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2023年9月23日 15:15

大山真志&上口耕平&原田優一インタビュー 祭シリーズvol.13 シンる・ひま オリジナ・る ミュージカ・る『ながされ・る君へ~足利尊氏太変記~』

世界に誇れる「日本人」そして「日本の歴史」を面白可笑しくシュールに上演してきた「祭シリーズ」が、今年も上演される。シンる・ひま オリジナ・る ミュージカ・る『ながされ・る君へ~足利尊氏太変記~』と題された今年の公演で描くのは、「太平記」をモチーフとした足利尊氏と直義兄弟の正義の争いだ。今回は、出演者の中から、数々のミュージカル作品で活躍をしてきた大山真志、上口耕平、本作で演出も務める原田優一にインタビューを敢行。公演への意気込みなどを聞いた。

――まずは、大山さんと上口さんからご出演が決まったお気持ちをお聞かせください。大山さんは、このシリーズには、もう何度もご出演されていますよね。

大山 そうですね、また大変な年末がやってくるなと(笑)。ですが、お客さんがこれほど喜んでくださる舞台もなかなかないですし、お客さんが大声で笑ってる姿を見ると、今年も頑張ってよかったなと思えるので、また出演できることがとても嬉しいです。

――上口さんは、9年ぶり2回目と聞いています。

上口 そうなんですよ。前回出演したのは20代ラストの年で、今は30代ラストに近いので、そういう節目なのだなと思いました。それから、とにかく、原田優一さんの演出を受けるということが楽しみです。

――今、お話にもありましたが、原田さんは2021年の公演に続いて、演出も担当されます。祭シリーズでの演出は3回目になりますね。

原田 このシリーズは、歴史を勉強しながらエンタメを楽しむ公演です。僕自身、今まで祭シリーズで扱ってきた歴史について知らない時代も多かったですし、今回の鎌倉時代、足利尊氏の物語についても詳しく知りませんでした。広く知られていない、これまであまりドラマや舞台に取り上げられない時代でもあります。こうして作品を作っていくと、この作品の中で起こったことが本当の歴史なんじゃないかなと錯覚してしまうところはありますが(笑)、それくらい思いを込めて取り組んでいけたらと思います。

今回も演出と出演と両方やらせていただけるということですが、実は先に決まっていたのは演出だったんですよ(笑)。打ち合わせの時に、「今回は出演はいいよね」と出なくていいことを確認したのですが、「あれ、出演してくれるのですか」と乗せられたような感じで決まり…(笑)。そんな感じで、今回も出ちゃいます。

――足利尊氏にまつわるストーリーということですが、お話いただける範囲で、どのような物語になるのか、教えていただけますか?

原田 タイトルにある通り「ながされ・る君へ」というのがテーマになっています。尊氏は、それほど広く知られている人物ではないので、今回は、とても心優しく争うことが苦手で、でも何かが起こると「鬼に金棒」のような無双状態になるという新たなキャラクター像を作らせていただきました。そんな尊氏の兄弟との関係を描きながら、周りの人たちからどんな刺激を受け、どう成長していくのか。そして、どんな結末を迎えるのか。足利尊氏を取り巻く物語になっています。

――それぞれの役柄についてはいかがですか?

原田 リリースに書いてあることくらいしかまだ分かっていないのですが(笑)、(大山とは)兄弟の役なんですよ。

大山 僕がお兄ちゃんです。泥臭い戦い方をするタイプ兄弟です。

上口 別に二人とも裕福な役じゃないんでしょ?

原田 そう、裕福なわけじゃないんだけど、美味しいものを食べてるんでしょうね(笑)。

全員 あはは(笑)。

大山 そこが1番のポイントだと思う(笑)。

原田 でも、美味しい話に飛びつく商人でもあるので、筋は通っているんです(笑)。自分が得する方、この道の方が良いと思う方に流れていく。流されるというよりは、流れていく二人です。前回は、我々は朝廷の役だったんですが、今回は一般人なので、そこの違いも楽しんでいただければと思います。

――上口さんの演じる高師直は、足利将軍家の執事ということですが。

上口 先ほど、原田さんから聞いたんですが、師直は野蛮人だったという歴史の記録もあるようで、イメージとしては荒くれ者です。ただ、今回は、切れ者で行動力があり、人がやらないようなことをやる人物として描かれているそうなので、役を知るのが楽しみになりました。

原田 (師直は)「俺が主役だ〜!」って感じです。

上口 だとしたら、僕には新境地だよ(笑)。新たな僕を見られると思います(笑)。

――ところで、皆さんは数々のミュージカルにご出演されていらっしゃいますが、この祭シリーズならではという特徴はありますか?

原田 特徴しかない(笑)。

大山 独特がすぎる(笑)。

原田 それにみんなハマるんでしょうね。

大山 2年前のミュージカルでは、「イナゴの歌」とか歌ってましたから(笑)。

上口 9年前の時は、急にポップスを歌うっていうシーンはあったんですが、ミュージカルではなかったので、今回、すごく楽しみです。

大山 しかも今回は、ROLLYさんがいらっしゃる。ギターを弾いてくださるってことですか?

原田 弾きますっておっしゃってくださってます。

大山 心強いですよね。

原田 2年前のシンるのミュージカルを観たお客さまから「意外にもミュージカルしててびっくりした」と言っていただいたので、今回もミュージカルとしてしっかり作りたいなとは思ってます。ですが、このシリーズとしての独特な雰囲気や、醸し出すものがありますし、お客さんもそれを楽しみにしてくださってる方が多いので、そういう意味では期待を裏切りたくないと思っています。そうした雰囲気というのは、キャストのみんなのお力にお任せするところでありますが、みんな素晴らしい役者ばかりなんですよ。瞬発力があるし、何かあった時にお客さんと会話ができるというのがすごい。なかなか普通のミュージカルだったら、お客さんとの空気によって臨機応変に変えていくというのはしないけれども、ここならばそれができる。しかも、それに慣れている人たちがいるというのが心強いですね。

――このシリーズでは、お笑いやコメディ的な要素も重要なポイントだと思いますが、皆さんがそうした笑いに特化した作品に臨まれるときに意識していることはありますか?

原田 例えば今年の頭に、笑いしかない作品にこの3人で出演したんですが(編集部注:『CLUB SEVEN 20th Anniversary』)。

上口 笑うしかない作品ね(笑)。

原田 その時はどんな感じでした?

大山 今、優ちゃんが言ってくれましたが、それこそお客さんの空気感をキャッチすることをすごく大事にしてましたね。「今日は、“お昼な感じ”だな」とか、「あたたまってるから、ここまでいって大丈夫だな」とか。なので、笑いを取ろうとするというよりは、そうした空気感をすごく大事にしていました。

原田 それによって、押してもダメな時もあるからね(笑)。

大山 ダメならすぐ引く勇気も必要(笑)。あと忘れる勇気(笑)。

原田 なかったことにする(笑)。「生まれ変わりました!」って気分でやる(笑)。

上口 でも、その日に起きたことをキャッチするのは大事だよね。それを後でまた持ってくるとか、その日にしか観ることができない空気をあえて作るということはやってました。あとは、自分が面白いと思うことをやるというのは心がけていました。

――原田さんは、今回、演出する上で意識しようと考えていることはありますか?

原田 今回も、異種格闘技戦と言いますか、色々なジャンルの方が集まってお芝居を作っていくので、ある意味、お祭り的でもあるんです。ですが、その人たちとしっかりお芝居を作っていくということは常に念頭に置いています。まずは、しっかりとしたエンタメを作り上げる。そこから崩していくのはいいのですが、最初に骨組みを作ることが大事ですので。崩していくのは、それぞれのセンスだと思うので、演出としては骨組みをしっかり作っていきたいと思います。歴史上の人物を扱うという意味でも、骨組みはとても重要かなと思ってます。きっと今回も、それぞれのお墓の中から、「俺、そんなんじゃねえよ」って声が聞こえてくるんじゃないかなと思いますが(笑)、だからこそそれぞれのキャラクターが筋を通しているところは描いていきたいと思います。敬意を持って作りたいと思います。

――では、大山さんが前回、原田さんの演出を受けた時の印象だったり、そのときに感じたことを教えていただけますか?

大山 優ちゃんは、プレイヤーらしい演出をしてくれるので、見たいものややってほしいことがすごく分かりやすいんです。なので、こんなにもやりやすい演出家さんがいるんだというのが第一印象でした。ホッとするんですよ。「こういうことね」って阿吽の呼吸でわかるので。求められているものがわかれば、安心して役作りや芝居づくりができると感じました。

――上口さんは、今回、初めて演出を受けることになりますが、原田さんの演出に対する期待や楽しみは?

上口 (原田は)自分ではとても真似できないような、思いつかないようなことをやるので、優ちゃんがチョイスするものは面白すぎるんですよ。その技術と発想力が組み合わさって、とてつもない面白さが生まれるんです。だから、その優ちゃんから演出を受けたら優ちゃんの発想が少しでも理解できるのかなと思うと、それも楽しみです。その発想と卓越したセンスにどこまでついていけるのかというのが課題でもあります。

――原田さんがお二人に期待されてることは?

原田 この2人に関しては、もう信頼しかないないです。先ほど言ったように、自分がどこのポジションに行ったらいいかをさっと見つけられる2人ですし、「そこじゃないよ」と伝えたら、次の席をすぐに見つけられる。こちらが「こうしたい」と言えば、細かいことを言わなくても理解してくれる。ゴールだけを示せば、どんな道順であろうと、そこにきちんとたどり着ける技術を持ったお二人だと思うので、周りも安心できます。言葉でうまく説明できないのですが、とにかく二人がいると、その場が持つんですよ。それは責任を背負っているということなのかもしれませんが、だからこそ信頼しています。

――それから、このシリーズといえば、レビューショーの2部も楽しみですが。

大山 2部が本編だと思っている松田岳がいるんですよ(笑)。

原田 命をかけてるよね(笑)。

大山 楽しみだな。それにしても、今回もよくもじってますね。

原田 今回は演目も多いんですよ。バラエティに富んだチームが見られるんじゃないかなと。盛りだくさんになると思います。

――出演アーティストたちのチョイスも絶妙ですよね。

原田 絶妙ですよね(笑)。ギリアウトです(笑)。

――上口さんは、前回ご出演された時は、2部はいかがでしたか?

上口 スターになった気持ちになりました(笑)。ローラースケートを生まれて初めて履いたんですよ。やればやるほど楽しくなっちゃって、僕も弾けちゃったんです(笑)。そうしたら、それを支持してくださる方が増えて、本当にスター気分でした。

――ペンライトを振って応援されるというのはあまりない機会ですもんね。

上口 そうなんです。面白かったです。好き放題させていただきました。

――大山さんはいかがですか。2部に臨むにあたっての想いなどは。

大山 前回の時も2部は凝っていたので、今回もだいぶ凝ったものになるんじゃないかなと思います。今回は、ミュージカル『ナラジン』という、かなり本気でいくミュージカルもありますから(笑)。

上口 「あ、法隆寺は?」は早く見たい(笑)。

大山 どんな曲が上がってくるのかが楽しみであり、不安でもありです。

上口 今回、司会が鯨井(康介)だもんね。

原田 だから、どれだけ散らかしてもきちんとまとめてくれるから。

大山 鯨井康介の前では、どれだけ散らかしてもいいと思っているので。全部拾ってくれるので。

原田 チリトリって呼んでますから(笑)。

上口 それを見るのも楽しみですね。

原田 クッタクタになっている鯨井を見るのも楽しいね(笑)。

――原田さんは、キャストとして2部に出演するときの心得みたいなものはあるんですか?

原田 命をかける人を見習ったらダメ。それをしてしまったら、必ず転けますから(笑)。自分自身で、這い上がり方が分からなくなって終わります。倒れたまま終わる。だから自分の居場所を確保すること。惑わされたら終わる(笑)。自分もやっちゃえってやった瞬間に終わると思ってます(笑)。

――すごくリアルな心得でした、ありがとうございます(笑)。ところで、今回は、久しぶりにリアルタイムでのカウントダウンが行われると聞いています。

上口 久しぶりに行われるというのは、感慨深いですし、楽しみですよね。

大山 やっと日常が戻ってきたんだなっていうのを感じます。きっとお客さんもずっとやりたかったでしょうし、一緒に過ごせるのは嬉しいですね。

原田 コロナ禍の間は、公共交通が止まってしまうというので、物理的にできなくなってしまったんですよ。それで前倒しになったりしていたんですが、今回、実際に一緒に年を越せるというのは舞台ならではの生感もあっていいなと思います

上口 元々、舞台は非日常空間ですが、さらに非日常感が出るんですよね。普段はやらない夜中に衣装を着て、メイクもしっかりして、お客さんの前に立つと、妙な気分になるんですよ。だから、色々なことが起こるんです(笑)。みんなが余計にスパークしだすと言いますか。

原田 本当にリアルカウントダウンだから、12時ぴったりがどこのタイミングで来るかわからないというドキドキ感もあります(笑)。もしかしたら、コントをしてる間に、じゃあ、そろそろとなるかもしれないですし、そうした楽しみもありますね。

――ちなみに皆さん、このカウントダウンが終わったら、どんなお正月を過ごす予定なんですか?

上口 休みますね。

大山 普通に休みます。

原田 実家に帰ります。タクシーで直帰です。

大山 マチネで4時間、ソワレで4時間やるんですよ、この舞台。

原田 年末ずっと働いて、 1月の1日の朝方帰るわけですから、そりゃ寝るよ(笑)。

大山 昔は、その後に飲みに行ったりして、昼まで飲んでいたこともあったんですけど、もう歳なので(笑)。

――では、ぜひお正月はゆっくりを過ごしていただいて(笑)。最後に改めて、公演への意気込みをお願いします。

上口 2023年の締めくくりの集大成として、暴れ切りたいと思います。よろしくお願いします。

大山 毎年この年末になるとトライアスロンのように、 毎朝早朝に起きて夜遅くに帰る日々が続くんですが、実はお客さんも一緒なんですよね。 全公演を観てくださるお客さんもいて、それを一緒に楽しんでくださっている。今年はカウントダウンもできるというので、僕たちも楽しみにしています。ぜひぜひ、劇場に足を運んでください。よろしくお願いいたします。

原田 年末の集大成として私も頑張りたいと思います。このシリーズって知っていたけれども今まで観ていなかった方にも楽しんでいただけると思いますので、ぜひ新たなお客さまもお越しください。

シンる・ひま オリジナ・る ミュージカ・る「ながされ・る君へ~足利尊氏太変記~」
2023年12月28日(木)~31日(日)明治座
脚本:池田テツヒロ
演出:原田優一
音楽:かみむら周平
出演:相葉裕樹/内藤大希/
   石川凌雅、松田岳、前川優希、井澤巧麻、広井雄士、井深克彦/
   丘山晴己/井澤勇貴、伊藤裕一、加藤啓/大山真志、辻本祐樹/原田優一/
   上口耕平/ROLLY/水夏希
公式HP:https://taihenki.com/

 

 

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