取材:記事・写真/RanRan Entertainment
結末は分かっているのに、何度でも読みたくなる物語がある。そして幾度読み返しても涙が溢れてくるストーリーがある。世界30か国で500万部以上を売り上げたダニエル・キイス著『アルジャーノンに花束を』は、まさにそんな作品の一つだ。その名作が2017年、再びミュージカルとして蘇る。主演は舞台を中心に活躍してきた実力派俳優・矢田悠佑。2月7日、都内で行われた舞台稽古がマスコミ向けに公開された。
ミュージカル『アルジャーノンに花束を』が日本で初演されたのは2006年。口コミで人気となり、千秋楽には立見席も完売となった。その後2014年に再演され、チケットは即完売。キャストを一新して今回待望の再々演となる。初演・再演で主演を務めた浦井健治を想定して当て書きされた脚本を演じられる「歌唱力と珠玉の声」の持ち主として、プロデューサーから「この人しかいない」と指名されたのが矢田悠佑だ。「テニスの王子様」や「王家の紋章」など人気ミュージカルに出演し、着々と実力を磨き、今回初の主演を務める。
この日の稽古では、知的障害を持つ主人公チャーリィ・ゴードンが、知能を向上させる脳外科手術を受け、徐々に知能を回復していく物語の前半部分が公開された。立ち稽古3日目だというが、本番さながらの見応えとなっているのは、さすが舞台を中心として活躍する実力者揃いのキャスト陣というところだろう。矢田によると立ち稽古に入る前、2週間ほどかけて歌稽古と本読みをじっくりと行ったという。「少しずつですけど、何か掴んでいるかな」と手応えを語った。物語の前半部分ということで、オーバーチェックの少し大きめのネルシャツの袖を萌え袖にして、純粋無垢なチャーリィを演じる矢田。元宝塚トップスターで今回アリス・キニアン役を演じる水夏希とも息がぴったりだ。
これまで国内外でドラマ・映画・舞台で多くの人が演じてきたチャーリィという役柄を演じるにあたって、本人に特別な気負いはないようだ。「僕自身としては違うことをやろうという考えはなくて、本を読んで感じて、稽古をやっていくうちに、行き着いたところで、違う色だったりするんじゃないかなと思っています」とチャーリィを自分色に染めるのではなく、矢田が演じることで、結果として矢田色のチャーリィが出来上がるという考え方だ。
初主演として「アルジャーノンに花束を」という難しくも素晴らしい作品にあたったことも「僕の代表作にしていけるように頑張りたい」と意欲を語った。この作品では、チャーリィ役の矢田は、ほぼ出突っ張り。多くの歌もあり「今まで応援してくださったファンのみなさんには喜んでいただける作品になるんじゃないかと思っています」と締めくくった。
色褪せない名作「アルジャーノンに花束を」。ダニエル・キイス生誕90周年に当たる今年。今までと違った形で、この作品を楽しんでみるのもいいのではないだろうか?
ミュージカル『アルジャーノンに花束を』公演概要
【原作】ダニエル・キイス
【脚本・作詞・演出】荻田浩一
【出演者】矢田悠祐・蒼乃夕妃・皆本麻帆・吉田萌美・小林遼介・和田泰右・長澤風海・戸井勝海・水夏希
◇東京公演/天王洲 銀河劇場 2017 年3 月2 日(木)~3 月12 日(日)
◇兵庫公演/兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール 2017 年3 月16 日(木)
公式HP http://www.algernon-musical.com/
3月8日(水)、9日(木)の公演では終了後アフタートークショーが開催される。
◇3月8日(水)18:30公演終演後 出演者:戸井勝海・長澤風海・和田泰右 森新吾(司会)
◇3月9日(木)18:30公演終演後 出演者:矢田悠祐・水夏希 小林遼介(司会)
また、3月6日(月)、7日(火)にはキャストと一緒に東京湾をクルーズできるというスペシャルプランが用意されている。優雅な客船でキャストによるトークショーが楽しめる。
■航行内容:乗船時間45分、ワンドリンク付き
■販売期間:定員になり次第終了
■チケット代:S席当日引換券(クルーズ乗船券付き)9,500円(税込)
■チケット予約受付:http://ggot.jp/hpot/cruise_algernon.php
■クルーズ乗船キャスト
・3月6日(月)15:00~:水夏希・戸井勝海・蒼乃夕妃
・3月7日(火)15:00~:矢田悠祐・長澤風海・和田泰右
※キャストは当日変更になる可能性があり。