――ところで、年末の公演ということで、ぜひこの1年を振り返っていただけたらと思います。綾さんにとって、今年はどんな1年でしたか?
私個人としては、すごく内面が進化した1年だったと思います。目には見えないかもしれないけれど、自分の内側では、大きな1歩を踏み出したような感覚がありました。
――それは何かきっかけがあったのですか?
単純に自分と向き合う時間が増えたのだと思います。それで、向き合いたくないような部分にも恐れずに向き合ったことで、違う1歩が踏み出せたような気がします。今、自分の中の意識コントロールをしようと思っているんですよ。実践できているか分かりませんが、すごく単純な言い方をしてしまうと「与えられるより前に与えよう」と。そして、目の前で起きたことをありのまま受け入れようという意識コントロールをしています。潜在意識と顕在意識というものがあって、人間の意識の顕在意識は5パーセントでしかないそうなんです。無意識の領域がほぼ全てだということを聞いたときに、無意識の自分を変えていこうと考えるようになりました。そうすることで、人としてもっと成長できるのではないかなと思うようになりました。
――宝塚歌劇団を退団されて、2年ほど経ちましたが、この2年でのご自身の変化はいかがですか?
2年経ってようやく、本当に新しい1歩を踏み出したのかもしれないと思います。やっぱり私は宝塚を愛していましたし、ここまで学ばせていただいたことへの感謝の気持ちでいっぱいで、それは今もこれからも消えません。これまでは、そうした想いの延長線上にいたように思います。カンパニーにはもう在籍はしていないけれども、成分としてはまだずっと体に残っているような気がしていました。ですが、2年経って、やっとそれがブレンドされているような感覚があります。
――それは、いろいろな作品に出演したことでブレンドされてきたのでしょうか?
そうですね。さまざまな作品に出演して、たくさんの人と出会って、いろいろな環境に行ったというのが大きいと思います。それこそ、無意識の部分が揉まれていったのではないかなと。
――今、綾さんはどんなところに舞台の魅力を感じていますか?
今はグローバル化されて、目まぐるしく時代が動いていて、お仕事もリモートワークが推奨され始めたり、効率化・デジタル化されてきている中で、忘れてはいけない「アナログ」が舞台にはあると思います。お稽古は、演出家の方をはじめ大道具さん、小道具さん、舞台監督さんなどと演者が同じ場所に集まって、同じ時間を共有し生身の体でぶつかり合って作っていくことで、目に見えない感動が生まれるのではないでしょうか。私自身も、身近では気づいたらすぐにスマホに頼ってしまうし、AIなど、革新的にデジタルな部分が進む今の時代にとてもわくわくしますが、その一方で、人間の持つ心の温かさや、大事にしたい工程が舞台にあると感じています。
――ちなみに、綾さんが最初に舞台やミュージカルに触れたのはいつ頃だったのですか?
私は宝塚市出身で、祖母も母も宝塚が好きだったんですよ。なので、物心つく前に気づいたら宝塚を観ていました(笑)。その中で、自分で初めて観たいと思って、お願いして連れて行ってもらった作品が、2002年の花組の『エリザベート』です。瀬奈じゅんさんがルキーニを演じていらした公演だったんですよ。なんて素敵な世界なんだろうと思って、そこから宝塚を自分から観るようになりました。
――そうしたら、今回の瀬奈さんとの共演は特別な機会なのではないですか?
本当にそうなんです! ただ、気をつけています、ファンが出ないように(笑)。
――瀬奈さんには想いをお伝えしていないんですか?
みんなが言うような「観ていました。好きでした」という言葉でしかお伝えしていません。ピンポイントな言葉はまだ使わないようにして、ファンは出さないようにしています(笑)。ただ、どうしても心の中で「ああ!あさこさん(瀬奈の愛称)の歌だ!」と聞いてしまっていますが(笑)。
――あはは(笑)。でも、憧れの方と共演することは、ご自身の中でも成長を感じるところですよね。
本当に人生って何があるか分からないなと思います。私は、宝塚にいたときには組み替えも経験しましたが、そのときもご縁で、何があるか分からないことを痛感しました。ただ、(瀬奈との共演は)昔の私が聞いたら信じないと思います(笑)。同じ舞台に立てるなんて!
――では、2025年は、どんな1年にしたいですか?
今年は自分の中で大きな変化があったので、それを活かしていけたらいいなと思います。無意識を変えることはすごく難しいことだと思いますが、それが変わってくると自分が意識している世界の見方が変わってくるものだと思います。世界観が変われば、パフォーマンスにも変化が出ると思うので、変化し成長していけたらと思います。
――ありがとうございました! 改めて公演に向けての意気込みとメッセージをお願いします。
2024年の集大成、そして2025年の幕開けの作品になります。演出の藤田さんが、「天保十二年のお話ですが、今この現代を生きる人に通じる物語になっている」とおっしゃっていました。まさにその通りだと思います。今、地球上ではさまざまな変革が起きていて、その中でそれぞれがどう生きていくのかが問われている時代だと思います。天保十二年の頃は、親が農民ならば農民、武士ならば武士、商人ならば商人と、生まれたときから自分の人生が決まっていました。この作品では、そんな時代に生きていた人たちがもがき、足掻いている姿を描いています。生きることとは。そんな普遍のメッセージが込められたこの作品を通して、必ず何かポジティブなメッセージを受け取っていただけるのではないかと思います。
写真提供:東宝演劇部
祝祭音楽劇『天保十二年のシェイクスピア』
作:井上ひさし
音楽:宮川彬良
演出:藤田俊太郎
キャスト
浦井健治 / 大貫勇輔 / 唯月ふうか / 土井ケイト / 阿部裕 / 玉置孝匡 / 瀬奈じゅん / 中村梅雀 / 章平 / 猪野広樹 / 綾凰華 / 福田えり / 梅沢昌代 / 木場勝己 / 妹尾正文 / 新川將人 / 出口雅敏 / 武者真由 / 森加織 / 山野靖博 / 天瀬はつひ / 斎藤准一郎 / 下あすみ / 鈴木凌平 / 中嶋紗希 / 藤咲みどり / 古川隼大 / 水島渓 / 水野貴以
公演日程
2024年12月9日(月)~2024年12月29日(日)東京都 日生劇場
2025年1月5日(日) 〜2025年1月7日(火)大阪府 梅田芸術劇場
2025年1月11日(土)〜2025年1月13日(月)福岡県 博多座
2025年1月18日(土)〜2025年1月19日(日)富山県 オーバード・ホール 大ホール
2025年1月25日(土)〜2025年1月26日(日)愛知県 愛知県芸術劇場 大ホール
公式HP https://www.tohostage.com/tempo/
【サイン入りチェキプレゼント】
<応募方法>
(1)ランランエンタメの公式X(旧Twitter)アカウント「https://twitter.com/ranranentame」をフォローする
(2)【前編、後編】の両方の記事を、リツートする。
(3)ダイレクトメッセージから「綾凰華さん希望」と書き、申し込む。
<応募締切>
2024年12月29日 23時59分
<当選発表>
締切後、厳正なる抽選の上、当選者を決定。ご当選者様には、ランランエンタメ公式アカウントよりダイレクトメッセージにて当選連絡をいたします。2日以内にご返信がない場合は当選の権利が移ります。
当選者発表までに少々お時間を頂戴いたします。ご了承ください。
<ご応募について>
※リツイートは、公式リツイートに限定させていただきます。
※X(旧Twitter)アカウントを非公開にしている場合、リツイートを確認することができないため応募対象外となります。
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※当選結果に関するお問い合せは受け付けておりませんので、ご了承ください。
<商品発送について>
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※当選者の長期不在や、賞品お届け先ご住所や転居先が不明等の理由により、賞品のお届けができない場合は、ご当選を無効とさせていただく場合がありますので、予めご了承ください。
<注意事項>
※プレゼントの応募によりお預かりした個人情報は商品の発送にのみ使用いたします。
※ご当選の権利は第三者への譲渡や現金とのお引き換えはできません。
※ご応募いただいた時点で、本応募要項に同意いただいたものとみなします。
衣裳協力
ワンピース: EAUVIRE オーヴィル
アクセサリー: VENDOME AOYAMA ヴァンドーム青山
取材 文:嶋田真己 撮影:間野真由美