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2023年6月2日 13:26

【前編】加藤和樹インタビュー ミュージカル『ファントム』城田優とのダブルキャストで感じた「心のどこかで繋がっている」感覚

取材:撮影/RanRanEntertainment

加藤和樹と城田優がWキャストで主演するミュージカル『ファントム』が7月22日(土)から上演される。本作は、フランスの小説家ガストン・ルルーのベストセラー小説『オペラ座の怪人』を原作にして、脚本家アーサー・コピットと作曲家モーリー・イェストンの黄金コンビにより誕生したミュージカル。怪人ファントムを一人の青年エリックとして描き、その人物像に焦点をあてたストーリーと独創的な楽曲が世界中の観客を魅了してきた人気作だ。日本では2004年に初演。加藤は2019年に、演出も務めた城田とともに主人公・ファントム(エリック)役を好演し、話題を呼んだ。加藤に再び本作に挑む想いや役作りについてなどを聞いた。

 

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――2019年に続いてのファントム役です。まずは、2019年の公演を振り返っていただいて、どんな思いがありますか?

とても楽しかったです。ただ、僕は大阪公演には4回しか出演できなかったんですよ。正直なところ、もっと演じていたかったという思いがあったので、再び出演させていただけることが非常に嬉しいです。今回は、新メンバーも多数いらっしゃって、また新たな一歩になると思うので、そういう意味でも気持ちも新たにワクワクしています。

――『ファントム』という作品の魅力を、当時はどのようにとらえていましたか?

僕としては『オペラ座の怪人』のイメージが強かったので、ダークな世界観の中に怪人の悲しみや深い愛を描いた作品だと最初は感じていましたが、ファントムを演じていくうちに、エリックが探し求めている光や愛に魅力を感じるようになりました。人との関わり合いの大切さも改めて感じることができる作品だと思うので、お客さまにも何らかの気づきを与えることができるのかなと思います。人々が何を見つけ、何を大切にしていくのかというメッセージが込められている作品だと思いました。

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――エリックとファントムという2面性を持った人物を演じる難しさはありましたか?

僕は、全てがエリックの一面であると思うので、2面性を強く意識することはあまりなかったですね。感情に起伏がある人物ですが、クリスティーヌと出会ったことで自分でも気づかなかった感情が芽生えてくる。そう考えると、ただ素直な人間だと思うんです。自分の欲望を抑えきれず、でも自分に自信も持てない。そうした彼の哀れさや、弱いところはより弱く、強いところはより強くいう陰影をはっきり出していけたら面白いんじゃないかと思います。

――演出も務めた城田さんが演じたエリックはどのように見ていらっしゃいましたか?

彼が演出を務めているということは、彼が演じたエリックが彼の表現したいエリックだと思うので、なるほどと思う部分もありました。ただ、同じベクトルで役を作っていたので、それほど自分と大きく違うと感じることは少なく、むしろ親近感が持てるエリックだったという印象があります。ダブルキャストの場合、「ここはこうやるんだ」と驚いたり、「ここはこんなに違うんだ」と感心したり、色々と思うことも多いのですが、(城田)優とはそれほど大きな幅がなく、心のどこかで繋がっていることを感じられたエリックだったという印象があります。

――それは、やはり長い付き合いの城田さんとだからこそということでしょうか?

もちろんそれもありますし、彼が思い描いているエリックを僕にきちんと演出してくれたというのもあると思います。自分のいいところを引き出してくれて、なおかつ優自身が持っている良さも引き出して作っているので、エリックがどちらにも寄り添ってくれている役になったという感覚です。

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――城田さんの演出はいかがでしたか?

導いてくれる存在でした。彼と初めて共演したのはミュージカル『テニスの王子様』ですが、その時から築き上げた信頼関係があると思いますし、疑問に思うところもきちんとディスカッションできました。彼は嘘偽りない言葉を言ってくれるので、すごく信頼できるんですよ。

――今、改めて感じている城田さんの魅力はどんなところですか?

弱いところも見せられるというところかな。不安な時は、誰よりも「不安だ」と口にするのですが、そうして口にしてくれるからこそ、僕たちは信頼できる。(本作の)製作発表でも「迷惑をかけるかもしれない」と言っていましたが、その気持ちを隠して一人で頑張られるよりも、そういう姿を見せてくれた方がよっぽどいいと思うんです。僕たちは一緒に作品を作っているんですから。なので、思ったことを素直に口にするところは彼の魅力だと思います。

――そんな城田さんとの創作で楽しみにしていることは?

今回は彼がシャンドンも演じるので、その時には同じ板の上で芝居をすることになります。実は、(舞台上で共演するのは)ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』以来なんですよ。自分がエリック、優がシャンドンとして稽古をするとなったら最初は笑ってしまうんじゃないかなと思いますが(笑)、お互いに切磋琢磨してきた優と、また同じ板の上で芝居をするというのも感慨深いですし、すごく楽しみです。

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――ファントムを再び演じる上で、初演とはどんなところを変えていきたいと考えていますか?

具体的にここだと決めているわけではないです。先日、優と話をした時に、セリフや歌を少し変えようと思っていると言っていたので、自然と変わると思います。僕もまだどこがどう変わるのかは分からないので楽しみですし、前回のいいところは引き継いで、新たに肉付けするところはして、骨組みを作っていければと思います。

――独創的な楽曲の数々も魅力の本作ですが、加藤さんが特に思い入れのあるナンバーを教えてください。

どの曲にも思い入れはあるのですが、切っても切れないと思うのは、キャリエールとの楽曲です。歌っているとどうしても涙が溢れてきてしまう、感情が入り込む曲で、とても思い入れがあります。もちろん、クリスティーヌとの「You Are Music」も印象に残っていますが。

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ミュージカル『ファントム』
2023年7月22日~8月6日    梅田芸術劇場メインホール
2023年8月14日~9月10日 東京国際フォーラム ホールⅭ
公式ホームページ  https://www.umegei.com/phantom2023/cast.html

 

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