ホ・ジノ監督 チャン・ドンゴン
映画『満ち足りた家族』のジャパンプレミアがTOHO シネマズ六本木で行われ、主演のチャン・ドンゴンとメガホンを取ったホ・ジノ監督が舞台挨拶に登壇して作品について語った。
本作は、『八月のクリスマス』(98)、『危険な関係』(12)などのホ・ジノ監督作品。2023年のトロント国際映画祭でのワールドプレミアへの参加を皮切りに、約1年間で20以上の映画祭に参加した。韓国では昨年秋に公開された。1つの事件をきっかけに、ある兄弟とその家族が崩壊していく様が描かれる。チャン・ドンゴンは、ソル・ギョングが演じる兄・ジェワンと正反対の信念を持つ弟のジェギュ役を演じている。
5年ぶりにスクリーンに帰ってきたチャン・ドンゴンは「こんばんは。チャン・ドンゴンです」と日本語で挨拶し、黄色い声援と大きな拍手を浴びた。「久しぶりに作品を持って日本のファンに直接会えることをうれしく思います」と柔らかな微笑みを浮かべた。
「いろんな映画祭に招かれました。文化の違いがあるにもかかわらず、たくさんの良い評価をもらいました。日本で公開されてからの皆さんの感想や反応が楽しみでドキドキ、ワクワクしています」と挨拶。
チャン・ドンゴンとホ・ジノ監督のコラボは『危険な関係』以来12年ぶりとなる。チャン・ドンゴンはホ・ジノ監督について「『八月のクリスマス』を観て、是非ご一緒したいと思っていました」と話す。さらに、「監督とご一緒できた『危険な関係』はオール中国ロケでした。いままで出会ったことのない新しい演出スタイルを持っている監督です。とても興味深い現場でした」と振り返った。
また、チャン・ドンゴンは『危険な関係』の撮影前に、東京ドームで開催された『韓流四天王』というイベントに出席している。「その時にディレクトしてくれたのがホ・ジノ監督なんです(笑)。だから、それを含めると3度目の共作になります」と報告。また、「ホ・ジノ監督は、俳優をリラックスさせてくれる監督です。粘り強く取り組む監督ですが、僕たち俳優をよく理解してくれています」とホ・ジノ監督の印象を話した。
今作について「(脚本を読んで)とても興味深かった。非常に現実味のあるキャラクターでした。ホ・ジノ監督がメガホンを取ることで良い作品になるな、と思いました」と話す。ホ・ジノ監督は「現場はとても楽しかったです。二人でイロイロ話し合ってキャラクターを作り上げていきました」と話した。
今作には原作の小説があり、何度も取り上げられている。映画化しょうと思った理由を聞かれたホ・ジノ監督は「今回が4回目の映画化。シナリオを読み返すうちに社会問題を掘り下げて考えることが出来ました。本作では韓国の現在の社会問題を表現しています。挑戦してみようと思い引き受けた」と話す。また、兄弟の設定を医師と弁護士にしたのは「韓国のみなさんに、より身近に感じられる(物語になる)と思ったから―」と説明した。劇中、家族間の親密な描写を細やかに、人間の奥底に潜むよどみや揺れも描き出している。
チャン・ドンゴンは「韓国では、すでに公開されています。ある劇場の壁に『映画のなかで答えを抱いている映画は、観終わったらそこで終わるけれど、質問を投げかける映画は、観た後から始まる』と書いてありました。この作品は観終わった後に、みなさんにいろいろなことを考えさせる作品です。意味のあることを考える時間になると思います」と深いメッセージを送ってイベントは終了した。
映画『満ち足りた家族』2025年1月17日公開
公式HP https://michitaritakazoku.jp/