取材:記事/RanRanEntertainment
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日本テレビで深夜に放映されたドラマ「正しいロックバンドの作り方」のシズマ、テツ、オギノ、コバの愛すべき4人が今度は舞台で帰ってきた。8月9日(日)、東京グローブ座で行われた舞台「正しいロックバンドの作り方 夏」初日前のゲネプロがマスコミ向けに公開され、主演のジャニーズWEST藤井流星と神山智洋、栗原類、吉田健悟、そして舞台からの新たなキャスト中村梅雀、ドラマ・舞台共に企画・脚本監修を務める西田征史監督が登壇し取材に応じた。
吉田健悟 栗原類 藤井流星 神山智洋 中村梅雀
「こんなにも笑って、いや泣いて、せわしなく叫ぶキミの心は、頑張っている証拠だよ」ジャニーズWESTが歌う主題歌「証拠」がファン感涙の絶妙なタイミングで流れてくる。無性に駆け出したくなるような、ちょっと胸を熱くさせるこの曲と同じように、この舞台では観客もシズマ、テツ、オギノ、コバと一緒に笑って、泣いて、怒って、心を震わせて涙する。会話のテンポ、舞台の展開、2転、3転する心地よくひねられたストーリー。ドラマと違った舞台の魅力は、やはりその臨場感で観客はまるでこの4人のバンド「悲しみの向こう側」の楽屋に遊びに来た友のように、この4人の仲間になって物語に惹き込まれることだ。こんな風に感じることができるのは、脚本。演出の力はもちろん、それを実現させる4人の確かな演技力がなせる業。シズマ演じる藤井は舞台上では常にシズマだったらそうするだろう立ち居振る舞いをしているし、神山が演じる優しく繊細なテツが身体を震わせながら絶叫すれば観客も一緒になって心を痛める。栗原はもうセリフの間合いも佇まいもオギノにしか見えないし、吉田演じるムードメーカーコバの言葉に心底ほっとする自分に気づくだろう。笑いとシリアスな場面との緩急もすばらしく演じる4人のコメディーセンスにも驚かされる。それに加えて演技派・中村梅雀が今回のストーリーのキーとなる役どころを演じているので、現実に一度引き戻されることなくこの4人と一緒に夢を追いかける楽しさや仲間と突っ走るエネルギーを体感できるのだ。そして最後にはアッと驚く演出が待っている。
ドラマから舞台へと4人の関係性は最高らしくフォトセッションでもカメラに向かって「うー、キエチマエカナシミ」をポーズ付きで何度も披露し息の合ったところを見せつけた。中村梅雀が取材中で「4人の個性が生きていて、本当に良いキャスティングだなぁ」と大絶賛していたが、この舞台ではドラマ以上にキャスティングの妙を実感できるだろう。
この4人の空気感をWESTのメンバーが見たら焼きもちやくのではという記者の質問に神山は「焼かせましょうよ!」と即答。「めちゃめちゃ仲いいところ見せて、俺らジャニーズWESTの時の二人じゃないみたいなところを見せられたら成功かなと思いますけどね」と茶目っ気たっぷりに答えた。一方の藤井は「うちらの中ではやきもちやくというか、こないだ重岡大毅が24時間のドラマ、主演させていただくことになったんですけど、その時のグループのLINEがすげえなお前おめでとう。よくやったなっていう感じで」と他のメンバーの活躍をとことん応援してくれるというWESTのメンバー同士の関係性を語っていた。
メンバーの仲の良さでは定評のあるジャニーズWESTだが、女性が憧れる「男の友情」の一番良い部分を彼らは持っているのではないだろうか。そんな彼らの2/7が参加するこの舞台にもその良い部分が加味されてこの舞台がよりファンの心に信憑性を持って響くのかもしれない。
仲間と共に夢に向かって進んでいくというドラマ・舞台のストーリーに「重なる部分がありますね」と語る藤井。「ドラマのシズマのセリフで、夢を追う時間は長い方がいいというセリフがあるんですけど、ぼくらもデビューに時間がかかりましたし、ちょっと重ねちゃう部分が。『悲しみの向こう側』はまだ売れていないから続きを考えるなら最終的にハッピーエンドになってほしいなっていうのが僕的にはあります」
一方の神山は「グループが上を目指していくにはぶつかり合うのが普通なんじゃないかな。WESTは基本的にぶつかりは捨てて、仲良くやっていきたいって思いがどっかあるんですけど、ぶつかってより強くなっていくものもあるのかな」とこの舞台で感じたこともあるようだ。
コロナ禍での上演の決断。キャスト・スタッフ共に検査を受け陰性が確認され、マスクや検温、アルコール消毒などあらゆる対策を講じた上での今回の舞台だ。
「舞台がファンの皆さんの少しでも力になれたら。そして誰一人欠けることなく無事千秋楽まで走り切れたら」と神山。藤井も「この状況でできることが嬉しいこと。笑いで免疫を上げてみんなでリスクを軽減したい」と語る。
コロナ対策の一環でもある今回の対策で嬉しいことも一つ。それは舞台でマイクを使用していること。西田監督は「マイクで生っぽさ、吐息もとるようなそういう質感も意識しながら舞台とドラマの中間を目指すような感じで作ってみた」とファンにはよりキャストの息遣いを感じられる演出ともなった。
無事に駆け抜けてほしいとキャスト、スタッフ、ファン、観客、「絶対見に来てくれると思う」と藤井が語ったWESTのメンバーの想いも載せて「正しいロックバンドの作り方 夏」が走り出した。嬉しいことに公演映像の配信も決定した。後日公式サイトにての発表を楽しみにしたい。こんな時代だからこそ、どんな形であれこの舞台をみてほしい。きっとあなたを悲しみの向こう側にある光り輝く世界へ連れて行ってくれるはずだ。
正しいロックバンドの作り方 夏
[東京公演]2020年8月9日(日)~8月30日(日) 東京グローブ座
[大阪公演]2020年9月2日(水)~9月8日(火) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
公式HP https://www.tadashiirock-stage.com/
(写真撮影:阿久津知宏)