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【前編】映画『静かな雨』、中川龍太郎監督&主演・仲野太賀インタビュー!「太賀には自分の分身のような役をやってもらいたかった」

2020/2/7 07:00

取材:記事・写真/RanRanEntertainment

202027日(金)公開を前に、中川龍太郎監督と主演・仲野太賀に本作への思いや制作時のエピソードを聞いた。

2012年の初監督作品『Calling』 以降、2017年には『四月の永い夢』がモスクワ国際映画祭で国際映画批評家連盟賞とロシア映画批評家連盟特別表彰をW受賞。2019年、『わたしは光をにぎっている』はモスクワ国際映画祭に特別招待されるなど活躍を続けている中川龍太郎監督。『静かな雨』で初めて原作の存在する作品に挑んだ。原作は、映画化もされた『羊と鋼の森』の著者・宮下奈都のデビュー作『静かな雨』(文春文庫刊)
本作でW主演を務めたのは、『走れ、絶望に追いつかれない速さで』(2016年)に続いて中川監督作品二度目の出演となる仲野太賀と、“乃木坂46”を卒業し、映画初主演となる衛藤美彩。2019年釜山国際映画祭正式出品に続き、東京フィルメックスコンペティション部門に出品され、最も観客から支持を集め“観客賞”を受賞した注目の作品である。


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――中川監督にとって原作のある作品の監督は今回初めてですね?

中川:原作というものがあるからこそ、これまでのオリジナルの作品では挑戦できなかったこと、表現方法であったり、演出方法の挑戦をすることできました。原作があることで却って大胆に作ることができました。

 ――この題材(宮下奈都原作『静かな雨』)を選ばれた理由は?

中川:まず非常に現代的なおとぎ話だと思ったんです。主人公が足を引きずっている、これは現代を生きている若い世代の人間を象徴できると感じました。これから経済発展することもなかなか難しいでしょうし、明るい未来をこの国の中で描くのは難しい、だけれども一歩ずつ目の前の生活を大事にしていくという部分がこれからの時代に描かれる寓話、おとぎ話として非常にぴったりくるのではないかと思いこの原作に決めました。

 ――映画では原作と違う部分がありましたね。

中川:はい。例えば、こよみさん(衛藤美彩)が記憶を失うとき、それが具体的にどういう事故でそうなったのか、ということは重要ではないと考え、そこは描きませんでした。僕たちにこれから降りかかってくるかもしれないあらゆる不幸、例えば事故、犯罪、あるいは天災など、そういうものの象徴ということに留めておくことで、あくまで寓話として描くことを選択しています。

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――仲野さんは中川監督作品2作目ですが、お話が来た時にはいかがでしたか?

仲野:以前4年ぐらい前に中川監督とやった時にやれたことと、今、いくつかの作品を経て其々の道を歩んでまたやるということで、新しいことができるのではないか、少しでも力になれればと思って参加させていただきました。

 ――やってみていかがでしたか?

仲野:それまでの中川監督は自分自身で、Tokyo New Cinemaもそうですけど、仲間内で手作りでやっていて、いわゆるわかりやすい「ぴあフィルムフェスティバル」とか、助監督を経てではなく、独自の築き方で存在感を増していったと思うのです。自分自身で脚本を書いて、撮って、中川監督が背負っているものがすごく多かったと思います。自分の実体験を投影したりですとか。でも今回原作があるということで、中川監督の荷が降りたというか、

中川:なるほど。

仲野:表現というものに意識がもっと向きやすくなったのかなというのは久々に一緒にやって感じました。

中川:確かに、今回はこれまで以上に映像や音楽などの表現そのものに集中することができました。

仲野:今までは仲間内で補いながらやっていたのが、シンプルに監督としてやれていると感じました。

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――今回は今までのスタッフとは違ったのですね?

中川:スタッフも大幅に変わって今までやってこなかった方と一緒にやれました。僕よりも経験のある、10歳、20歳年上のスタッフの方が多かったので、自分は監督に専念できました。そのことで気づけたことや、広がった幅というのは確かにあるかもしれません。

 ――太賀さんにオファーしたのは?

中川:明確に二つあって、一つは明確で僕が不安だったから()。原作ものが初めてだし、まわりのスタッフも自分より経験豊富な方々になって、今までとは違うやり方でやらなければならないと感じていました。だからせめて主演の俳優さんは自分が一番良く知っていて、個人的にも親しい人にやってもらいたいなというのが最初に思ったことです。

同時にもう一つ理由がありました。『走れ、絶望に追いつかれない速さで』では、完全に親友に自殺された後の自分自身を投影したキャラクターを太賀にやってもらいました。今回の行助は、僕自身との距離はありますが、僕たちの世代を象徴する人間だとは思っています。だからこそ、太賀にやってもらいたかったのです。少し距離ができたとはいえ、自分の理想のようなものを託したキャラクターではあるので。

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――個人的も親しくされているとおっしゃっていましたが、それは前作からですか?

中川:そうですね。僕にとって役者さんの友人は太賀が初めてなんです。僕が住んでいた汚いアパートに一緒に泊まって『走れ、絶望に追いつかれない速さで』を太賀と同じく友人で共演してくれた小林竜樹と酒を飲みながら見て、感想を云い合ったり、編集こうした方がいいんじゃないのとか、朝まで語り明かしたものです。

 ――親しいがゆえに、今回の映画でぶつかったことなどはありましたか?

中川:ぶつかるというのとは違うのかもしれませんが、普通の俳優と監督の関係だったら言わないだろうなということをお互い言い合っていたところはあるかもしれません。この映画が、そういう形ででしかできない作品になっているといいなと思っています。当時、太賀と僕が暮らしている場所が近かったので夜の公園でお酒を飲みながら語ったりとか、こういう脚本だとここが足りないのではないかと議論したりとか、それは僕にとって、作品だけでなく人生にとって豊かな時間になったと思います。

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――仲野さんは今回の作品作りでのことで何か覚えていらっしゃいますか?

仲野:中川監督がおっしゃったこともそうですけど、僕は思ったことは基本的には他の現場でも言うようにはしていますが、それを親身になって聞いてくださったり、自分のアイディアや、感じることにすごく聞く耳を持ってくれたことに感謝しています。

主演と監督という立場の中でこの映画がどこに向かっていくべきなのか、映画のディティールではなく、映画の全体像的なところで、自由に意見を交わすことができました。「今あいてる?」という感じで、プライベートで会って、そこで議論して、ということができたのが自分としてすごく新鮮でしたし、それを経て良くなった部分もあると思うので、それはやって良かったと思います。

 ――具体的なエピソードはありますか?

仲野:衣装合わせが終わった後に、普通は役者はすぐに帰るのですが、そこにはスタッフが10人ぐらいいて、クランクインが近づいていく中でどうやったらこの作品がもう一歩前進できるかという議論を、全員でやれたんです。立場関係なくその場にいる中川組の一員として意見を言い合うことができすごくよかったです。各々が責任を持ってそれを言うことで、今の現場で何をやるべきなのかが明確になりました。これは主演のものでも、監督のものでもなく、みんなのものになるという、一つの組として有意義でした。それは今まで経験したことがなかったので、すごく楽しかったです。

中川:スタッフとも距離が近い感じがしたものね。いい人たちでした。ポジション関係なく。

仲野:年齢も関係なく、自分の言葉で作品について議論してくれる。そうやって意見を持ち寄ることができるのは映画作りとしてはすごく美しい形なんじゃないかなと思いました。

後半に続く~

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『静かな雨』
2020年2月7日より公開


【ストーリー】
たとえ記憶が消えてしまっても、ふたりの世界は少しずつ重なりゆく。
大学の研究室で働く、足を引き摺る行助は、“たいやき屋”を営むこよみと出会う。
だがほどなく、こよみは事故に遭い、新しい記憶を短時間しか留めておけなくなってしまう。こよみが明日に
なったら忘れてしまう今日という一日、また一日を、彼女と共に生きようと決意する行助。
絶望と背中合わせの希望に彩られたふたりの日々が始まった・・・。


出演:仲野太賀 須藤美彩
   三浦 透子 坂東 龍汰 古舘 寛治 川瀬 陽太
   河瀨 直美 萩原 聖人 村上 淳 でんでん
監督:中川龍太郎
原作:宮下奈都『静かな雨』(文春文庫刊)
脚本:梅原英司 中川龍太郎
音楽:高木正勝


公式サイト https://kiguu-shizukana-ame.com/

製作:WIT STUDIO 制作:WIT STUDIO、Tokyo New Cinema
企画協力:文藝春秋
配給:キグー


 

 

 

 

 

 

 

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