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2022年6月23日 19:15

中村勘九郎・七之助 4年ぶりに浅草で「平成中村座公演」 父・勘三郎が大好きだった宮藤官九郎脚本に喜んでくれていると思います

取材・撮影/RanRanEntertainment

10月、11月に浅草にて上演される『猿若町発祥180年記念「平成中村座公演」』の製作発表記者会見が6月22日(水)に都内で行われ、中村勘九郎、中村七之助、松竹株式会社山根成之専務取締役が出席した。

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平成中村座は「江戸時代の芝居小屋を現代に復活させ、多くの方々に歌舞伎を楽しんでいただきたい」という十八世中村勘三郎の思いから、2000年に誕生した。その平成中村座が2022年10月・11月、4年ぶりに浅草で公演する。宮藤官九郎による新作歌舞伎『唐茄子屋~不思議国之若旦那~』の上演が決定している。

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中村勘九郎は「中村座、やっとできるということでとにかく嬉しいです。コロナという未知のウイルスと闘う中、何を希望に、何を夢にしていたかと言うとこの中村座を早くやりたいということでした。ようやく10月、11月浅草でできることを本当に嬉しく思います。宮藤(官九郎)さんが新作で中村座に書き下ろしてくれます。江戸の若旦那ものがやりたい、と初めに聞きました。古典落語の『唐茄子屋政談』をベースにした人情喜劇。これは今から、古典になりそうな予感がするので、大事に大事に稽古を重ねて、お客さまに楽しんで帰っていただけるように一生懸命作っていきたいと思います。」と待ちに待った公演が決定した喜びに満ち溢れていた。

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中村七之助は「この浅草で平成中村座2カ月公演の報告ができることを本当に嬉しく思っております。何回か中村座の計画はあったのですが、うまくいかず、これはいつできるのかとずっと話題に上がっていました。時間かかりましたね。皆さまに安心して観ていただけるように全てのスタッフ総出で一生懸命いいものを作る覚悟です。」と挨拶。

浅草の地で4年ぶりに公演することについて、勘九郎は「本当に嬉しいです。江戸の芝居小屋をそっくりそのままワープさせたような小屋なので密なんです。密な空間をどうするか、話し合いを重ねました」と感染対策に時間をかけたことを明かした。七之助も、平成中村座の公演が中止になった場所のお客さまの気持ちを慮りながら「浅草の地で再始動というのは良かったのではないかと思います。私たちは浅草公会堂で10代の頃から修行して、いい役をやらせていただいて今があると思っています。」と恩のある浅草で平成中村座が再始動する喜びを語った。と同時に、その浅草公会堂の若手公演がずっと中止になっていることに、尾上松也と共に心痛めていることにも触れていた。

宮藤官九郎の新作歌舞伎について、「歌舞伎で新作を書いてくださるのは『大江戸りびんぐでっど』以来ですので、すごく楽しみです。演出も宮藤さんがやってくださるので、中村座の空間を楽しんで使っていただきたいです。私たちがまだ発見していない中村座の魅力を宮藤さんが見つけてくれると思うので今からとても楽しみです。」と勘九郎。七之助は「最近の宮藤さんの脚本の神がかり的な面白さ。すごく楽しみです。コメントには弱気な発言が書いてありますが(笑)、褒めてあげてください」と笑顔で話した。「個人的に『大江戸りびんぐでっど』大好きな作品ですが、賛否が分かれましたね。今回は全部「賛」でお願いします。」とコメント。七之助は宮藤脚本のコクーン歌舞伎『天日坊』について触れ、「「マジか」という現代語を使うのですが、「本当か?」という普通の言葉よりも心に刺さる、現代語には聞こえなかったんです。歌舞伎の中にすっと宮藤ワールドを入れてくる魅力がある」と、宮藤脚本について分析していた。

勘九郎と七之助の父である、十八世中村勘三郎が亡くなって10年。勘三郎への思いを問われ、勘九郎は「平成中村座が始まったきっかけは、父が19歳の時に唐(十郎)さんの状況劇場のテント『蛇姫様』を観たこと。これがやりたい、こういう空間でやりたいという夢を持って、それが叶った、父の夢がつまった小屋です。古典から新作、いろいろなことができる空間を作ってくれた父に感謝をしながらやらなければいけないです。浅草の地で、父が大好きだった宮藤さんが本を書いてくれるのは、ものすごく喜んでくれていると思います。父が上でお腹を抱えて笑ってくれるような作品を作っていきたいと思います。」と述べた。七之助は「本当に多くの方々から平成中村座、早く復活して欲しいという言葉をいただきました。父が40代で夢が叶えて、ニューヨークであったり、いろいろなところで平成中村座をやり、背中で私たちに一生懸命というものを見せてくれました。私たちもそれにがむしゃらについていった結果が、今に繋がっていると思います。父がやってきたことは間違っていなかったと思いますし、私たちもそれに付いていって良かったと思います。兄が話した通り、上で喜んでいると思います。」と、改めて父への思いを語った。

10月、11月の演目について、宮藤官九郎脚本の『唐茄子屋~不思議国之若旦那~』以外のものについては選定中である。それについて、「何よりも、来てくださるお客さまが求めているもの、楽しんでもらえる作品を演目立てしていかなくてはいけないと思っています。」と勘九郎がコメント。七之助もそれに続けて「父のこだわりでもあったのですが、時代物があって、踊りがあって、新作がある。新作は素晴らしいものですが、先人の築き上げてきた歌舞伎の魅力が大いに詰まった演目を、新作を観にいらしたお客さまに、こういうものもあるというメッセージを伝えたかったために見取り狂言にすごくこだわっていました。常にお客様目線で考えることを肝に銘じて、演目立てを決めていきたいと思います。」と語った。

宮藤官九郎から寄せられたコメント
2月のコクーン歌舞伎『天日坊』が好評だったので嬉しい反面モヤモヤしました。
「けど、あれは脚色ものだし」
「けど、オリジナルは賛否分かれちゃうし」
「けど、念願の平成中村座だし好きなことやりたいし」
「けど、好きなことやると賛否分かれちゃうし」
ぐるぐる考えた末、大好きな古典落語をベースに新作を書くことにしました。
『唐茄子政談』は吾妻橋から浅草寺あたりの狭いエリアを、若旦那が右往左往する人情噺。吉原の傾城との恋もある。勘九郎さんと七之助さんにピッタリです。
そこに『不思議の国のアリス』の要素をちりばめ、誰が観ても楽しめる人情喜劇になるはず。ならないとマズい。賛否じゃなくて好かれたいんです!

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『猿若町発祥180年記念「平成中村座公演」』

演目
平成中村座十月大歌舞伎
宮藤官九郎新作『唐茄子屋~不思議国之若旦那~』
※その他の十月の演目は鋭意選定中
平成中村座十一月大歌舞伎
宮藤官九郎新作『唐茄子屋~不思議国之若旦那~』
※その他の十一月の演目は鋭意選定中

日程:2022年10・11月
脚本・演出:宮藤官九郎
出演:中村勘九郎・中村七之助 ほか
会場:東京・浅草寺境内
発売日:十月大歌舞伎 9月7日(水) 十一月大歌舞伎10月7日(金)
主催:松竹株式会社 フジテレビジョン
製作:松竹株式会社

 

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