
100年先も伝えたい、珠玉のアニメーション映画『この世界の片隅に』が、終戦80年・すずさん100歳の節目にリバイバル上映され、8月2日(土) に は東京のテアトル新宿で公開初日舞台挨拶が実施。主人公・すずの声を演じたのん、そして片渕須直監督が登壇した。
本作は戦時中の広島・呉を舞台に、大切なものを失いながらも前を向いて生きていく女性・すずの日々を描いた物語。広島県出身のマンガ家・こうの史代の同名漫画を、片渕監督が徹底的な考証のもと約7年の歳月をかけて2016年にアニメーション映画化した。2016年の公開当初は63館でのスタートながら、累計動員数は210万人、興行収入27億円を突破。累計484館で上映される社会現象となった。
9年ぶりに全国の映画館でリバイバル上映がスタート。2016年公開時も同所で公開初日舞台挨拶を行ったのんは「本日はお越しいただき、ありがとうございました。リバイバル上映ということで『この世界の片隅に』が再び劇場で観られる機会に恵まれたことをとても嬉しく思います」と挨拶。2度目の公開舞台挨拶を迎えた心境を問われ「凄く嬉しいですし、『この世界の片隅に』は凄く特別な作品で、私が役者をやっていく人生の中で欠かせない作品になっています。こうしてずっとずっと沢山の方に観続けていただける作品であることが、心から嬉しいです」と思い入れを口にした。
2016年の公開の際にはロングランを記録したこともあり、100回以上舞台挨拶を行ったという片渕監督。「すずさんを演じてくれたのんちゃんが隣にいる久々の舞台挨拶なので、もう一度新鮮な気持ちが戻ってきたようでもあり、あの日の延長を生きているような気もします」としみじみ語った。
戦後80年は、すずさんにとっても100歳の年にあたる。片渕監督は「すずさんは戦争が終わる年に20歳でした。そんな年齢だった方が100歳を迎えるということは、戦争中に大人だった人の話を聞けるのもだいぶ少なくなっているということ。戦後80年、あの日々が遠くへ去ってしまいそうだけれど、私としてはそういうことにならないよう、なんとか繋ぎ止めようと思って作った映画であり、戦時下の現実を描きたいと思って作った作品です。現代と地続きな感じを見つけて欲しいです」と語り、「そこで生きているすずさんの声をのんちゃんが演じてくれたことで、本当にそこにいる人、いつまでも皆が覚えていてくれる人としてすずさんが存在できている。それはとても意義のあることだと思います」と声優を務めたのんに感謝した。

リバイバル上映から初めて本作に触れる若い世代に向けて、のんは「戦時下の出来事を直接体験した方にお話しを聞く機会が少なくなっている中で、本作を観てすずさんに思いを巡らせていくと、今自分が生きているこの場所でそんな生活があったんだと想像することが出来る。想像してみると、自分の生活の中にある幸せを感じることが出来て、それを尊く思えるような、そんな作品になっていたら嬉しいです」と呼びかけた。
そして最後に、のんは「この作品を観た後は感想を伝え合って、観た後も作品に思いを馳せてもらえたら嬉しいです。色々な方と共有していただきたいので末永く宜しくお願いいたします」と期待を込めた。片渕監督も「すずさんはずっとあの日々から生きているのだと、今日のんちゃんがすずさんの声を出してくださったことで納得できた気がします。すずさんは今も生きていてどこかで元気にしているはずです。ちょっとジーンときてしまってこれ以上言う事はないです」と9年ぶりの“ただいま”に感極まっていた。
テアトル新宿・⼋丁座ほか全国にて 8⽉15⽇(金) まで期間限定上映中!

