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2023年8月27日 10:50

【前編】神津恭介シリーズより『呪縛の家』濱田龍臣インタビュー 「たくさんのことを学び、発見しながら挑んでいきたい」

世界の名作ミステリーを丁寧に舞台化するプロジェクト「ノサカラボ」が、高木彬光の推理小説・神津恭介シリーズの初の舞台化に挑む。原作は、明智小五郎、金田一耕助と並ぶ「日本三大名探偵」の一人と言われる「神津恭介」を主人公に描かれたシリーズの初期の作品となる『呪縛の家』。天才探偵の神津恭介が、新興宗教一族を襲う連続殺人事件に立ち向かう物語だ。主演を務めるのは、林一敬(ジャニーズJr.)。神津とともに事件に挑む松下研三役を濱田龍臣が演じる。8月26日(土)の初日に向けて稽古に励む濱田に公演への意気込みや見どころを聞いた。

――(取材当時)稽古も終盤だと思いますが、手応えはいかがですか?

演じる役のキャラクター性やそれぞれの関係性は、だいぶ明瞭になってきていると思うので、あとはそれぞれの役者さんたちが、どこまで深め合えるのかに差し掛かっているのかなと思います。かなり面白い形をしている舞台装置で複雑な動きをするので、今はまだ自分がどう動けばいいのかを考えながらやっていますが、それが体に馴染んできたらいいなと。大詰めですので、本番まで全力で取り組みたいと思います。僕は、サンシャイン劇場に立つのは今回が初めてなので、それも楽しみにしながら、今、頑張っています。

――面白い形という舞台装置ですが、実際に拝見すると、かなり手が込んでいるものですね。

そうなんですよ。盆が回転するので、どこから乗って降りればいいのか、どこに立つのかと考えることが多くて…。今、試行錯誤しながら、みんなで確認しながらやっています。

――野坂実さんの演出を受けて、どんなことを感じていますか?

すごく人を信頼してくださる方だなと思います。今回、手島(麗央)くんが初舞台で、右も左も分からないような状況だったのと、林くんが主演2作目ということで迷っていることも多いようだったので、僕と岡田(達也)さんが色々と教えたりもしていたのですが、それを見た野坂さんが「ここ、どうしたらいいと思う?」と聞いてくださるようになったんですよ。すごく信頼してくださっているんだなと思うと同時に、それがプレッシャーでもあって(苦笑)。ある種の挑戦状を叩きつけられているような、看板を背負わせてもらっているような感覚があって、楽しいですし、学ぶことも多いなと感じています。人に教えるというのは、一番勉強になると思うんですよ。言語化して分かりやすく噛み砕いて伝えることで、僕自身も自分の足りていない部分を発見できるんです。なので、自分自身のためにもなっていることですし、野坂さんとディスカッションを重ねることで、セリフ1つのニュアンスまで深く探らせていただいているので、すごく楽しくお稽古ができています。連続殺人事件を描いた作品ですが、稽古場は笑顔が絶えない明るい現場で、楽しくお芝居を作れています。

――和気あいあいとした稽古場なんですね。

そうですね。岡田さんがムードメーカーで、そこに僕が乗っかって、くだらないことで笑ったり…いい空気だと思います。それから、女性陣も素敵な方ばかりで、みんなで楽しくやろうという遊び心が垣間見えて楽しいです。

――濱田さんが最初に脚本、もしくは原作を読まれたときは、どんな感想を抱きましたか?

僕は基本的に、舞台化や映像化をする時に、元となった原作は一切見ないタイプなんですよ。見たところで自分は自分ですし、原作を見たとしてもそれを自分ができるとも思えない。現場の雰囲気や役者同士の関係性の中でキャラクターを作っていきたいと考えているので、今回も原作は一切、読んでいません。なので、脚本を読んだ感想になりますが、松下という役でオファーをいただいた上で読ませていただいたので、まず最初に「めちゃくちゃ喋ってるな、松下は」と(笑)。それから、すごいトリックが出てくるので、これを舞台というリアルタイムの芸術表現で、 どうやって具体化していくんだろうかということがすごく楽しみになりましたし、面白そうだなと思いました。今回、演じる松下は、ストーリーテラーでモノローグが多い役なのですが、モノローグって色々あって難しんですよ。現在進行形で、その時に思っていることを話すというモノローグもあれば、未来から過去を回想しているモノローグもあるので、ストーリーテラーを演じられるというのも嬉しいなと思いました。今回は、その場の状況を説明するモノローグが多いんですが、探偵として事件を解決する側の役を演じたこともなかったので、それも楽しみでした。

――今回、濱田さんが演じる松下研三については、どう感じていますか?

作品の中で描かれている時代背景がそうだからということもあると思いますが、松下は“昭和の男”像を表しているところがあると思います。意志が前へ前へと出ているキャラクターです。神津のようにすごく頭が良いわけではないですが、人当たりが良いので、頭が良いからこそコミニティから外れてしまいがちな神津や卜部鴻一と、普通の人たちを繋ぐことができる架け橋的な存在だと思うんですよね。包容力があって、誰にでも好かれる人。そうした絶妙なキャラクターだと思います。

――なるほど。では、濱田さんから見た、林さんが演じる神津はどんな人物ですか?

神津恭介は、本当に頭が良い人なんだろうなと思います。会話をしながらも、相手の返答をいくつも予想して、さらにそれについて自分がどう返答したら、相手はどう答えるのだろうかと、何手も先を読んでいて、図形図のようにパターン化を瞬時に、そして会話と同時にできる人なんだろうなと感じました。先見の明がある人で、こういう人のことを頭がいいと言うんだなと思う人間です。日本三大名探偵、最後の一人という大きな看板を持っている神津を演じるのは、すごく大変だと思いますが、少しでも支えられたらとは思います。

――神津と普段の林さんが被って見えるところはありますか?

今のとこあまりないかな(笑)。林くんは「一生懸命」や「食らいつく」という言葉が似合う人だなと思うので、「余裕綽々」「泰然自若」な神津とは全く違うキャラクターだと思います。今回は、セリフ量も多いですし、説明も多いですし、舞台装置などのきっかけになるセリフを林くんが担うことも多いので、本当に大変だと思います。先日、(林から)携帯に連絡をもらったんですよ。役作りについて悩んでいたようで、「どうしたらいいと思いますか?」と質問をもらったので、「おお」と思いながら、僕もできる限りのアドバイスや自分の考えを伝えました。その連絡をもらって、本当にすごく頑張っているんだなと感じて、感動してしまって。必死になって、食らい付いている姿勢が素敵な方だと思います。

<公演概要>
神津恭介シリーズより『呪縛の家』

演出・構成:野坂 実 
脚本:須貝 英
音楽:村井邦彦、上野耕路 
原作:高木彬光『呪縛の家』(光文社文庫)
出演:林 一敬(ジャニーズJr.)/濱田龍臣 手島麗央(ジャニーズJr.)/
   入山杏奈 神志那結衣 太田奈緒 賀集利樹 福室莉音
   岡田達也/内海光司/片岡鶴太郎(特別出演)
   太田秀介 東井隆希
【東京】2023年8月26日(土)〜9月3日(日)
場所:サンシャイン劇場(東京都豊島区東池袋3-1-4 サンシャインシティ 文化会館4
【福岡】2023年9月16日(土)~17日(日) 
場所:キャナルシティ劇場(福岡県福岡市博多区住吉1-2-1キャナルシティ博多ノースビル4F)
【大阪】2023年9月21日(木)〜24日(日) 
場所:サンケイホールブリーゼ(大阪府大阪市北区梅田2丁目4-9 ブリーゼタワー7F)
チケット料金(全席指定・税込):S席 前売 9,500円/当日 10,000円
                A席 前売 8,500円/当日 9,000円
公式サイト:  https://nosakalabo.jp/kamizu-01/
<主催・問合せ> 株式会社ノサカラボ
TEL:050-3159-9601 MAIL: info@nosakalabo.jp   WEB: https://nosakalabo.jp

 

 

 

 

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