2016.09.01
ミュージカル『ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ』日本版初演に向け、プレビュー公演前日となる9月1日、公開ゲネプロが行なわれた。
撮影:桜井隆幸
『星月夜』『ひまわり』『オーヴェルの教会』『自画像』など2,000点以上の絵画を残し、37歳で自ら命を絶った画家、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ。
彼を精神面、経済面で支え続け、その半年後、自らも追うように他界した弟・テオ。
「仲の良い兄弟」という言葉だけでは片付かない、深い絆で支え合った二人の、愛と葛藤の物語を描ききり、2014年の初演以降、韓国で何度も再演を重ねるヒットミュージカル。
今回の日本初演では、ミュージカル界を牽引する橋本さとし、岸祐二を始め、泉見洋平、野島直人、上山竜治、入野自由という実力派のキャストが顔を揃えた。
また上演台本・演出は、第14回読売演劇大賞・優秀演出家賞受賞、第22回同賞・優秀作品賞も受賞し、今最も勢いのある演出家の一人である、河原雅彦が担当。
美しくドラマティックな楽曲で綴る、たった二人のミュージカル。
今回は、トリプルキャストでの上演だが、先陣を切るプレビュー公演は、ヴィンセント役を橋本さとし、テオ役を岸祐二のペアが務める。
物語は、弟・テオの回想から始まる。
半生を振り返る、病に冒されたテオ。
岸祐二の柔らかな歌声は、兄を慕い、思い返す姿が切ない。
橋本さとし演ずるヴィンセントは、まるで時を超えヴィンセントが乗り移ったかのように、求道者のような面持ちで絵の世界に没頭し、挫折し、苦悩する。
二人の、時に夢を語り合い、時に苦悩を分かち合う姿は、ある種のトリッキーなイメージも持つ画家・ゴッホとも、また違う、
兄弟の強固な信頼関係を浮き彫りにした人間ドラマが展開される。
二人芝居であるが故に、演ずる俳優同士の信頼関係も如実に滲み出てくるようだ。
確かな歌唱力の二人がハーモニーを奏でると、その声は一つの揺るぎない旋律となり、客席を包み込む。
更に、この作品の大きな個性でもあり、”第三のキャスト”といって過言でないプロジェクション・マッピングによる映像が、ヴィンセントの数々の作品をステージ上に映し出し、効果的に物語世界を創り出している。
観客は、ヴィンセントの作品世界の中に引込まれて、彼と同空間にいるかのような錯覚を覚える。
誰もが知る画家・ゴッホ。
上質なミュージカルを通じて、彼の作品に込められたバックグラウンドを知る切っかけとしても、興味深い作品なのではないだろうか。
愛と夢を求め拒絶され、絶望、苦悩し、それでも求め続けた絵との人生。
素晴らしい楽曲と映像とのコラボレーションで、是非堪能してほしい。
9月7日の公演初日には、韓国オリジナルプロダクションのキャスト・スタッフも激励に訪れるとのこと。
公演初日に向けた、全キャスト、上演台本・演出の河原雅彦のコメントは以下の通り。
<橋本さとし:ヴィンセント役>
暑い熱い稽古を経て、
気がつけばひまわりの季節が過ぎましたが
永遠に咲くゴッホのひまわりと共に2世紀の時を越えてヴィンセントの思いや生き様をお届けしたいと思います。
ただひたむきに…
<岸祐二:テオ役>
俳優として目標にしてきた僕にとって実の兄以上の存在、さとしさんとの2人ミュージカル!
愛すべき先輩と今回組めるのは、喜びと緊張の極みです。
僕の役テオは、兄ヴィンセントを支え精一杯生きた人、その時代の空気や人間の純粋さを大事にし観客の皆様へ伝えます。
そして演出の河原雅彦さんとの出会いも含めて、自身のターニングポイントとなる作品です。
<泉見洋平:ヴィンセント役>
“ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ”、余りにも孤独や哀しみに苛まれる壮絶な人生ですが、誰よりも幸せな人生なのかもしれません。“絵で人々に救いを与えたい”という”想い”は、没後120年以上経った今も、世界中の人々に”光”や”癒し”を与え続けています。
彼の”信念”に敬意を表し、舞台に乗せられるよう精一杯務めさせて頂きます。
<野島直人:ヴィンセント役>
「舞台でヴィンセントとしてどう生きるか。」を第一に考えて自分自身を追い込んできました。
約二時間、情熱的に生きたいと思います。また、プロジェクションマッピングと融合したこの作品、
見所がたくさんあります。楽しみに劇場にいらしてください。
<上山竜治:テオ役>
ゴッホの油絵が動き出す素晴らしい映像ももちろんですが、信念を貫く兄弟二人の勇姿をとにかく見て頂きたいです。
弟テオも兄ヴィンセントと同じくらい芸術に情熱を注ぎ、身もお金も削り兄を支援し続けました。
『テオ』の情熱に負けないくらいの、愛と信念を持って『テオ』を演じます。
ぜひ、生の熱を感じに劇場へいらしてください。
<入野自由:テオ役>
稽古場で色々な話をしました。その話題の一つが「JOURNEY」→旅をする、ということ。
テオの人生を嘘がないよう、正直に生きる!いろんな感情を全部ひっくるめて。
彼の人生を彼と共に!素敵な音楽。圧倒的なプロジェクションマッピング。
そして我々の全身全霊のパフォーマンス。劇場で共に旅にでましょう!
<河原雅彦 上演台本・演出>
「ゴッホが歌う」これだけで見る価値十分なミュージカルだと思います。
それに加え、画家・ゴッホを長年常軌を逸した愛で支え続けた弟・テオとの濃すぎる人間ドラマ、そしてこの舞台を彩る様々な映像効果も見応え十分とくれば、この上もなく観客の心を打つ、いわゆるミュージカルを超えた極上のエンターテイメントに仕上がっていると思う次第。ぜひ劇場まで足をお運びください。
<公演詳細情報>
ミュージカル『ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ』
作:チェ・ユソン 音楽:ソヌ・ジョンア 映像:コ・ジュウォン
上演台本・演出:河原雅彦
訳詞:森雪之丞
出演:
橋本さとし 岸祐二
泉見洋平 野島直人 上山竜治 入野自由
(トリプルキャスト公演)
【公演日程】
プレビュー公演 2016年9月2日(金) かめありリリオホール
東京公演 2016年9月7日(水)~24日(土) 紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA
各プレイガイドでチケット発売中。
公式サイト
https://musical-gogh.themedia.jp