後列左から：吉原光夫、橋本さとし、田代万里生、加藤和樹、浦井健治、石川禅
前列左から：クリストファー・アシュリー、安蘭けい、咲妃みゆ、シルビア・グラブ、濱田めぐみ、森公美子、柚希礼音
ブロードウェイミュージカル『カム フロム アウェイ』の囲み取材・公開ゲネプロが3月6日(水)に行われ、安蘭けい、石川禅、浦井健治、加藤和樹、咲妃みゆ、シルビア・グラブ、田代万里生、橋本さとし、濱田めぐみ、森公美子、柚希礼音、吉原光夫、オリジナル演出家のクリストファー・アシュリーが登壇。初日に向けた思いを語った。
本作は、2001年9月11日の同時多発テロの裏で、カナダにある小さな町・ニューファンドランドで起きた実話を基にした奇跡の物語。次々と演じる役柄が入れ替わり、行き場のない飛行機の乗員たちと、飛行機が降り立ったカナダのニューファンドランド島の住民たちをたった12人のキャストのみで演じ切る。
囲み取材で、安蘭は「足掛け約６ヶ月準備してきました。今、振り返ってもあっという間で明日が初日とは信じられないですが、密度の高いお稽古をしてきたので、すばらしい初日になるなと思っています。日本キャストにしかできない味が皆さまにお届けできたらと思っています」とコメント。
浦井は「昨日、安蘭さんが『始まるということは終わってしまうんだよね、寂しい』とおっしゃっていましたが、それくらいずっとみんなで一緒にお稽古をしていました。この作品から人と人は暖かいのだなと感じさせていただいたので、大切に演じたいと思っています」と初日に向けた思いを語った。
また、加藤は「ミュージカル界の“アベンジャーズ”と共演するということでドキドキしていましたが、稽古を重ねていく中で、みんなが同じ時間を共有し、失敗を笑いに変えながら前に進んでいく感覚がファミリーのような感覚があります。不安もありますが、長い稽古期間で培ってきたものを舞台上で出したいと思います」と意気込み、濱田は「お稽古場にいる時からこのメンバーが１メートル以上離れずに、１日8時間ずっと一緒にいたので、本当にファミリーで親族の寄り集まりのような感覚です。そのままステージに上がって、みんなでお芝居しますので、我々がお稽古場で積み上げたチームワークが垣間見れると思います。観客の皆さまがそのチームワークの中の一員になってくださるんだと思うと楽しみで仕方ないです」と期待を覗かせた。
そして、柚希は「私はこれまでたくさん演じてきましたが、このミュージカルでは“演じない”ことがテーマで、それを何度も稽古中に言われ、めちゃめちゃ難しかったです。ですが、キャストの皆さまが自分のことのように教えてくれるんです。作品も暖かいのですが、キャストのみんなも暖かくて、心がポカポカしながら、まず明日、お客さまに暖かい物語を届けたいと思っています」と笑顔で語った。
取材会の最後には、ニューファンドランド島ガンダーの町長・クロードを演じる橋本が「この物語を通して、今、悩んでいる方、壁にぶつかっている方、前に進もうと思っても不安になっている方々にエールを送りたいと思います」と力強く言い放つと、ジャケットを脱ぎ捨てて、三三七拍子。最後には、拳を掲げて「Welcom to the Rock！」と全キャストともに掛け声をあげて締めくくった。
実力派揃いのカンパニーとあって、芝居も歌も安定感が凄まじい。細部まで決められているという緻密な演出とスピーディーな展開で物語はグングン進んでいくが、それが慌ただしくなく感じられるのは、やはりキャストたちの高い演技力と歌唱力あってこそだと感じた。舞台セットは、机と椅子程度で至ってシンプルだし、衣装もジャケットを脱ぐ、着る、メガネをかける、帽子をかぶる程度の変化しかないが、それぞれがどんなキャラクターを演じているのかも、しっかりと伝わってきた。
物語は、9.11によってアメリカの領空が急遽閉鎖されたことから、目的地を失った飛行機と乗客・乗員たちが、カナダのニューファンドランド島のガンダー国際空港に降り立ったことから始まる。戸惑いながらも、乗客・乗員たちを受け入れ、見返りも求めず、できることを行う街の人々。人々の優しさが心に染み入り、暖かな気持ちになれる作品に仕上がっていた。
ブロードウェイミュージカル『カム フロム アウェイ』
東京公演：2024年3月7日(木)〜3月29日(金) 日生劇場
大阪公演：2024年4月4日(木)〜4月14日(日) SkyシアターMBS
愛知公演：2024年4月19日(金)〜4月21日(日) 愛知県芸術劇場 大ホール
福岡公演：2024年4月26日(金)〜4月28日(日) 久留米シティプラザ ザ・グランドホール
熊本公演：2024年5月3日(金祝)〜5月4日(土) 熊本城ホール メインホール
群馬公演：2024年5月11日(土)〜5月12日(日) 高崎芸術劇場 大劇場
■脚本・音楽・歌詞 アイリーン・サンコフ／デイヴィッド・ヘイン
■演出 クリストファー・アシュリー
■ミュージカルステージング ケリー・ディヴァイン
■出演
安蘭けい、石川禅、浦井健治、加藤和樹、咲妃みゆ、シルビア・グラブ、田代万里生、橋本さとし、濱田めぐみ、森公美子、柚希礼音、吉原光夫 ほか（五十音順）
