取材:記事・写真/RanRanEntertainment
坂東巳之助がうずまきナルト役を、中村隼人がうちはサスケ役を演じる、新作歌舞伎『NARUTO-ナルト-』が、2018年8月4日(土)から、東京・新橋演舞場にて新作上演される。このゲネプロが前日の3日(金)に披露された。
『NARUTO-ナルト-』は身体の中に九尾の妖狐を封印された落ちこぼれ忍者・うずまきナルトが忍術の修行や敵との戦いに挑みながら成長していくバトルアクションストーリー。国内ではシリーズ累計1億4000万部、海外でのコミックス累計発行部数は9500万部以上を誇る超人気作だ。
今回新作歌舞伎として上演されるが、なんとコミックス全72巻分の内容を約4時間で一気に描かれる。そこには九尾封印の謎や、ナルトとサスケの友情、ナルトの生誕にまつわる秘密と両親の愛、うちは一族が抱えてきた因縁、秘密結社「暁」の怪しい動き、さらには仮面の男の野望などが盛り込まれている。演出はG2が手掛けた。
ゲネプロの前に行われた囲み会見では、巳之助と隼人が舞台衣裳を着用して登場。まるで漫画の中から飛び出してきたような高い完成度を見せていた。巳之助は本作の舞台化について「長大な原作のどこかの部分をやる、というのではなく、この舞台で完結させる事を目標として掲げていました。やっていくうちに『この場面はやらねばなるまい』という選りすぐりの場面をやってきました。全場面が見どころだと思います」と胸を張り、隼人は「演出のG2さんや猿之助兄さんなどと『この場面は要らない』『この場面は入れた方が良いのでは?』と何度も議論を交わしながら詰めていきました」と語っていた。
隼人は「普段歌舞伎でやる立ち廻りもありますが、それよりもっと速い、歌舞伎ではないような立ち回りもあって、アクション部の方たちと一緒に作ってきました」と振り返る。とはいえ普段歌舞伎で見せる型よりリアルな振舞い方をする必要があるので、「普段は刀を振る度に脚が前に出るのを、後ろに引くなど、ちょっとしたところが難しかった」と微笑んでいた。
巳之助は、隼人の言葉を受けつつ「『NARUTO』はバトルアクションマンガなのですが、闘いをすることによって、キャラクターたちが気持ちを交換しあうとか、物語が前に進んで行くのがバトルアクションマンガだと思うので、舞台化するにあたっても立ち回りは芝居の進行上不可欠な存在であり、だからこそアクションシーンが大切だと思うんです」と想いを口にしていた。
隼人はこの舞台でカラーコンタクトレンズを装着している。これはサスケが赤い瞳に模様がある“写輪眼”という術を使うという設定を忠実に再現するための工夫。「これまではずっと裸眼で、人生初のコンタクトが“写輪眼”だったんですよ」と笑い、「世の中のコンタクトレンズを付けているユーザーを尊敬しました。こんな異物を入れて歩いているのかと!付けていて違和感がありますね」と驚きに満ちた感想を口にする。すると巳之助は「僕は視力矯正用のコンタクトレンズを入れています!」となぜか隼人に対抗するように横から言葉を挟み笑いを誘っていた。
ゲネプロでは、ナルトとサスケ以外のキャラクターも原作のように舞台上で息づいていた。生々しいアクションや、時には映像技術も用いて忍術のイメージを表現、一方で歌舞伎で見せるような見得をきる場面や動きもあり、それが原作の世界に不思議となじんでいたのが興味深かった。様々なエピソードがとてもダイジェスト版とは思えないくらい見事なまとまりで描かれており、初めて『NARUTO』の世界に接した人はもちろん、原作ファンにとっても満足度の高いものになっているに違いない。クライマックスでは本水も使われ、激しいアクションシーンをさらに盛り上げていた。
公演は8月27日まで、東京・新橋演舞場にて上演。