取材:記事・写真/RanRanEntertainment
六本木歌舞伎2022『ハナゾチル』が2022年2月18日(金)~3月6日(日)のEXシアター六本木での公演を皮切りに、福岡、大阪で上演される。開幕直前の2月17日(木)に初日前会見と公開舞台稽古が行われた。会見に登壇したのは市川海老蔵と戸塚祥太(A.B.C-Z)の二人。公開舞台稽古には、市川海老蔵 戸塚祥太(A.B.C-Z)中村児太郎 市川右團次らが出演した。
2015年、市川海老蔵と中村獅童の歌舞伎への熱い想いから始まった六本木歌舞伎。第四弾となる今回は、前回演出の三池崇史が監修として参加し、演出は藤間流八世宗家、藤間勘十郎が務める。題材として取り上げるのは『青砥稿花紅彩画』。弁天小僧菊之助を含む五人から成る盗賊団の結成から捕縛までを描いたこの作品は、『白浪五人男』の通称でも知られる河竹黙阿弥による歌舞伎の名作。「知らざぁ言ってきかせやしょう」の名せりふ、五人男の勢揃い、追手との立廻りなどみどころを活かしながら、新しい解釈で上演する。
公開舞台稽古に先立ち、弁天小僧菊之助役の市川海老蔵と戸塚役の戸塚祥太(A.B.C-Z)が登壇し会見を行った。
――見どころについて
海老蔵:『ハナゾチル』は『青砥稿花紅彩画』という歌舞伎にある話をベースに作らせていただきました。江戸に生きている「白浪五人男」と云われる、日本駄右衛門(市川男女蔵)を中心とした物語があり、そこに今の世の中に生きている泥棒、(戸塚に向かって)泥棒ですよね?
戸塚:(僕が演じるのは)泥棒ですね。ギャングまではいきませんが悪い奴です。
海老蔵:その泥棒(戸塚)が現世にいて、六本木で盗みに入るんです。
戸塚:そこで過去からの声が僕に聞こえてくるんです。
海老蔵:現世で生きている不満とか鬱憤で、江戸時代から声が聞こえてくることによって頭がおかしくなって、飛び降りてしまうんです。戸塚さんは戸塚という役でやっていますよね。
戸塚:そうです。
海老蔵:戸塚は飛び降りて、タイムリープをしてしまい、江戸時代に来ます。江戸時代では古典をご覧にいれます。最初に戸塚さんが迷い込んだ場面があります。その後、「白浪五人男」で有名な場面がいくつかあり、それは古典のままほぼやらせていただきます。それからまた戸塚さんが出てきて、記憶をたどっていき、仲間の大切さ、人のために生きるといったことに気づいていきます、これは戸塚さんの夢の物語なのでしょうかね?
戸塚:かもしれないですね。心象風景というか、自分がこう生きたかった、希望を抱いていく、そういう側面もあります。
海老蔵:ベースは古典ですが、過去の人は実は正しいものを知っていて、そこに生きている人間たちから現代の人間が学んでいくという物語です。
――お互いの印象について
海老蔵:様々なジャニーズの方々と共演してきましたが、その中でも大変飲み込みが早いです。最初からいい意味でフラットですね。こうでなければいけないとかカッコ良くいようというのがなくて、スッと入ってきたという印象です。
戸塚:そうですね。何も持たずに稽古場に行くというのを心がけていました。
海老蔵:最近の中で一番緊張していると先ほど裏で言っていましたがそういうところが可愛いと思いましたね。
戸塚:ありがとうございます。歌舞伎の方々のスピード感、稽古もすごい早いですし、僕は稽古に参加する稽古が必要だなと思ったぐらいです。稽古がもう本番なんですよ。脈々と受け継がれてきた歌舞伎の伝統、歴史を肌で感じられたのが、僕の中での財産となっています。
海老蔵:で、僕の印象は?すぐ忘れるよね(笑)
戸塚:すみません。過去一、緊張しているので。海老蔵さんの印象、歴史だなと思いました。海老蔵さんは歴史です。
海老蔵:(笑)
戸塚:海老蔵さんが見得を切るのを一回だけ近い距離で観させていただいた時に、僕の頭に浮かんできたのが、写楽の役者絵だったんです。ああいう絵は誇張して描いているのだと思っていたのですが、あれはまさに写実的に描いていたのだと、この距離で体感しました。
海老蔵:へぇ、光栄です。
――舞台への意気込みについて
戸塚:僕は、初めて六本木歌舞伎に参加させていただきます。これまでにもジャニーズからたくさんさせていただいていましたが、僕も次に繋がるように、しっかりと自分の務めを果たしたいです。六本木という場所で歌舞伎を観られる、この時を皆さんぜひお見逃しなく、劇場にお越しください。
海老蔵:コロナ禍ですから、舞台を観ようかなというお気持ちにならない方もいらっしゃるかもしれませんが、感染対策も一生懸命やっておりますし、チェックもしておりますからそういう意味では安心してお越しいただきたいです。
今までは、六本木歌舞伎は新しいことをしてきました。今回も、「A.B.C-Z」の戸塚さんをお招きしたり、様々新しい試みを前半の方はしています。ですが、古典をベースにしていますので、実は古典が新しいのではないか、そろそろ古典の中に新しいものを見つけてもらう時代が来て欲しいという気持ちが今回強いです。古典を観ながら新しいのかもしれないと思っていただけるような六本木歌舞伎であるように、一生懸命務めたいと思います。ぜひ応援の方をよろしくお願いいたします。
六本木歌舞伎2022
『ハナゾチル』(『青砥稿花紅彩画』)より
東京公演:2022年2月18日(金)~3月6日(日)EXシアター六本木
福岡公演:2022年3月11日(金)~3月13日(日)福岡サンパレスホテル&ホール
大阪公演:2022年3月18日(金)~3月21日(月・祝)フェスティバルホール
脚本:今井豊茂
演出:藤間勘十郎
監修:三池崇史
出演:市川海老蔵 戸塚祥太(A.B.C-Z)中村児太郎 市川右團次
大谷廣松 市川九團次 市川男女蔵 片岡市蔵ほか
主催:株式会社3Top テレビ朝日 読売新聞社 六本木歌舞伎実行委員会
公式サイト http://www.roppongikabuki4.com/
【あらすじ】
時は現代。“弁天小僧菊之助”と名乗る窃盗犯の戸塚(戸塚祥太)が博物館から美術品を盗み出し、警官に追われていた。逮捕されそうになった時、とこからともなく声が聞こえ、その声に従うように博物館から飛び降り、気が付いた戸塚は江戸時代にタイムリープしていた。そこで浜松屋幸兵衛に息子の宗之助と勘違いされ、店に連れていかれる。