取材:記事・写真/RanRanEntertainment
【正しい正しくないよりも判断するのは千秋楽のお客様】
――2015年には『カルメン』『メンフィス』で第40回菊田一夫演劇賞の演劇賞。2017年は『ジキルとハイド』『Tell Me on a Sunday~サヨナラは日曜日に~』で読売演劇大賞優秀女優賞を受賞されていますが、“お客様の人生観を変えた”と思う作品とは?
それは『アイーダ』ですね。『アイーダ』ほど選択を迫られ続け、悩みながら演じた作品はないというか。結局、選択したものが全部裏目に出てしまって。いいと思ったものがあまりよくなかったという……。ハッピーエンドなのか、バッドエンドなのかよくわからないけれども、あんなにえぐられるストーリーはあまりないんじゃないかと。公演当時、女性の刑事の方から10枚綴りのお手紙をいただいたことがあるのですが。その方は被害者と加害者、双方の意見を聞くカウンセラーの役割をされている方で、これはデリケートな話なのですが、「被害者は最終的に被害を受けているけど、事件に至るまでに被害を受けていたのは加害者であることが多く、ものすごい抑圧を受けて我慢できず、最後に加害者になってしまうケースが多い。報道される時に、加害者は悪者で被害者は可哀想となるけれど、蓋を開ければ実は真逆なこともある」と。そのお手紙を通じて、物事を決めつけてはいけないと思ったんですね。自分がこうだと思う表現を押し付けてはダメだと。
よく四季の時には、「メッセージをそのまま伝えろ。自分らで脚色するな。それはお前らの仕事じゃない。お前らは書かれた本をそのままやるのが仕事。受け取った人が判定するのだから、そこまでやるのはやりすぎだ」と。また、「そこで演じるのではなく生き抜きなさい。セリフをセリフと思わず、生の声として出せ」とすごく言われていて。それまでしっくりこなかったものがそのお手紙によって合致したんです。世の中ってそういうことなんだなと。一見、アイーダは悲劇のヒロインに見えるけれど、アムネリスという女性からラダメスという男性を奪っているので、見方を変えればアイーダは勝ち組であり、一番悲劇だったのはアムネリスだったとも考えられる。それを考えたときにこちらで役を決めてかからないでその場で作っていき、「正しい正しくないよりも判断するのは千秋楽のお客様」と委ねようと思ったんです。そこが始まりであり、今までの役者人生というか感性を導いているんです。
――では、最後に再演を楽しみにされているファンの皆さんへメッセージをお願いします。
2年ぶりの再演になりますが、私も耕史さんもみんな『メンフィス』の世界観が大好きだったので、いつか機会があればと思っていました。今回、この2年の間でみんなが育ててきたものをいい状態で出し合っていけたらいいなと。耕史さんは天才なので、彼の演出で新生『メンフィス』として、改めてどうなるのか旗を持ってもらい、全て耕史さんに委ねて思い切って自由にやってみようかなと思っています。やはり、お客様とフェリシアはスタンスが一緒で、「お客様目線でヒューイを観る」という感覚が多い役なので、自由に楽しんでやりたいなと。どういう舞台になるのか、私も初日にならないとわからないのですが、クオリティ高く観ていただけるように最高のものをお届けしたいと思います。今からがんばりたいと思いますので是非とも楽しみに、劇場に足をお運びください!
◆濱田めぐみ(はまだ・めぐみ)
伸びのある歌唱力と定評のある演技力を兼ね備えた、ミュージカル界きっての歌姫。‘95年12月劇団四季オーディションに合格。抜群の歌唱力と将来性が認められ3ヵ月後、‘96年2月『美女と野獣』ヒロイン・ベル役に大抜擢され劇団四季デビュー。
その後劇団四季の初演『ライオンキング』初演『アイーダ』初演『ウィキッド』の三作品でヒロインを演じる。四季四作品のヒロインを演じたのは濱田めぐみのみ。
劇団四季では看板女優として2010年12月退団まで15年間活躍。
『デスノート THE MUSICAL』(2015年、2017年)、『王家の紋章』(2016年、2017年)などその後も様々なミュージカルで活躍中。
第40回 菊田一夫演劇賞 2015年度 第66回 芸術選奨演劇部門文部科学大臣賞 第24回読売演劇大賞優秀女優賞
ミュージカル『メンフィス』
公演日:2017年12月2日(土)〜17日(日)
劇場 :新国立劇場 中劇場
<出演者・スタッフ>
ヒューイ・カルフーン:山本耕史
フェリシア・ファレル:濱田めぐみ
デルレイ:ジェロ
ゲーター:米倉利紀
ボビー:伊礼彼方
シモンズ:栗原英雄
グラディス:根岸季衣
ICHI、風間由次郎、上篠駿、当銀大輔、遠山裕介、富永雄翔、水野栄治、渡辺崇人
飯野めぐみ、岩崎ルリ子、ダンドイ舞莉花、増田朱紀、森加織、吉田理恵
演出・振付:ジェフリー・ページ
演出・主演:山本耕史
脚本・作詞:ジョー・ディピエトロ
音楽・作詞:デヴィッド・ブライアン
翻訳・訳詞:吉川徹
チケット:全席指定・税込
S席:11,500円
U-25(25際以下当日引換券):5,500円
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HP http://hpot.jp/stage/memphis2017
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