PARCO劇場開場50周年記念シリーズ『ひげよ、さらば』が、9月9日(土)にPARCO劇場で開幕した。初日公演に先駆けて行われた、公開ゲネプロ及び初日前会見には、中島裕翔、柄本時生、音月桂、忍成修吾、石田佳央、一ノ瀬ワタル、屋比久知奈、中村梅雀、蓬莱竜太(脚本・演出)が出席した。
(上記掲載写真は左から)一ノ瀬ワタル、屋比久知奈、忍成修吾、柄本時生、中島裕翔、音月桂、中村梅雀、石田佳央、蓬莱竜太 【撮影:加藤幸広】
ヨゴロウザ役の中島は「いよいよだなという期待感と緊張といったところです。僕が演じるヨゴロウザは記憶をなくしていて自分が何者かわからず、何になりたいのかもわからず模索していく中でそれぞれの野良猫に翻弄されていく役です。すごく楽しみですし、この役で 何か見つけられるものがあるんじゃないかと思います。演劇の面白さだったり色んなエンタメ性が詰まっている、未だかつて見たことのない舞台になると思っているので楽しみにしていてほしいです」と本作への自信を覗かせた。
片目役の柄本は「片目は、あまり本音を言わないというか、隠している過去があって、それをあまりみんなの前ではなるべく出さない、ただずっとそれを抱えていて、それでいて猫たちの社会っていうものに対してすごく何かの疑問というか、なんとなく人間に近い、孤独に対して強い想いがある役をやらせていただいていております。猫になるように頑張っていきます」と意気込んだ。
学者猫役の音月は「出演者のみなさんがお稽古中からたくさんチャレンジをしていて、アスリートのように高みを目指していく方々なので私も色々発見しながら挑戦できたらいいなと思います。私の演じる学者猫という役へは芯のある強い女性のイメージを持っています。私自身は自分の意見を曲げずに言い切る!ということが少々苦手なので、この猫を演じながら自分も成長できたらいいなって思います」とコメントした。
そして、蓬莱(脚本・演出)は、本作について「この児童文学は子供のころに読んでとてもワクワクした作品です。猫の姿を借りながら人間社会を描いていて、ワクワクだけでなく、ちょっと怖い。猫の世界でも、犬と猫も終わらない争いを続けている、そういう作品性が現代社会とも通ずるのかなというのもありましたし、猫を人間が演じるのはとても演劇的な面白さなので、この普遍のテーマと演劇の可能性を合わせると面白い」と話した。また、音楽について「稲本響さんには、月が象徴的にシーンを彩ってくれているので、少し遠いところから見ているような月からの目線であったり、超然とした遠さから音楽を作ってほしいとオーダーしました。ピアノを中心に展開するシンプルな音と、情感や冷たさも表現していただいた」と見事な出来映えに感謝。さらに「中島くんが演じるヨゴロウザは、記憶をなくした無地の状態から個性のある猫たちとの交流でいろいろな色に染まっていきます。そんな化学反応を起こしていく中島くんも見どころだと思いますし、最後に自分の色を見つける各々の猫たちの生き方というのがこの作品を面白くしてくれていると思う」と見どころを語った。
【撮影:加藤幸広】
ストーリー: 峠に住む野良猫たち、しかしその峠は野良犬たちに狙われていた。統率力を持って動く犬たちに、勝手気ままに暮らす猫たちが住む峠が支配されるのは時間の問題であった。そして、猫の「片目」(柄本時生)は一匹だけそんな状況に危機感を持っていた。ある時、峠に記憶を無くした猫が辿り着く。名前は「ヨゴロウザ」(中島裕翔)。自分の名前しか覚えていない。 名前からして飼い猫であったことは推察されるがそれ以外のことは何も覚えていなかった。 「片目」は「ヨゴロウザ」と出会い、野良犬たちと対抗する組織を作るために「ヨゴロウザ」を峠のリーダーに担ぎ上げようとする。「片目」は「ヨゴロウザ」のことが気に入り、「ヨゴロウザ」は「片目」を慕った・・・。
東京公演: 2023年9月9日(土)~9月30日(土) PARCO劇場
大阪公演: 10月4日(水)~10月9日(月・祝) COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール