――舞台出演に関して、チャレンジしてみたいことや楽しみなことはありますか?
映像だと、1つの役で同じセリフを何度も言うこともないし、流れていってしまうこともある。また、この舞台はシェイクスピアでセリフが難解なんですよね。1回では自分の中に落とし込むことができないと思います。稽古期間と公演を含めてしっかり落とし込んで、それでもできないかもしれない。稽古中も沼にハマっていくと思います。こう言う作品じゃないと得られない機会なのですごく楽しみにしています。
――公式のコメントで「俳優として一度は通ってみたかった道」とおっしゃっていましたが、その理由を教えていただけますか。
やっぱり、俳優をやっているとシェイクスピアって絶対に耳にしますし、世界中で常に公演が行われている題材。今までは自分にできるのかなっていう不安の方が大きくて尻込みしていました。でも俳優を22年やってきて、その集大成としてこのタイミングで出会えた。それをすっと受け入れられたんです。
――同じくコメントで、自分とは違う役とのことでしたが。
違う方が実はやりやすかったりするんですよ。等身大だと、自分でやっていて「演じているのかな?」と思ってしまうこともあって。何が正解かはわかりませんが、今回の役はやっぱり特殊で、自分とリンクさせる部分がなかなか見つからないので完全にイメージです。でも僕は「自分がこうしよう」じゃなく、「この人はこう演じるんだ、なら僕はこうかな」というタイプ。稽古に向けて準備はするけど、いつでも変えられるようにしておいて、読み合わせや稽古に入ってから作っていく感じになると思いますね。
――公式の作品紹介やチラシに「あなたが本当に欲しいものはなんですか?」とありますが、今欲しいものはありますか?
8ヶ国語くらい喋れるようになりたいです(笑)。
――ちなみにどの言語を。
具体的には決まっていないですけど、どこに行っても言葉が通じたらいいなと思います。
――映像と舞台の違いはどんなところに感じますか?
舞台は総合芸術で、お芝居のトーンも2倍、3倍大きく作らなきゃいけない。あと、「これが正解ですよ」というのがきれいに見せられて、そこに向かう感じがします。大きな山をみんなで一緒に登っていくような。映像は低い山がいっぱいあって、今日はこれを登り切る、明日は違う山にって単発でやっていく感じですね。
セリフは多いですが、初日に全部入れていこうとは思いません。1人がそれをやるとみんなやらなきゃいけないのかなってなっちゃうので、多分迷惑なんですよ(笑)。僕は周りを見るタイプなので、みんなが本を手放す中間くらいで手放そうと思っています(笑)。
――舞台に出演するときや、プレッシャーに打ち勝つためのルーティンなどはありますか?
プレッシャーを感じている時って、初めて立つ場所だとかすごい大御所さんと一緒に仕事をするとか、周りに押されているときだと思うんです。そういった周りの環境を考えないようにするために、自分のことだけ考えますね。極端な話「今日は何を食べようかな」とか。小さなことで幸せを感じるタイプなので。
――日英クリエイターの共作、世界初演、豪華なキャスト陣とポイントが沢山ありますが、要さん的なイチオシはどこでしょう。
全部イチオシですし総合芸術なので悩みますが、まずは『マクベス』の女性バージョンというところ。でもそれ以上に、テーマやそれぞれのキャラクターが持つ魅力が大きいです。今のご時世を映し出しているようなセリフもあって、正直100人が観たとして全員が「よかった」という作品じゃない。「すごく不快だった」という方もいるだろうし「あのセリフがすごく響いた」という方もいると思います。一概に「これはこういう作品です」と言い切れない、観た人それぞれがどう感じるかという作品ですね。
――最後に、意気込みを教えてください。
舞台経験が少ない僕がどこまでできるかわかりませんが、共演者の皆さんに支えてもらいながら一生懸命取り組みたいと思います。役者人生の集大成になると思うので、よろしくお願いします。
舞台『レイディマクベス』
[東京公演]
2023年10月1日(日)〜11月12日(日)
よみうり大手町ホール
[京都公演]
2023年11月16日(木)〜11月27日(月)
京都劇場
[作]
ジュード・クリスチャン
[演出]
ウィル・タケット
[出演]
天海祐希 アダム・クーパー 鈴木保奈美 要 潤 宮下今日子 吉川愛 栗原英雄
[公式サイト] https://tspnet.co.jp/ladym/
取材 文:吉田沙奈 撮影:早川善博