2015.12.10 取材:記事・写真/RanRan Entertainment
写真提供/WOWOW
2015年12月10日、東京・サンシャイン劇場にて、演劇集団キャラメルボックスのクリスマスツアー『BREATH』のゲネプロと囲み取材が行われた。
キャラメルボックスは今年劇団創立30周年を迎え、今年は特に人気作の再演や初舞台化が話題となった。その締めくくりとして上演される本作はテーマソングをTUBEが書き下ろすなどと新しい試みが満載で、ファンと共に駆け抜けたアニバーサリーイヤーを彩る。 囲み取材には主演の多田直人、岡内美喜子、脚本・演出を担当した成井豊が登場し作品にかけた思いを語った。
煌びやかな街を背に、それぞれがそれぞれの時間を過ごしていた男女が、クリスマスを前にして複雑に絡み合っていく様子は、2003年に公開された映画、『ラブ・アクチュアリー』のよう。脚本・演出の成井はこの映画から構想を練ったようで、 「映画を見たときからこれをキャラメルボックスでやりたいなと思い、30周年最後に実現しました。7つのカップル、7通りのストーリーを考えるのは大変で、でも書くのは最短記録ってくらい早く終わりました。」 と脚本を書くきっかけと共に、出演者全員が実は関係しているという複雑な状況作りに苦戦したことも明かした。
本作は「REDキャスト」「GREENキャスト」の2通りがあり、多田、堀江を含めた固定キャスト10人のほかに計5人が役替わりを行うため総出演者数は20人にものぼる。稽古場の様子について尋ねられた、「芥山賞」を受賞した変わり者の小説家役の多田は、 「いつもの僕らの舞台は12~13人がオーソドックスなので稽古場から賑やかでしたね~。それぞれが苦労したのは、オムニバスのような形で2人ずつのシーンが多くて、会話の面白さで見せるシーンばかりで、今までの作品にはあまりない形なので新鮮です。2人のシーンからシーンへのバトンの受け渡しができたら」 と本作ならではの工夫を語った。
また、多田演じる赤星から急に結婚を持ちかけられる、すべての物語が交差する場所・劇場事務所で働く堀江を演じる岡内は役を演じる感想を聞かれ、 「ポスターなどを見ると、私と多田くんが主役かなと思われるのですが、そんなことはなくて、それぞれが主役です。新人から、30年いるベテランも均等にストーリーを背負っていて、それぞれが悩んで。人生ってみんなが主役、ということをあらためて感じる作品だと思いました。」 本日登場の2人は入団12年目と19年目。そんな芝居のベテランが見せるつい笑ってしまうようなテンポの良い掛け合いから、新人のキュンとするような初々しいシーンまで幅広く込められ、芝居の醍醐味も味わうことができる。
そんなクリスマスにぴったりでロマンチックな作品をさらに彩る、TUBEが書き下ろした新曲に関しては成井が 「前田さんのボーカルの存在感が凄すぎて、最初は怖かったです。でも、それに合わせてお芝居を作っていくことで馴染んで、最後の曲なんかぴったりはまりましたね。」 と語り、出演者の2人も「TUBEさんの歌声に乗っていかないと!」と口をそろえた。 舞台の要所要所で流れる新曲にも注目だ。 キャラメルボックス30周年の集大成。様々な愛が詰まった本作からの愛を受け取りにぜひ劇場へ!
《STORY》
12月。東京都内の劇場に勤める堀江恭子に、高校時代の同級生の赤星一馬から電話がかかってくる。一馬は「明日のニュースを見てくれ」という。翌日、テレビを点けると、そこに一馬が映っていた。一馬は新人作家を対象とした芥山賞を受賞したのだ。 それを見て、恭子は高校の卒業式を思い出す。別れ際、一馬は恭子に向かって、「僕が芥山賞を取ったら、結婚してほしい」と言ったのだ。「あいつ、まだ覚えてやがったのか。あれから15年も経ったのに」と呆れる恭子。ところが翌日、一馬が家へ訪ねてきた。
《日程・会場》
12月10日~25日 サンシャイン劇場
《キャスト》
多田直人、岡内美喜子、大森美紀子、西川浩幸、坂口理恵、菅野良一、畑中智行、三浦剛、阿部丈二、鍛冶本大樹
キャラメルボックス公式ホームページ