないかなと思います。
岡宮：ロミオとジュリエットの恋愛を中心とした物語ですが、マーキューシオやティボルトの死、それからロミオとジュリエットの死も描かれていて、そうした死生観もこの作品の大事な要素だと思います。これまでの小池先生の作品でも「死」の描き方にはある種の美しさがあり、それが怖くもあり、僕には誘惑にも思えます。そして、そこに魅力も感じています。燃え上がる恋をして、親友の死も経験して、自分も殺してしまって…。ロミオの周りには「死」が常にあります。だからこそ、今回、ロミオを演じる上で「死」に関して考えながら演じていきたいと思います。僕はこれまでの人生で「生きるべきか、死ぬべきか」を悩んだことがなかったのですが、（2020年に）5 Guys Shakespeare‐Act1:〔HAMLET〕に出演させていただいたときに、自分に置き換えていろいろなことを考えました。今回も自分の死についてしっかりと向き合っていけたらと思います。なので、魅力というと、ダークな答えですが「死」だと思っています。もちろん、恋愛という要素も大事ですが。
東京公演
期間：2024年5月16日(木)～6月10日(月)
会場：新国立劇場 中劇場
大阪公演
期間：2024年7月3日(水)～7月15日(月・祝)
会場：梅田芸術劇場メインホール
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2024年7月15日 23時59分
＜当選発表＞
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