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2023年9月28日 12:47

【後編】観る人によって受け取るものが違う物語 杉田雷麟・小澤竜心に聞く『多重露光』への意気込み

左から)小澤竜心 杉田雷麟

――カンパニーの印象はいかがですか?

杉田:キャラクターの裏側というか、過去や背景など、台本に書かれていないところを話し合うことが多くて、丁寧に作り上げている印象です。改訂版の台本が来たら1回読んで、昨日も1時間以上みんなで話し合いました。

小澤:皆さん優しくて、ご自身の意見を持ちつつ人の意見をしっかり受け止められていて、全員で一つの作品に向き合っている実感がありますね。

――主演を務める稲垣吾郎さんの印象も教えてください。

小澤:僕は今回初共演で、お会いする前は寡黙な印象が強かったです。本読みの時はその印象のままでしたが、立ち稽古に入った時に子供のようにキラキラした笑顔でカメラを触っていて。「稲垣吾郎さんのカメラ講座」みたいなのが始まってみんなで集まって聞いたりしました。稽古を通して、とてもあたたかい人だなという印象にガラッと変わりましたね。

杉田:5年前に映画でご一緒した時はクールで物静かでかっこいいなという印象でした。でも、カメラの説明をするときは笑顔だし、話し合い中にみんなが煮詰まった時に「こういうことなんじゃない?」って助け舟を出してくれて、その意見によって話し合いが進んだりしています。僕も印象ががらりと変わりましたね。

――稽古場エピソードもお聞きしたいです。

小澤:思った以上に明るかったです。相島さんが過去にやったバイトの話を1人何役も演じてやってくれるのを、みんなでストレッチしながら見たり(笑)。僕が毎日手作りのおにぎりを持っていくんですが、竹井さんもおにぎりを持ってきていて、毎日「今日の具は何?」って話をしたり。

杉田:毎回聞かれてるよね(笑)。

小澤:「今日当たりだね」とかの話をしてます(笑)。

杉田:毎日楽しいですね。あまり壁がなくて、誰とでも会話できます。お芝居のことも話せるし雑談もできる環境が僕はすごく好きだしいいなと思います。

――写真やカメラにまつわる思い出はありますか?

杉田:あんまりいい思い出ではないんですが……。カメラ自体は好きなんですが、小学生の時に友だちのデジカメを壊してしまったことがあって。遠足の初日に落としてしまったんです。だから、作中でカメラを持つシーンは毎回ストラップに腕を通して絶対落とさないように気をつけています。

小澤:始めたいなとは思っていたんですが、カメラの種類が多くて難しかったんですよ。この間プライベートで一人旅をした時に初めて使い捨てのフィルムカメラを持って行って写真を撮ってみました。結果、全然きれいに撮れなかったっていう。全部真っ白になっていました(笑)。

杉田:(笑)。

小澤:フラッシュを焚くとかもわからなくて。だから、それこそ純九郎さんとかが色々計算しながら撮影しているすごさや深さを実感しました。

――純九郎は「生涯かけて撮りたいものを見つけなさい」と言われています。ご自身がカメラマンになるとしたらどんなものを撮ってみたいですか?

杉田:漠然としたイメージですが、自然にあるものをそのまま撮ってみたいなと思います。

小澤:僕も同じです。富士山に登って初日の出を撮るとか。この時にかける瞬間を撮りたいですね。

――それぞれ映像や歌舞伎のお仕事の経験が多いと思います。ストレートの舞台における楽しさはどんなところに感じますか?

杉田:僕は映像の仕事が多いんですが、映像はリハーサルをしないことも多いんです。台本についてみんなで深く考えて作り上げていくのは舞台でしか味わえないと思っています。もちろん映像には映像の良さがあるしみんなで作り上げていくけど、舞台は何日も同じシーンをやって気づくこともあって、それが楽しいですね。ただ、映像と違って何回もやるので、新鮮さを保つのが難しさでもありますね。

小澤:歌舞伎に出演したのは本当に小さな頃ですが、動きやセリフの言い方が形式的に決まっていることが多く貴重な経験でした。今回、自分なりに工夫したり演出の眞鍋さんと相談したりしながら、より良くしていく。同じ舞台だけど全然違う世界だと捉えて新しい気持ちで挑んでいます。

――最後に、皆さんへのメッセージをお願いします。

杉田:色々なキャラクターが出てくるので、観ている方も自分に重なるところが多いと思います。竜心くんも言っていたように、人それぞれ感じ方が違うと思うので、自由に色々なところを見て、楽しんでもらえたら嬉しいです。

小澤:共感できるシーンも多いと思うので、観た方同士で共有して2倍楽しんでほしいと思っています。僕としては、ぜひご家族で観に来てほしいなと。家族の愛も深まると思いますし、色々考えられる作品だと思います。劇場でお待ちしています。

『多重露光』
【日程】2023年10月6日(金)~10月22日(日)
【会場】日本青年館ホール
【脚本】横山拓也
【演出】眞鍋卓嗣
【出演】
稲垣吾郎/真飛聖 杉田雷麟・小澤竜心(ダブルキャスト) 竹井亮介 橋爪未萠里/
石橋けい 相島一之
【公式HP】https://tajuroko.com/

取材 文:吉田沙奈 撮影:有田純也

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