
映画『父と僕の終わらない歌』の公開初日舞台挨拶が5月23日(金)にTOHOシネマズ 日比谷で行われ、主演の寺尾聰、松坂桃李をはじめ、佐藤栞里、副島淳、ディーン・フジオカ、松坂慶子、そして小泉徳宏監督が登壇した。
イベントでは、公開直前の5月18日に78歳を迎えたばかりの寺尾をサプライズで祝うた め、寺尾演じる哲太にアルツハイマー型認知症と診断を下す医師という重要な役どころで友情出演し寺尾とも親交の深い佐藤浩市がシークレットゲストとして登壇し花束を贈呈した。さらに、キャスト・監督のサインとメッセージが寄せられた「特製レコード」もプレゼントされ、これには寺尾も大感激! 映画の全国公開、さらに座長・寺尾聰のバースデーと、お祝いづくしの中で、それぞれが映画に駆ける想いを語り尽くし、鑑賞直後の感動に溢れた観客とともに作品へ込めた想いを分かち合う、公開初日を彩るに相応しい華やかな舞台挨拶となった。
主人公・間宮哲太を演じた寺尾は「お楽しみいただけたでしょうか? この顔ぶれ見てください、最高でしょ!?」と客席へ問いかけ、さらにこの日に至るまでの宣伝活動を振り返り「今まで何本か映画 の主役をさせていただいた作品がありましたが、これくらい宣伝に“駆けまわった”作品はないです。足の届くところは全部行って、ポスターを張りまくって来ました。行く先々で、映画の中身を話すわけにはいかないので、とにかく『この顔ぶれでやるんだ!』と伝えてきました」と、共に初日の舞台に立った共演者たちに胸を張った。
息子役を演じた松坂桃李は「本当に温かな空気に包まれていますね。この作品を作ってよかったなと、心から思っています」と、早速作品の温かいメッセージが鑑賞した人たちに届いているのを実感した様子。
続いて、佐藤栞里は「実写の映画の初日舞台挨拶が生まれて初めてなので・・・」と切り出すと、客席に感動で涙を流している人を見つけ、「あ~…泣いてる人を見ると泣いちゃうんですよ」と声を詰まらせ、「私もこの『父僕』のファンの一人でもあるので、沢山の方に届いているのがわかってすごく嬉しいです」と、次第に号泣。すかさず、ともに夫婦役を演じた副島がハンカチを差し出す温かい場面もあり「私が演技の経験が少ないのを知った寺尾さんが私の目をまっすぐ見て、『嘘が本当になる瞬間があるんだよ。そのセリフが本当になる日が来たらお芝居がもっともっと楽しくなるよ』と言ってくださった」と、“宝物”のような寺尾の言葉を振り返りながらまた涙を流し、会場からも温かい拍手が寄せられた。副島は錚々たるキャストとの共演に初めは緊張していたと明かすが、「寺尾さんの優しさと面白さ、桃李さんの温かさ、慶子さんの包み込むような大らかな雰囲気に、この作品に携わる皆さんの絆が強くて、毎日『終わらないでくれ!』と思った、有意義な一日一日でした」と、自身にとってかけがえのない経験となったことを明かした。
続いて、本作の舞台挨拶には初登壇となったディーンは、鮮やかな金髪姿での登場となったが「今日素敵なメンバーと再会できることを楽しみにしていたら昨晩寝れなくなっちゃって。普段は2時間早く起きて髪の毛を黒く染めているのですが、今日染めてくるのを忘れちゃって。すみません!(笑)」と、ジョークを交えて会場を笑わせた。作中では、鑑賞した者の記憶にきっと残る印象的な登場を果たすディーンだが、出演を決めた理由について「“オヤジ”(寺尾)から電話がかかってきて『出てくれ』と言われまして」と、“オヤジ”と慕う寺尾からのラブコールがあったことを明かし、「寺尾さんとは過去に親子の役をやらせていただて、いつかまた再開できたらいいなと思って日々精進してきた」と、念願叶っての共演となったことに改めて喜びを滲ませた。寺尾演じる主人公の妻を演じ、見事な“夫婦愛”をスクリーンで届けた松坂慶子は「寺尾さんと一緒にシーンを進めていくと、自然と寺尾さんが引っ張ってくださって、(夫婦の関係は)自然と生まれてくるものでした。共演させていただき光栄です」と、寺尾に伝え「こちらこそ、光栄です」と、劇中の間宮夫婦さながらの雰囲気で、 肩を組み合いながら想いを伝えあった。
そして、メガホンを取った小泉監督はイギリスの実話をもとにした作品作りの苦労について、「日本にそのまま置き換えられるわけではなく、文化の違いがある中で、日本の皆さんに馴染むように脚色したりする作業は大変でした」と回顧しつつ、「ただ、キャストの皆さんの絆が、どこか欧米感のある温かい現場で、本当に終わってほしくないなと思える現場でした」と、劇中の温かさそのままだったという現場の雰囲気を伝えた。
音楽についての話題になると、撮影中に代表曲の一つ『ルビーの指環』を寺尾が生歌唱したというエピソードを、松坂桃李、松坂慶子が披露。「贅沢でしたね。エキストラさんとか皆さんがいるテストの時に、『ルビーの指環』を歌われて・・・。それはすっごい嬉しかったです」と、超貴重なシーンに立ち会った当時の興奮を明かした。寺尾も松坂桃李との歌唱シーンについて「彼はあんまり歌が得意じゃないっていうんですけど、一緒に歌うシーンは本当に素晴らしくて。あんまり気持ちよかったので、飛び跳ねて歌っちゃいました」と、ドライブ中の親子の歌唱シーンを楽しそうに振り返った。
劇中からそのまま飛び出してきたような、温かな雰囲気をまとったキャスト陣の愛の溢れるトークで、笑いあり涙ありとなった舞台挨拶。最後に松坂桃李は「ようやく皆様に届けることができて嬉しく思っております。本当に愛に包まれて、心を支えてくれるような、寄り添ってくれるような、そんな作品になればいいなと思います。是非沢山の方に広めていただければと思います!」とにこやかに呼びかけ、寺尾は「映画というのは長い時間をかけて、よく『心を一つにして』というんですけど、なかなかうまくいかない者なんです。ただ、この映画は紛れもなく皆が一体となって、手を繋いで出来上がった作品です。文字通り“心を込めて”作った作品です。映画のテーマは悲しいテーマかもしれません、辛い部分もあるでしょう。でも愛に包まれた中で完結していく映画です。日本中の皆さん、是非、是非、是非、劇場に行って観てください」と、多くの観客へ届くことへの願いを込めて、舞台挨拶を締めくくった。
映画『父と僕の終わらない歌』大ヒット上映中
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント ©2025「父と僕の終わらない歌」製作委員会