取材:記事・写真/RanRanEntertainment
11 月 9 日(木)より Bunkamuraシアターコクーンにて上演される舞台『24 番地の桜の園』の初日前会見および公開フォトコールが11月8日(水)に行われ、高橋克典、風間杜夫、八嶋智人、松井玲奈、美波、小林聡美、そして演出の串田和美が会見に臨んだ。
シアターコクーン初代芸術監督を務め、多彩な演出方法で無二の舞台を生み出してきた串田和美が、50年の演劇人生で初めてとなるチェーホフ作品演出に挑むということで、話題になっている舞台だ。名作『桜の園』をベースにチェーホフの様々なエッセンスと新しい視点をどのように盛り込むのだろうか。
演出・脚色・美術、かつピーシチク役で出演の串田「(チェーホフを取り上げた経緯について)チェーホフの作品に出演したことはあるけれど、演出することはないのだろうと思って生きてきたのですが・・・。何故か急にグアッと浮かびました。『桜の園』はこういうものだと思い込んでいたが、読み直してみて、もっと自由にいろいろなことができると思いやることにしました」
5年ぶりの舞台出演となる高橋(主役ロパーヒン役)「舞台は6本目、串田さんの作品に出させていただくのは3本目。正直言って、芝居に前向きに臨んだのは今回初めてですね。前回までは早く終わればいいなと思っていたんですけど(笑)。串田さんは、無の世界から空気の粒を掴むように作品作りをしているので、誰にも分かりません。なので、どこにも見たことのないような幻想的な美しい世界が、『桜の園』を題材にして組み上がっています。その中にいるワクワク感、不安感、ザワザワ感を今楽しんでいます。(劇中で歌う歌について)ああゆう編成(ヴァイオリン、アコーディオン、竪笛、チューバ)は初めて、ジプシーっぽい歌を歌うのですごく楽しみにしています」。音楽は民族音楽や即興演奏などあらゆるジャンルをこなす太田惠資が担当し、舞台では生演奏出演する。
風間(ガーエフ役)「(稽古初日がパーティで始まり)小洒落た格好で集まれということで(笑)、普通の渋谷の居酒屋でいいのではないかという印象を持ちました。たいへんワクワクする予感がした1日でした」
稽古場で場を盛り上げたという八嶋(万年大学生トロフィーモフ役)「こんなに久しぶりにワクワクしながら、ジャブジャブ泳いで、時には水を飲んで沈みかけるときもあるんですけど、楽しいですね。座組としては、ひとつの舟に乗って楽しくワイワイ航海をしていくという感じです」
松井(アーニャ役)「串田さんから真面目になるなと言われ、急に自分の真面目っぽいところを削ぎ落として不真面目に自由に稽古に向かっていったんですけど。言葉の綾に何が隠されているのかがチェーホフ作品の面白いところと感じたので、見た方は言葉じゃないところで伝わることがたくさんあればいいなと思いました」
小林(ラネーフスカヤ役)「稽古のひと月は自分の思う役柄と串田さんの思い描いていたものにどう近づけるかにいつももがいていた感じ。串田さんは誰よりも自由で、こういうやり方があると提示くださり、ヒントをくださり、役者というゴムを最大限に伸ばして、バチーンとはがして、イケーみたいな稽古でした。千本ノックならぬゴム稽古みたい(笑)。充実したひと月でした」
初日前会見は、一同串田讃に終始したが、串田和美によるチェーホフがいかに素晴らしい舞台であるかを期待させる会見であった。
◆原作『桜の園』あらすじ 20 世紀初頭のロシア。“桜の園”と呼ばれる領地。地主であるラネーフスカヤ(小林聡美)が娘・アーニャ(松井玲奈)とともにパリから5年ぶりに帰国した。待ち受ける兄のガーエフ(風間杜夫)、養女のワーリャ(美波)は再会を喜ぶが、一家の財産は尽き、地所の“桜の園”は売却を迫られていた。一家につかえてきた農奴の家の出であるロパーヒン(高橋克典)は、今は若き商人として頭角を現している。“桜の園”の売却を避けるべく、ロパーヒンは別荘地として貸し出す事を提案するが、ラネーフスカヤとガーエフは現実を直視しようとしない。娘のアーニャは、亡き弟の家庭教師であったトロフィーモフ(八嶋智人)と未来を語り合う。ワーリャとロパーヒンは以前から互いに思い合っているが、どちらからも歩み寄れないままでいる。“桜の園”が競売にかけられる当日にも舞踏会を開いているラネーフスカヤ。競売の行方に気もそぞろの夫人に、駆け戻ったロパーヒンが“桜の園”を競り落としたのは自分だと告げる――。
シアターコクーン・オンレパートリー2017『24 番地の桜の園』
◆原作: アントン・チェーホフ
◆翻訳・脚色: 木内宏昌
◆演出・脚色・美術: 串田和美
◆出演: 高橋克典、風間杜夫、八嶋智人、松井玲奈、美波、大堀こういち、池谷のぶえ、 尾上寛之、北浦愛、菅裕輔、新田祐里子、大森博史、久世星佳、串田和美、小林聡美
◆東京公演: 2017 年 11 月 9 日(木)~28 日(火)
@Bunkamura シアターコクーン 他、松本、大阪にて上演