
音楽劇『エノケン』製作発表記者会見が2025年7月29日(火)に東京キネマ倶楽部で行われ、市村正親、松雪泰子、本田響矢、豊原功補、脚本を手掛ける又吉直樹、演出のシライケイタが登壇。本作への思いを語った。
本作は、昭和の日本を笑いで照らし続け、“エノケン”の愛称で親しまれた榎本健一の波乱の人生を又吉が新作戯曲として書き下ろす新作舞台。日本における喜劇俳優の第一人者となった彼の波乱の人生を市村が演じる。

又吉は、「榎本健一という人のことは伝説として知っているくらいでしたが、この脚本を執筆するにあたって資料や映像を観ているうちに彼の生き様、芸人としての姿にどんどん魅了されていきました」と本作を手がけた心境を振り返り、エノケンの魅力を「常人離れした動きや表情、声ももちろんですが、榎本健一さんがそこにいるというだけでみんなが注目してしまう、言語や理屈を超えた魅力があるところに惹かれます。それから、お笑いに対して貪欲で、何もないところからも笑いを生み出そうとするところがすごい」と語った。
演出のシライは「又吉さんが劇中でエノケンさんに語らせるセリフで、『自分は賢い人がしつらえるような作品は作りたくない。誰もが笑える人間の血の通った作品を作りたいんだ。客を緊張させてもしょうがない。自分が馬鹿をやらなければ始まらない。全部ひっくるめた人間の営みを表現したいんだ』という言葉があります。これがこの作品のテーマだと思っていますし、みんなで力を合わせてそういう作品を作りたいと思っております」とコメント。「又吉さんの笑いの感覚をなんとか表現したい。それと同時に、戦争と笑いという振れ幅が大きな時代を描いているので、それを大きく描けたら」と演出プランを明かした。

また、市村は「喜劇王と言われているエノケンですが、僕は役者として非常に魅力があり尊敬するところがある。僕も舞台に立ち続けてきました。お客さまの前でいい芝居を見せる、いい人生を見せるということは、エノケンさんと同じ気持ちだったと思います。これはエノケンの話なのか、自分の舞台人生の話なのか分からないというくらい、市村という役者がエノケンの中に入り込んで生きられたら」と思いを述べた。
エノケンの前妻の花島喜世子と後妻の榎本よしゑという二役を演じる松雪とは舞台では初共演となるが、市村は「前妻も後妻も松雪さんが演じるので、浮気感が出なくていい」と冗談を飛ばしながらも、「エノケンと二人の女性との絡みはなんともいい話。それを二人で作っていけることが今から楽しみです。すごくいいものができるのではないかと期待しています」と笑顔を見せた。

一方の松雪も「同じ板の上でお芝居をさせていただけるのは貴重な機会になると思っています。私が演じる役は若い時代から60代まで演じるので、時間の流れや関係性の変化を一緒に丁寧に作らせていただけたらと思っています」と市村との共演に思いを寄せた。

実に7年ぶりの舞台出演となる本田は、エノケンの息子・鍈一と劇団員の田島太一の二役を演じる。本田は「舞台はお芝居を学び始めてすぐの右も左も分からないときにやらせていただいて以来なので、スポンジになった気持ちで、吸収して学びながらいきたいと思っております」と意気込んだ。

そして、劇団の座付き作家・菊谷榮役の豊原は「菊谷は、座付き作家になった後、戦地へ向かいます。今年、日本は戦後80年になりますが、戦争の中にある時代と喜劇を描くということの狭間にいる人間をどう演じようと考えているところです」と役柄について思いを述べた。
なお、この日の会見では、市村が、エノケンが歌ったことで知られる「私の青空」をスペシャルバージョンで披露した。

音楽劇『エノケン』は、以下の日程で上演。
東京公演:2025年10月7日(火)~26日(日) 日比谷シアタークリエ
大阪公演:2025年11月1日(土)~9日(日) COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール
佐賀公演:2025年11月15日(土)~16日(日) 鳥栖市民文化会館大ホール
愛知公演:2025年11月22日(土)~24日(月祝) 名古屋文理大学文化フォーラム(稲沢市民会館)大ホール
川越公演:2025年11月28日(金)~30日(日) ウェスタ川越大ホール

