取材・撮影/RanRanEntertainment
――製作発表では楽曲披露もされましたが、いかがでしたか?そのためにお稽古もされたと思いますが?
伊礼:楽しかったです。(加藤さんと)一緒に歌えて。
加藤:一回しか一緒に稽古していなかったんです。
伊礼:どのパートを歌おうかということを、30分か40分ぐらいやっての本番。初めて合わせたので、新鮮で楽しかったです。
――お互いの歌について、いかがでしたか?
伊礼:あの(高い)キーを出せる人はあまりいないと思うんですよ。なので、僕らがこの役をいただいたからには、クラッシックな発声ではないロック寄りの発声で、『キングアーサー』の世界観に連れて行けたらと思います。楽しいセッションでした。
加藤:そうね。彼方の声の深味が好きなんですよ。もちろんクラシカルなものもやれますし、ロックな感じも。僕は彼方が昔ライブハウスで歌っている姿を見ているんです。
伊礼:ハハハ
加藤:そこが根っこにある分、通じる部分がありますね。そして今まで培ってきた発声法と混ぜながら、いろいろな形で声を表現しているのがすごいと思うので、聴いているだけでも心地いいです。やっぱり一緒に歌うと盛り上がりますね。
――フレンチミュージカルの特徴というのは、どんなところにあるのでしょうか?
加藤:僕が知る限りでは、『ロミオ&ジュリエット』のフランス版が来た時にも観ましたし、僕が関わった『1789』も、ダンスナンバーがショーアップされていてショーに近いです。もちろんお芝居ではあるのですが、ただただすごいです。一曲一曲が見せ場であり、ずっと拍手をしているような感じです。
――今回の『キングアーサー』は人間ドラマも描いていくということを演出のオ・ルピナさんはおっしゃっていましたが、どのようになっていくと思われますか?
伊礼:演出家はリアル思考だと聞いているので、相性がいいのかなと思っています。ミュージカルらしいショーアップな部分と、人間ドラマはしっかり掘り下げて感情豊かに表現してくれるのではという期待はあります。そのギャップを魅せていきたいと思います。
――お二人共、さきほど共演者が素晴らしいとおっしゃっていましたが、特に楽しみにしていることはありますか?
伊礼:一番楽しみにしているのは和樹との色の違いがどう出るのだろうということですね。もちろん、健ちゃん(浦井健治)との対立であった対立であったり、モルガン(安蘭けい)との楽曲も楽しみ。
加藤:そうそう。あの二人の歌がまた難しいけれど面白い。
――お客さまにはお二人の両方を観ていただきたいですね。
伊礼:そうすると我々が出ているシーンによって周りの役者達も変わるはずなんです。
――台詞も一緒で、歌も一緒、でも変わるというのはどういうところなのでしょうか?声の出し方とかでしょうか?
伊礼:同じ台詞でもささやいていたり、僕は叫んでいるかもしれない。そうしたら受ける印象は違うはずです。シャウトするところで、僕はファルセットを使って、一瞬の弱さを見せたり。どのように選択していくかが楽しみです。
――稽古はこれからだと思いますが、普段、稽古場ではどんな居方をされていますか?
加藤:僕自身はいろいろなことを客観的に見ます。自分のこともそうですけれど。単純に芝居を観ているのが好きなんです。他の方がどうキャラ作りをされるのか、いろいろなところに目を光らせておきたいです。メレアガンがこの作品でどういう立ち位置、どういう人たちとどういう人間関係があってという、その一つ一つをちゃんと紐解けるようなアンテナを張っていきたいと思っています。
伊礼:演出家が求めるものを一番最初に察知したいなということがあります。比較的いろいろプレゼンはいつもしています。役者は基本的にプレゼンするものだと僕は思っていますので、「この役をどう見せたいですか?」「こう見せたい」「だったら、これとこれがあるので、選択してください」というのが僕の仕事だと思っています。「こうしてくれ」と違う意見を言われた時には、僕はいつも「なぜ?」と聞きます。演出家の中に明確な理由があるなら僕は自分の考えを収めて、そちらの方を選択します。そういうコミュニケーションをとるのが好きなので、話し合って最善の選択をしていきたいと思っています。
――それでは、ご覧になるお客さまに向けてメッセージをいただけますか?
伊礼:年始からお祭り。ぜひとも新しい年を一緒に過ごしましょう。忘れられない一年になると思います。『キングアーサー』は盛り上がると思います。
加藤:年初めからこんなに面白くなりそうな作品に出会えたことは幸せです。またこの幸せな気持ちと作品を皆さまに届けられるように精一杯務めていきますので、ワクワクしながら待っていていただければと思います。
――ありがとうございました。楽しみにしています。
ミュージカル『キングアーサー』
東京公演:2023年1月12日(木)~2月5日(日) 新国立劇場 中劇場
群馬公演:2023年2月11日(土・祝)~12日(日) 高崎芸術劇場 大劇場
兵庫公演:2023年2月24日(金)~26日(日) 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
愛知公演:2023年3月4日(土)~5日(日) 刈谷市総合文化センターアイリス 大ホール
日本版台本・演出:オ・ルピナ
翻訳・訳詞:高橋亜子
音楽監督:竹内聡
振付:KAORIalive
出演:
アーサー:浦井健治
メレアガン:伊礼彼方/加藤和樹 (Wキャスト)
ランスロット:太田基裕/平間壮一 (Wキャスト)
グィネヴィア:小南満佑子/宮澤佐江 (Wキャスト)
ガウェイン:小林亮太
ケイ:東山光明
マーリン:石川禅
モルガン:安蘭けい
主催・企画制作:ホリプロ
公式サイト: https://horipro-stage.jp/stage/kingarthur2023/
<文:高橋美帆・撮影:篭原和也>