
左から)パク・スヨン イ・ヨンソク
2025年に日韓国交正常化60周年を迎えることを記念し、鄭義信が日本の戦後史の影を描いた日韓合同公演『焼肉ドラゴン』が上演される。本作は、2008年に新国立劇場が芸術の殿堂(ソウル・アーツ・センター)とのコラボレーション企画として制作。今回で4度目の上演となる。ランランエンタメ!では、本作に初参加するイ・ヨンソクと、初演・再演に出演したパク・スヨンにインタビューを敢行。ドラマ『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』にも出演した二人に、舞台での共演についてや日本での稽古について、そして本作の魅力などを聞いた。
――(取材当時)すでにお稽古がスタートしているということですが、稽古場の様子や稽古を通しての手応えはいかがですか?
イ・ヨンソク:こちらに来る前は大変なのではないか、辛いのではないかと少し心配していましたが、実際に来日して稽古が始まったらすごく楽しくて安心しました。雰囲気もとても良いと思います。昨日は稽古がお休みでしたが、(呉 日白役の)キム・ムンシクさんと話していたら、彼も楽しくて安心したという話をしていました。
パク・スヨン:私は日韓の合同制作の作品に出演するのは3回目となりますが、そうした作品に出演するときは、よりチームワークが重要だと考えています。この作品に関しても、初演、そして再演と出演してきましたが、今回もすぐにチームワークの良さを感じました。
――ヨンソクさんは『焼肉ドラゴン』には初参加になります。今回、鄭さんの演出を受けてどのようなことを感じていますか?
ヨンソク:鄭さんご自身も俳優をされていたこともあるので、演技のディレクションをするときに、俳優の心を考えてくれていることを感じます。それぞれの長所、短所を把握してディレクションしてくれるので、すごくやりやすいです。

――スヨンさんは、2008年、2011年に続いてのご出演になりますが、初演、再演で印象に残っていることは?
スヨン:まず韓国とは稽古スピードが違うなと思いました。韓国と比べるとスピードが早いんですよ。日本の俳優の方はそれに慣れているようでしたので、最初は驚きましたね。
――韓国では比較的ゆったりとしたスピードで進むことが多いのですか?
スヨン:スピード感は確かに違いますが、それは作品によるのかもしれません。この作品に関してはテンポが早い。ただ、俳優に負担がかかるようなやり方はされていないので、鄭さんが作品と俳優の雰囲気を見ながら、オーケストラの指揮者のようにうまく把握して進めていらっしゃるのかなと思います。
ヨンソク:記者会見でムンシクさんが読み合わせの時間が短いとおっしゃっていたと思います。それに対して鄭さんが「それは自分のスタイルで、他のプロダクションでは1週間、10日くらいやるところもある」とお話をされていましたが、まさにプロダクションごとに違うのだと思います。速度が早くても遅くても適応するのが俳優です。今回も最初は少し大変でしたが、今はだんだんと適応していると思います。
――スヨンさんはこれまでも日本のステージに立たれていますが、日本と韓国のお客さんの反応の違いは感じていますか?
スヨン:もちろん違います。日本の観客よりも韓国の観客の方が反応が大きいように思います。ただ、この『焼肉ドラゴン』という作品に関しては、他の作品とは違った反応を返してくれる方が多くて、驚きました。ここは日本なのだろうかというくらい観客の皆さんの反応が熱くて、驚いたことを覚えています。
――ヨンソクさんは焼肉屋の店主の金 龍吉(キム・ヨンギル)役、スヨンさんは長女・静花の婚約者の尹大樹(ユン・テス)役を演じます。それぞれの役柄については、今どのように捉えていますか?
スヨン:ユン・テスはベールに包まれた謎の人物です。なぜ日本に来たのか。韓国で罪を犯して逃げて来たのか。それとも正常な方法でやって来たのか。台本には何も書かれていないんです。でも、商売に関しては頭が良く回り、生活力がある人物なのだと思います。そして、女性関係に関しては、よく言ったらピュア。悪く言ったら頭が足りないところがある(笑)。劇中で笑いを提供できる人物だと思うので、皆さんを笑わせられるようにいろいろなアイディアを考えながら稽古をしているところです。
ヨンソク:お父さんのイメージは、セリフにもあるように働いて家族を守って、生活を引っ張っていく人です。(取材当時)まだ稽古の序盤なので、今、探している最中ではありますが、奥さんの話をよく聞く旦那さんなのかなと思います。
――日韓のキャストが混在して作品を作り上げる今回のカンパニーですが、日韓のキャストが演じることでどんな魅力が生まれると思いますか?
スヨン:言語の問題は常にありますが、それは問題にもなるけれども、面白さにもなりえると思います。言語の違いによって一種の言葉遊びやすれ違いが生まれたりもします。韓国の俳優は日本語の単語を少しずつ知っていき、日本の俳優は韓国語の単語を少しずつ知っていき、そうしてお互いを知っていく。そんな時間を持てることは、私たち俳優にとっては魅力的です。次女の梨花を演じる村川絵梨さんは、この作品を通してきっと韓国語の悪口をたくさん覚えるでしょう(笑)。
ヨンソク:演劇には、政治家にはできないこともできる力があると思います。韓国と日本の俳優が舞台の上で実際にやり取りをすることこそが本当の交流なのではないのか、それこそが演劇の力ではないかなと思っています。
――今、お稽古を通して、改めてこの作品の魅力、面白さをどんなところに感じていますか?
スヨン:この作品は、最初から最後まで余裕を与えない凝縮された作品だと思います。なので、観客は集中せざるを得ない。それが魅力の一つなのではないかと思います。
ヨンソク:家族について、考えさせられる作品です。家族とは何かを今、私もたくさん考えています。数日前には、鄭さんともそうした会話を交わしました。同じ血が流れていなくても家族だし、お互いに知らない部分もあるけれども、何かあったら相談ができるのが家族なのかなと思います。「焼肉ドラゴン」はそれを伝えてくれる作品だと思います。
――本作の制作発表ではなかなかお稽古場以外のところに行けていないとおっしゃっていましたが。
スヨン:日本に来たら、稽古のことばかり考えていて、あまりどこにも行けていません(笑)。
ヨンソク:私も200パーセント同じです。
――日本という国に対しては、どんな印象をお持ちでしたか?
スヨン:親切で礼儀正しいという印象です。実際に来日してもその印象は変わりません。日本に来たら、言葉のことを除いて、心穏やかにリラックスして過ごせます。
ヨンソク:僕も全体的な印象はスヨンさんと同じです。それにプラスして、人がみんな暖かいなと思っています。数日前に、哲男役の千葉(哲也)さんと(キム)ムンシクさんが稽古場で話をしていたときに、キリンビールの話になったそうなんです。ムンシクさんがキリンビールが好きだといったら、ビールを2箱、宿舎に届けてくださいました。韓国だとそんな話をしても「そうなんだ」で終わってしまいますから(笑)。わざわざ届けてくれたと思うと力が湧いてきますし、頑張ろうという気になります。
スヨン:いやいや、僕も届けますよ?(笑)。
――では、逆に日本人にはあまり知られていない、韓国の魅力や日本に紹介したいおすすめの場所を教えてください。
スヨン:魅力的な場所はたくさんありますが、中でも安康邑を紹介したいです。小さな村ですが、とても綺麗な景色が見られます。行くのは大変かもしれませんが、もし、機会があればぜひ行っていただきたいなと思います。時間があったら、日本の俳優の皆さんも連れてぜひ行きたいなと思っていますが、いかんせん、すごく遠いので。自然が豊富で素敵な場所です。
ヨンソク:食べ物ならば、サムギョプサルやタッカンマリ、カルグクスといったものをお勧めしたいですし、ソウル市内にもマッコリがおいしいお店がたくさんあります。それから、カニの醤油漬けのカンジャンケジャンを好きな方もたくさんいるので東大門の市場にあるお店をよく紹介しています。
――お二人は、ドラマ『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』でも共演されていらっしゃいますが、お互いの俳優としての印象を教えてください。
スヨン:30年前からの知り合いなのですが、知り合った当時、僕は俳優をしていましたが、ヨンソクさんは制作をやっていらしたんです。ただ、ヨンソクさんが実は俳優もやられていることを知っていたので、演技がしたくてもかなわない気の毒な先輩だと思っていました(笑)。
ヨンソク:あははは(笑)。

――実際にお芝居をされているヨンソクさんをご覧になっていかがでしたか?
スヨン:実は共演するのは今回が初めてなんです。『マイ・ディア・ミスター』では一瞬だけ、遭遇するというシーンはありましたが、演技のやりとりをすることはなかったので、今回、演技をする姿を初めて間近で見ました。元々柔軟で、面白くて深みのある演技をする方だという印象がありましたが、実際にそれをすぐそばで見ることができて、とても良い時間を過ごせています。
――逆にヨンソクさんからみたスヨンさんは?
ヨンソク: 30年前、自分が制作をしていた頃に会ったスヨンさんは、自然な演技をする方、生きている演技をする方だなと思っていました。だからこそ、今、このような大俳優になられたんじゃないかなと思います。
――今、一緒にお稽古をしていていかがですか?
ヨンソク:楽しいです。これまでもそうでしたが、僕は他の人の演技を通して勉強してきたので、今回もいろいろなことを学ばせてもらっています。
スヨン:今、とてもリラックスして稽古ができていると思います。韓国の場合は、どうしても先輩後輩の関係があるのですが、日本での稽古が始まる前に、先輩であるヨンソクさんから「ここでは、そういうことはやらなくていいよ」とおっしゃっていただいたので、すごくありがたいですし、集中すべきことに集中できてとてもいいなと思っています。
――先ほど、千葉さんのお話もありましたが、ほかの共演者の皆さんとのそのチームワークを高めるために何かしていることはありますか?
スヨン:チームワークはすごく重要なことだと思っているので、可能な限り、たくさんお酒を飲もうかなと思います(笑)。どれだけ稽古が大変で辛くても、みんなでお酒を一緒に飲んだら、そういう問題は解消されると思います。今は稽古に問題はないですが、それでも仲を深めるためにも飲みたいですね。
ヨンソク:飲みに行くことで問題が解消されるというのもまた、演劇の力かなと思います(笑)。昨日、(呉 信吉役の)櫻井(章喜)さんのお誕生日だったのですが、みんなで稽古場でお祝いをしたんですよ。そうした心遣いがこのカンパニーの良いところだなと思いますし、それこそ演劇らしいなと思っています。
――本作は、ある家族とその仲間たちの姿を描いた作品ですが、お二人ご自身にとっての「家族」とはどんな存在ですか?
ヨンソク:あまりそういう話をするのは得意ではないんですよ(苦笑)。娘が2人いますが、小さい頃からあまり良い父親ではなかったなと自分では思っています。恥ずかしい限りですが、今は娘も大きくなったので、たくさん話す時間を設けるようにしています。
スヨン:僕にとっては、一生懸命に生きる理由で、生きていく力です。
――ありがとうございました! 最後に改めて公演に向けての意気込みや公演を楽しみにされている方にメッセージをお願いします。
スヨン:『焼肉ドラゴン』の魅力は、作品そのものにあります。先ほども話しましたが、最初から最後まで緊張感が途切れることなく、ぎゅっと凝縮されたお話ですので、ぜひたくさんの方に観ていただき、楽しんでいただきたいです。
ヨンソク:例え、ご自身の生活で大変なことがあっても、この公演を観る時間だけは、幸せで、夢を見ているかのような時間になればいいなと思います。私自身は俳優として、夢を見ることができる時間を提供できるように、健康を維持して頑張っていきたいと思います。

鄭義信

新国立劇場 2025/2026シーズン 演劇 日韓国交正常化60周年記念公演『焼肉ドラゴン』は、以下の日程で上演。
東京公演:2025年10月7日(火)〜27日(月) 新国立劇場 小劇場
韓国公演:2025年11月14日(金)〜23日(日) 芸術の殿堂(ソウル・アーツ・センター) CJトウォル劇場
福岡公演:2025年12月6日(土)〜7日(日) J:COM北九州芸術劇場 中劇場
富山公演:2025年12月12日(金)〜13日(土) オーバード・ホール 中ホール
凱旋公演:2025年12月19日(金)〜21日(日) 新国立劇場 中劇場

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